ユニットケアとは?従来型と働き方はどう変わるの?

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ユニットケアとは?従来型と働き方はどう変わるの?

高齢者施設などで導入が進んでいる介護スタイルとして、注目されているのが「ユニットケア」です。ユニットケアは従来の介護手法とは異なり、利用者さんの生活リズムや個性などの個人の尊厳を大切にします。当然、そこで働くスタッフの働き方にも違いが出てきます。

この記事では、従来型の介護施設での働き方とユニット型の施設での働き方にどのような違いがあるのか詳しく解説します。

「ユニットケア」とは?従来型との違い

従来の介護施設では、1部屋に4人程度が入居して生活する多床室が主流でした。同じ部屋に複数の利用者さんがいることもあり、個人のペースで生活ができるわけではありません。スタッフ側の都合に合わせた「集団ケア」が行われ、生活リズムも施設が設定したスケジュールに沿ったものにならざるを得ませんでした。ただ、それはそれで施設で働くスタッフにとっては効率的に介護ができ、スタッフの数が限られているなかではメリットであるといえます。

一方で、ユニットケアを取り入れている施設(ユニット型)では個室が設けられ、プライバシーが確保されています。そして、施設の時間割ではなく、利用者さんそれぞれの生活リズムで暮らすことが可能です。2001年に厚生労働省が発表した「施設整備の考え方について」では、今後整備する介護保険施設等における「ユニット型個室の推進」が方針として示され、2002年からはユニット型の特別養護老人ホームに対して補助金を支給するようになりました。そのため、2019 年度「特別養護老人ホームの入所状況に関する調査」によると、ユニット型の施設が従来型の施設を上回る結果が出ています。

高齢者施設では特別養護老人ホームだけではなく、有料老人ホームやグループホームをはじめとした多くの施設でユニットケアが取り入れられるようになっています。

従来型は施設で働く職員の効率を重視した「集団ケア」が多くみられた、ユニットケアは個人の尊厳を重視した「個別ケア」にフォーカスを充てている

ユニットケアの目的

複数の人が同じ部屋に入居し、施設のスケジュールやスタッフの都合でケアが行われる従来型の施設では、介護が必要な状態になったとき、それまで自分のペースで自由にしてきた暮らしができなくなるのが当たり前でした。しかし、たとえ介護が必要になったとしても、できる限りそれまでと変わらない生活をしたいと望む人が多いのも現実です。

ユニットケアでは入居前までの暮らしをできる限り継続させ、「高齢者の尊厳を保つこと」を目指しています。今までと同じ生活がしたいと望む利用者さんの気持ちを尊重し、その人の普通の暮らしを把握しながら、助けが必要なところをサポートすることがポイントです。つまり、利用者さん本人が自分でできるところについては本人の意志で自由にしてもらい、サポートが必要なところはスタッフがサポートしています。

施設の特徴

ユニットケアを取り入れたうえで、介護が必要な高齢者が尊厳を保ちながら良好な生活ができる場とするためには、環境というハード面とスタッフが行うケアというソフト面の両輪が大切です。では、両輪のひとつ「ハード」面となる施設は、実際どのような特徴があるのでしょうか。

ユニットケアを行う施設は利用者さんにとって生活の場です。できるだけ入居前と変わらない普通の生活ができるように、部屋は基本的に全室個室でプライバシーが守られています。個室内はその人のスペースであり、それまで自宅で使用していた馴染みのある家具なども持ち込むことが可能です。そのため、施設に入居してもそれまでと変わらない自分らしい空間の中で生活することが叶い、自宅で生活するのに近い環境が意識されています。

それでいてユニット内には他の利用者さんと交流できるリビングスペースが設けられているため、孤立してしまうことはありません。つまり、ユニットケアの施設はプライバシーが確保できるように気遣われ、なおかつ共有スペースもあることで、顔なじみの他の利用者さんやスタッフとの交流もできる造りなのです。

加えてユニット型の施設では、それぞれの居室から別の居室の中が見えないよう配置にも配慮されています。プライバシーの観点から非常に好ましいといえますが、言い換えれば介護職にとっては必ず死角となる部屋が出てくるということでもあります。
この点が従来型と大きく異なる点であり、介護者が注意しなければならない点となります。

  • ユニット型は「全室個室」で、各個室が囲む形で中央にリビングなどの共有スペースが設けられている
  • プライバシーを保つ反面、必ず死角となる部分があるため見守り時に注意が必要

ケアの特徴

ユニットケアでは通常10名程度の利用者さんのグループを1つのユニットとして分け、スタッフがそれぞれのユニットに固定配置されます。ある程度決まったスタッフが接することで、利用者さんとの間でお互いを理解しやすい、信頼関係が築きやすいなどのメリットがあります。また、毎日接していることで、利用者さんのわずかな変化にも気づきやすくなるでしょう。

介護に関しては、利用者さんが自分の生活を決めているため、一律な対応をするわけではありません。たとえば、朝食の用意も利用者さんによって異なる起床時間に合わせて準備するなど、柔軟な対応をしています。利用者さんは基本的に飲食や外出なども自分自身で自由にコントロールし、入居以前の生活をできる限り継続することが可能です。そのため、介護スタッフは必要に応じてサポートすることに徹し、利用者さんそれぞれに合わせた対応をしています。

ユニットケアにおけるスタッフの働き方

次に、ユニットケアを採用している施設でのスタッフの勤務体系やケア方法について、従来型の施設との違いを踏まえて詳しく説明します。

ユニット型での勤務

従来型のスタイルを取る施設では、大勢の入居者に対して配置されるスタッフも複数です。入ったばかりの新人でも、先輩の仕事ぶりを見ながら業務を覚えることができ、判断に迷うことがあればすぐにアドバイスしてもらうこともできます。一方で、ユニット型では利用者さん10人程度の1ユニットに対してスタッフは少人数で対応するのが一般的で、1人という配置も珍しくありません。特に夜勤の場合は国の配置基準では2ユニットに1名となっているため、1人で対応することも多く、判断も1人でしなければならない場面が増えるでしょう。

そのため、経験の浅いスタッフでも一人での対応を求められるなど、不安に思うこともあるかもしれません。ただ、不安があればユニットリーダーに相談することもできますし、現場ではユニット間で連携を図ることもあります。どうすれば問題を解決できるかという一律に決まった方法があるわけではありませんが、多くの施設ではお互いに助け合うことでカバーしあっています。

ユニット型で起きたケアの質の変化について

厚生労働省が発表している『2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~』では、ユニット型の施設において、スタッフのケアの質が変化している点が報告されています。ユニットケアを実践している施設では、居室は利用者さん自身にとって居心地のいい空間であり、プライバシーが確保された場所で自由に過ごすことが可能です。しかし、実際には居室や廊下にいる時間が減り、リビングに滞在している時間が増えています。つまり、スタッフにとっても単なる身体的介助中心のケアだけではなく、余暇を楽しんだり、交流を深めたりするようなケアが増える傾向が見られたのです。

ユニットケアを採用する施設で働くスタッフの留意点

ユニット型の施設では、利用者さん一人ひとりの生活スタイルを大切にしています。そのため、スタッフにも利用者さんの心身の状況はもちろん、個性や入居前の生活歴を知り、生活習慣や生活様式なども具体的に把握しておくことが必要です。実際にケアを行う際には、個別の特徴を把握したうえで適切に日常生活を送れるように援助することが求められます。利用者さんは自由に自分の居室でゆったり過ごせるところがユニットケアの特徴であり、大きなメリットです。ただし、スタッフにとっては、その分一人ひとりに気を配り、必要とされることがあればさりげなくサポートしなければなりません。

また、ユニットケアでスタッフが専任配置される理由として、利用者さんのわずかな変化にも気がつきやすいことが挙げられます。つまり、毎日決まったスタッフが接することで、細かなところまで把握することができるのです。しかし、万一スタッフが休むことがあれば、他のユニットの担当者には利用者さんの個別の生活スタイルや個性がわかりません。そのため、普段は他ユニットで働いている別のスタッフに応援に来てもらう際にも利用者さんの詳細が伝わるよう、情報をわかりやすく整理し、共有できるようにしておくことが大事です。

ユニットケアでは個別の空間を確保しながら、利用者さん同士の社会関係が適切に構築されるようにサポートすることも求められます。ただし、利用者さん同士が信頼関係を深められるようにサポートするとともに、過度な干渉が発生してトラブルを生じないように目を光らせることも必要です。

ユニットケアはこれまでの暮らしを継続して過ごせるケア方法

ユニットケアでは、利用者さんがそれまで送ってきた普通の生活を可能な限り維持できるサポートが期待されます。個室で自由に過ごすことができ、のびのびした雰囲気でアットホームなところが特徴ですが、スタッフには適切なサポートをするための観察力が必要です。同じ介護施設でも、従来型とユニット型では働き方は全く異なります。自分に合った施設を選ぶことが大事になるため、興味があれば一度見学してみることをおすすめします。

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