訪問介護を辞めた理由と、辞めたいと思った時の5つの選択肢

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訪問介護を辞めた理由と、辞めたいと思った時の5つの選択肢

訪問介護(ヘルパー)は、利用者さんのご自宅で1対1の介助をする仕事です。やりがいが反面、業務中に大きなストレスを感じて「辞めたい」といった声も聞かれます。しかし、一時の感情だけで退職してしまいに後悔しているといった方も多く、辞めたい気持ちに従うことだけが良い選択とは限りません。
訪問介護を辞めた理由や「辞めたいと」と思った時の選択肢、転職を決断した場合に成功させる方法をご紹介します。

訪問介護(ヘルパー)を辞めた・辞めたい理由7つ

「訪問介護(ヘルパー)を辞めたい」人の中では次のような理由があげれらています。

ひとりで介助するので責任やプレッシャーを感じてしまう

訪問介護の介助中は利用者さんのご自宅を訪ねて、1対1でサービスを提供します。そのため、介助中に何かトラブルがあった場合など、その責任はすべて自分に降り掛かってしまいます。近くで助けてくれる同僚や先輩、上司などがいない状況による不安感や孤独感、フォローされない寂しさを感じることも多く、「辞めたい」という気持ちを後押ししてしまいます。

訪問先の自宅の環境が悪い

訪問介護の職場は利用者さんのご自宅です。介助が必要な方は自分で掃除ができないことが多く、部屋が汚れていたりゴミのニオイが充満していたりと、介助に集中できない場合もあります。自分では訪問先を選べない中、こうした環境での仕事に負担を感じ、退職を考えてしまう場合があります。

移動が辛い

訪問先への移動は社用車や自家用車を使用したり、事業所から訪問先が近い場合や車が入れないような場所に訪問する場合は、自転車を使用したりして移動します。タイトスケジュールの中には移動時間も含まれており、一つ遅れてしまうと全てのスケジュールがくるってしまうため、プレッシャーを感じる方も少なくありません。
また、夏の暑さや冬の寒さが厳しい中で、徒歩、自転車での移動は肉体的にも負担がかかり、辞めたいと思うのです。

利用者さんからのパワハラ・セクハラ

訪問介護で問題となっているのが、利用者さんやそのご家族からのパワハラ・セクハラです。
「介助中にお尻や胸を触られた」「利用者さんから罵声を浴びせられた」といったハラスメントにあった場合でも、利用者さんのご自宅へ一人で訪問しているため、助けを求めることもできません。上司などに相談してもハラスメントが解決しない場合もあり、辞めることを選んでしまう場合があります。

人間関係での悩み

介助中は利用者さんと介護士の1対1の関係になりますが、適切な介助をするためには利用者さんのご家族やケアマネジャー、他の職員などと連携しなければいけません。なかには、介護士を下に見て横柄な対応をする方もおり、そうした中で人間関係に悩んでしまい辞めたいと感じてしまいます。

収入が不安定・給料が安い

訪問介護の給料は、実際に介助をしていた時間に応じて発生します。パートで働いているとシフトと訪問予定が重ならないこともあり、出勤していても給料が発生しない場合があります。さらに、移動時間も給料が発生しないため、収入が不安定になりやすく得られる給料が低くなってしまいます。

ステップアップするため

介助中に身につけた知識や経験があっても、介助に入れなければ収入は安定しません。そこで、介護福祉士などの資格取得や、介護施設で働くことを目指して訪問介護を辞める決意をする場合があります。

訪問介護を辞めたいと思ったら、最初に考えること

上記のような理由によって辞めたいと思ってしまうことは、悪いことではありません。しかし、そのときの気持ちで離職し、後悔する人も多いので、辞めたい気持ちが強くなっても、まずは本当に辞めるべきなのか考えることが大切です。

訪問介護は介護施設とは違って、利用者さんによって介助中の環境が大きく変わります。訪問介護が辛いと感じるのは、その利用者さんが原因といった場合も多いのではないでしょうか。なかには優しい方や自宅がキレイな方もいらっしゃるので、ひとりの利用者さんの影響だけで辞めてしまうと、転職先の事業所でもまた同じような利用者さんの担当になり、辞めたいと思ってしまうかもしれません。

また、給料や待遇を上げたい場合に介護福祉士などの資格取得が必要になりますが、こうしたことは他の業種であっても変わりません。訪問介護を続けて経歴を伸ばしたほうが、上位の資格を取得しやすくなることもあり、今の待遇だけで辞めてしまうのはもったいない場合もあります。

それでも辞めたいと思ったときの5つの選択肢

どうして訪問介護を辞めたいのか、しっかりと考えてそれでも辞めたいと思ったときには、次の5つの選択肢から自分の次の行動を考えてみましょう。

介護士とは別の道へ進む

訪問介護が合わないのではなく、そもそも介護士の仕事が自分に合わないと感じたら、別の業種への転職を考えてみましょう。業務の中で行う介助は、事業所が変わってもそこまで大きく変わりません。同じ業種内で転職しても、また辞めたいと思ってしまうので、飲食店や接客業など、別の業種ではじめから頑張るというのも一つの方法です。

訪問介護を辞めて通所や施設の介護士を目指す

護の仕事に抵抗がなく、訪問介護の密室での1対1の介助や待遇面が気になる場合には、通所介護事業所や介護施設へ転職し介護士を続けるのが良いでしょう。特に、介護施設では夜勤があり、総合的な給与アップに繋げることが可能です。

また、介護士を続けることで介護福祉士の受験資格を得られます。介護福祉士を取得することで、さらなる給与アップやスキルアップが可能になり、そこからサービス提供責任者などのステップアップも目指せます。

体制の整った他の職場を探す

ひとりでの介助や移動が辛く感じる方は、ふたりでの訪問体制や社用車での移動を義務化しているなど、より体制の整った訪問介護の職場を探すと良いでしょう。さらに、利用者からのハラスメントに対する相談窓口が設けられた事業所であれば、安心して業務に就くことができます。

また、訪問介護員を人数、質ともに採用できている事業所の特徴として、「訪問介護員を稼働日毎に一度は必ず事務所に立ち寄らせるようにしている」という結果が出ています。
日頃からサービス提供責任者や同僚とコミュニケーションを取り、相談できる環境があれば、不安やストレスも軽減されるでしょう。

空いている時間で別の訪問を対応する

待機中は給料が発生しないなど、収入面の問題で辞めたいと思うなら、給料の高い事業所へ転職するだけでなく、別の事業所に登録して訪問数を増やすのも効果的です。事業所ごとに利用者さんがいるので、掛け持ちをすることで待機時間を減らして収入アップが見込めます。ただし、自分で予定を調整したり、事前に掛け持ちが可能かを今の事業所にチェックしたりとハードルはやや高めです。

今の職場で改善策を相談する

訪問介護を辞めたい理由が訪問先の問題であって、職場への不満や不安がない場合には、今の職場にとどまることもひとつの選択肢です。ただ、今の悩みや問題を我慢し続けるのは辛いだけで根本的な解決にはなりません。そのため、上司や管理者、担当のケアマネと相談して、問題や悩みを改善するようにしましょう。

たとえば、利用者さんからのセクハラで悩んでいたら。上司へ相談し上司からケアマネへ改善を促してもらったり、その利用者から担当を外してもらったりできるか相談しましょう。もし、相談しても改善しない場合や取り合ってくれない場合には、無理に職場にとどまらず他の道へ進みましょう。

転職を決意した場合に成功させる方法

うまく転職できた場合でも、転職先でまた辞めたいと思ってしまうようでは成功とはいえません。そこで、転職を成功させるために注意しておくべきポイントを解説していきます。

次の職場を見つけてから今の職場を辞める

先に今の職場を辞めてしまうと、生活費など経済的な理由で早く転職先を決めたいという思いから妥協して選んでしまいます。じっくり職場を選ぶためにも、転職先を決めてから辞めるようにしましょう。

大切にしたいことに優先順位をつける

給料や働き方など、転職先に求めたいことに優先順位をつけて、自分が転職で叶えたいことを明確にします。こうすることで転職後のミスマッチを防ぎ、自分に合った働き方を見つけることができます。

事前にしっかり調べる・確認する

訪問介護の場合、7割以上が非正社員となっています。
求人についても正社員かパートやアルバイトなどの非正社員かによって、福利厚生や待遇が変わってきますので、事前にしっかりチェックしましょう。
正社員の場合、給料の額面をチェックしていても、実際には手当込みの金額で基本給が予想以上に少ない場合があります。基本給はボーナスなどにも影響が出てくるため、求人票などの記載内容を見落とさないように注意しましょう。

介護職以外ならこれまでの経験が活かせる仕事を探す

介護職以外を目指すなら、経験が活かせるような職種や仕事を探すと転職後も働きやすいと感じます。たとえば、利用者さんとコミュニケーションをとる訪問介護の経験は、接客業などで活かしやすいでしょう。

まとめ

訪問介護(ヘルパー)を辞めたいと思うことは珍しいことではなく、多くの方が同じようなポイントで悩み辞めたいと感じています。ただ、先のことを決める前に退職してしまうと、せっかく転職したのにまた同様のことで悩んでしまうことがあります。そのため、退職前からしっかりと準備しておき、後悔しないようにしましょう。