介護職員のストレスの原因は?「もう限界」と感じたときの対処法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護の仕事は好きだけれど、ストレスが溜まって「辛くて、もう限界!!」と感じている方も少なくないでしょう。介護は人の役に立つ素晴らしい仕事である一方、人間関係や人手不足、給料が少ないことなど、ストレスを感じる機会が多い仕事ともいえます。介護職を嫌いにならずに楽しんでいただけるように、今回はストレスの原因やその解消方法についてご紹介します。

介護職員が感じるストレスの原因6つ

どのような仕事や職場であっても、ストレスはあるものです。介護の仕事においては、精神面と体力面の両方にストレスを感じてしまうことがあります。では、具体的にはどういった種類のストレスを感じやすいのでしょうか。

介護職のストレス原因6つ

  1. 職場の人間関係
  2. 慢性的な人手不足
  3. 職場の理念や運営方針と合わない
  4. 身体的な負担
  5. 利用者さんやご家族との関係
  6. 仕事の評価が難しく公平感が感じにくい

職場の人間関係

チーム制で閉鎖的な環境になりやすい

介護の現場は閉鎖的な環境になりやすく、さらに少人数でチームを組むため、苦手な相手であっても密にコミュニケーションをとることが必要とされます。このような環境はストレスを増幅させる原因になるのです。

幅広い年齢層、経歴が異なる方が集まっている

スタッフの年齢層や経歴が異なると、それぞれ価値観も違うでしょう。価値観の違いが人間関係をぎくしゃくさせる原因になることがあります。

介護職同士、看護職員やケアマネ、リハビリ専門職など関わる人が多い

介護の職場には、専門職が多く集まっています。うまく話がまとまればよいのですが、それぞれの専門領域が違うことから意見が衝突してしまうこともあるでしょう。意見の衝突が繰り返されると、ストレスが溜まってしまいます。

これらが繰り返された結果、いじめや無視、ハラスメント、差別、陰口、不公正な評価などが起こり、職場全体の人間関係が悪くなってしまうのです。

慢性的な人手不足

「重労働のわりに給料が低い」、「ほかの職種と比べて離職率が高い」、「社会の超高齢化が進んでいる」などの理由から介護職は慢性的な人手不足に陥っており、職員一人あたりの負担が大きくなっています。そのため、介護職の現場では「休みが取りにくい」、「休憩が少ない」、「残業を強いられる」、「急なシフト変更」といったことが起こり、ストレスを感じることも多いのです。

職場の理念や運営方針と合わない

「効率を重視するあまり利用者さんに寄り添ったケアができない」、「スタッフが困っていても管理職が助けてくれない」といった不満が生じた際に、職員の意見に聞く耳を持たず、「これがうちのやり方だから」と一方的に経営者の考えを押し付けられるといった場合があります。効率を重視するあまり適切な教育が行われず、ときには違法行為を強要されるといった声も聞かれます。

こういったケースでは、職場の理念や運営方針と自分がしたい介護との間にギャップが生まれ、モチベーションが下がりストレスを感じてしまうのです。

身体的な負担

介護の現場では、利用者さんの入浴や移乗介助など、身体的に負担のかかる仕事内容が多いものです。身体を支えるにはかがんで作業することも多く、腰痛や膝痛に悩まされる方も少なくありません。身体的な負担が大きくなると、イライラも増えてストレスにつながるのです。

利用者さんやご家族との関係

介護の現場では職員間の人間関係だけではなく、利用者さんやそのご家族との人間関係を構築することが必要になります。一生懸命介護にあたっていても、利用者さんやご家族から心ない言葉を浴びせられたり、ときには暴力をふるわれたり、辛い状況もあるでしょう。介護職は、一人の利用者さんと長期的なお付き合いをすることが多く、苦手な相手でも向き合う必要があるため、ストレスを感じる方も少なくありません。

仕事の評価が難しく公平感が感じにくい

介護の仕事は、一生懸命に働く人と手を抜いている人とで報酬が変わるわけではありません。また、自分のケアが利用者さんに対してどれだけのサービスができているのかを客観的に知ることも困難です。


そのため、自分の仕事を適正に評価されていないと感じ、ほかの人と比べて不公平に思うことも少なくありません。「管理者は自分の仕事をきちんと見てくれていないのではないか」という不信感がストレスに繋がることもあります。

介護職が発症しやすい「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に要注意!

燃え尽き症候群とは、仕事に意欲を持って取り組んでいた人がある日突然やる気がなくなり、虚無感にとらわれて無気力になる「うつ病」の一種とも考えられている症状のことです。これは活動的で理想が高く、仕事に全力で取り組む人に多く見られます。特に、心理的なストレスの大きい対人サービスに従事する介護士が発症しやすいとされているものです。

症状には以下のようなものが見られます。

肉体的症状

  • 吐き気
  • 不眠
  • 食欲不振
  • 高血圧
  • 息切れ
  • 胃腸の障害

精神的症状

  • 仕事に対する意欲の減少
  • 他人に無関心になる
  • 怒りっぽくなる
  • 自分に自信がなくなる
  • 疲弊感を強く感じる
https://care-infocom.jp/article/706/

介護職のストレスへの対処と発散方法

適度なストレスはやる気を与えてくれるなどのよい効果も期待できますが、過度なストレスは肉体と精神の両方に悪影響を及ぼし、いずれ限界を迎えかねない怖いものです。過度なストレスを感じる前に適切な対処をほどこし、上手に発散する必要があります。

介護職のストレスへの対処方法

介護職のストレス対処法には、一緒に働く人の価値観を受け入れるほか、将来のためにと思い切って割り切るという方法があります。状況によっては、転職を視野に入れながら対処する必要があるでしょう。

価値観の違いを受け入れる

価値観は人それぞれ違うものです。そこにストレスを感じていてはキリがありません。「そんな考え方もあるんですね。」と、相手の価値観を知るよい機会だととらえましょう。人の価値観を知るには、利用者さんに対して行っているのと同じように、コミュニケーション(傾聴・受容・共感)を大切にするようにしてください。

キャリアアップのためと割り切って将来(未来)を考える

キャリアアップの場と割り切り、視点を変えて数年後の自分を想像してみることもよい方法です。自分のキャリアアップにおけるメリットと、今感じているストレスを照らし合わせることが重要です。今はストレスに感じていることも、将来何かの役に立つことがあるかもしれません。

転職も視野に入れてみる

過度なストレスを抱えているときは、転職を視野に入れてみるのもひとつの方法です。特に、ストレスの原因が人間関係や職場環境である場合は、転職することで解決できる可能性があります。介護の仕事にやりがいを感じ、現実と理想のギャップに悩みを抱えているときほど転職が解決の糸口になるでしょう。

可能であれば、転職先を決めてから退職するのがおすすめです。時間と金銭的な余裕があるなかで、より自分に合った職場を検討することができます。

介護職のストレスの発散方法

介護職のストレスは溜め込まず、上手に発散することが大切です。誰かに話を聞いてもらったり、身体を動かしリフレッシュしたりすれば、新たな気持ちで仕事に取り組めます。

誰かに話を聞いてもらう

ストレスは溜め込むと爆発してしまうだけなので、一人で抱え込まずにご家族や友人などに愚痴をこぼして、気持ちをスッキリさせてしまいましょう。

ただし、愚痴をこぼす相手に職場の同僚を選ぶことは避けてください。もしも一緒に働く仲間がストレスの原因であった場合、愚痴は回りまわって陰口として本人に届いてしまいます。同じように自分がその対象になっていると感じ、それがストレスになることもありえます。愚痴をこぼす相手は注意して選んでください。

身体を動かす

ストレスの解消には運動も効果的です。日々の生活のなかに自分に合った運動を取り入れてみてください。一般的には軽く汗ばむ程度の運動を毎日20~30分くらい行うのがよいとされています。体を動かすことで血行が促進されて緊張をほぐすことができ、心身をリラックスさせる効果が期待できます。

こんな職場は辞めた方がいい!ブラック施設の特徴 

介護職のストレスは、過酷な職場環境によっても引き起こされます。仕事にストレスを感じる場合、無理をせず退職したほうが良いのがブラック施設です。職場が以下の4つの特徴に当てはまる場合には、転職を視野に入れながら日々のストレスに対処しましょう。

サービス残業や休日出勤が慢性化している

ブラック施設では、残業をしても時間外手当をつけなかったり、休日出勤を当たり前にしたりするケースがあります。仕事量に見合った賃金が得られないのは、従業員にとって大きなストレスです。また、しっかりとした休息時間が得られないため、身体的負担も大きくなります。

上司や上層部に相談しても改善が見られない場合は、転職を考えるのがおすすめです。適切な給与体制のとられた職場であれば、勤務時間や年数に応じた給与アップを期待できます。

労働基準法を守っていない

労働基準法には、原則として1日8時間、1週間あたり40時間という労働時間の規定があります。労働者を守るために設けられた基本的な法律です。しかし、人手の足りない介護業界では、労働基準が守られていないケースも見受けられます。

利用者さんのイレギュラーな事態に対応するため、休憩時間が取れない場合もあるでしょう。夜勤の割増賃金が適切に支払われていなかったり、時間外労働をするための協定書を作成しなかったりといったケースも労働基準法に違反する行為です。

いじめやハラスメントがある

いじめやハラスメントは、経営者が見過ごしてはならない問題です。職場でいじめやハラスメントがあった場合は上層部に報告し、適切な対応を求める必要があります。社内の話し合いで解決しない場合には、外部の公的機関に相談する必要もあるでしょう。

そもそも、いじめやパワハラがある職場は、職員同士のコミュニケーションが良好でなく、ハラスメント対策がなされていないブラック施設だと考えられます。

介護職ができない医療行為を求めてくる

介護職員が利用者さんにできる医療的ケアは限られています。たとえば、インスリン注射や床ずれの処置、摘便などを介護職員が行うことはできません。たん吸引や経管栄養は、研修を受けた介護職員のみが行うことができます。

たとえ上司の指示であったとしても、許可されていない医療行為を行うのは違法です。看護師不足、人手不足の施設ほど違法な医療行為を強いるケースが多くなるでしょう。

介護職のストレスは原因を見極め上手に対処しよう

ストレスの原因を知り、うまく対処できることが理想ですが、その職場ではどうにもならない問題、ストレスとうまく付き合えない場合や解消できないこともあるでしょう。ストレスが限界に達し、介護職を離れようかと悩むこともあるかもしれません。介護職の方の多くがストレスを感じているのは、人間関係や慢性的な人手不足、職場の理念や運営方針と考えが合わないといった、仕事以外の問題がほとんどです。

介護職は精神的かつ肉体的に負担の大きい仕事ですが、利用者さんやご家族に「ありがとう」と感謝され、人生の大先輩である高齢者の心に触れるといった貴重な経験を積むことができる、やりがいのある素晴らしい仕事です。

ストレスの原因が仕事以外にある場合、職場を変えるというのもひとつの手段です。介護職を離れようと決めてしまう前に、これまで積み重ねてきた経験やスキル、頑張ってきた思いを無駄にしないためにも、転職という方法で介護職を続けることも視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加