転職時に避けては通れないのが面接です。面接は自分をアピールする絶好の機会でもあり、入職して自分がどのように働きたいかを再確認する機会でもあります。入社後のミスマッチを防ぐためにも、正直に、かつ、前向きに話すことが大切なポイントとなります。介護職の面接でよくある質問と回答例を確認しながら、面接対策を行いましょう。
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目次
介護職の面接でよくある6つの質問
近年では、求職者と採用側とのミスマッチによる早期離職でお互いに不幸な結果にならないようにと、介護業界でも職務経歴書や面接を非常に重視するところが増えてきました。職務経歴書に書かれている内容も重要な情報として参考にされますが、やはり、採用のために重要視されるのは面接です。
面接では態度はもちろんのこと、質問に対する受け答えが、採用担当者にとっての大きな判断材料となります。事前によく聞かれる質問とその意図を理解し、答えを準備しておくことで、、自信を持って面接に臨めるでしょう。
介護職の面接でよくある質問は次の6つです。
- 今までどんな仕事をしていましたか?
- 前職を辞める理由はなんですか?
- 当社を志望する理由を教えてください
- 目標やキャリアプランはありますか?
- 残業や夜勤はできますか?
- 何か質問はありますか?
【質問1】今までどんな仕事をしていましたか?(職歴・経歴)
この質問の意図は「仕事の経験とスキル」の確認です。
ミスマッチを防ぐために、採用担当者と認識の擦り合わせを行うことが大切です。介護職の場合、特にミスマッチが起きやすいのは食事介助、入浴介助、排泄介助の三大介護の経験です。「三大介護の経験があります」「できます」といっても、自分の経験や自分の中の「できる」と、相手側の求めている経験やスキルが違っている場合もあります。面接時には、相手に的確に伝わるような回答をしましょう。
お手本回答例
デイサービスで2年間介護職を経験し、利用者様の身体介助を主に行いました。歩行レベルから車椅子介助レベルの方までのトイレ介助と入浴介助、認知症のためご自分で食事をとることが難しい方の食事介助を経験しました。
経歴を簡潔に伝えつつ、その中で習得したことが明確に伝わる点が評価のポイントです。
NG回答例
デイサービスで働いていて、高齢者の介護を行っていました。体操やゲームをしたり、利用者様が難しいことを介助したりしていました。送迎の付き添いもしていました。
簡潔すぎ、かつ具体的ではないため、どのような経験をしてきて、どのようなスキルを持っているかが伝わらない。
回答のポイント
「今までどんな仕事をしていましたか?」という質問に対して的確に回答するためには、どのような介護施設で、どのように働いていたか。また、その時に従事していた業務や詳細な仕事内容などを、振り返って細かく整理しておく必要があります。面接では、経験した中で苦労したことや、どうやって乗り越えたかなど、志望する事業所の特徴に合わせて具体的なエピソードも入れると、自己PRにもつながります。
【質問2】前職を辞める理由はなんですか?(転職理由・退職理由)
この質問の意図は「何かトラブルを抱えていないか?」「また、前職と同じ理由で辞めないか?」という確認です。
腰痛や体力的にもたないなどの健康上のトラブルを抱えている場合や、人間関係でのトラブルや個人的な不満で頻繁に離職している場合「また、同じ理由で辞める可能性が高いのではないか?」と捉えかねられません。不満やトラブルを今も引きずっている印象を与えないように「前職を辞めてでもこの職場でやっていきたかった」という前向きな理由を述べましょう。
お手本回答例
前職のデイケアでは、比較的身体レベルも認知レベルも高い方が多く、排泄、入浴、食事介助においても軽度な介助の経験しかしておりません。もっと、いろいろな症例や重度の方の介護も経験したいと思い、自分のスキルアップのために転職を考えました。
働いていた事業所が閉鎖となり、この度、やむを得ず前職を離職することとなりました。介護職での経験はまだまだ浅いので、少しでも前の職場での経験を活かすことのできる、同じ種類の施設で働きたいと考えています。
プラス評価されるポイントは、前職を離職した理由が前向きな理由であることと、何かトラブルを抱えて辞めたわけではないことが、明確に伝わる回答になっている点です。
NG回答例
前の職場では、自分の仕事に口うるさくダメ出しをしてくる同僚がいて、自分がやりたいように仕事ができませんでした。他の職種も介護職の仕事を理解してくれず、人間関係がうまくいかなかったので辞めました。
前の職場はとにかく給料が安かったです。残業も最初の面接で話していた時間以上に多くありました。介護の仕事は大変なのに、働きに見合わない給料と納得できない残業で、職場環境の悪さに耐えられずに辞めました。
マイナス評価されるポイントは、本人の自己中心的な態度によるものとも捉えられる人間関係のトラブルや、前の職場の悪口が前面に出ている点です。
回答のポイント
「前職を辞める理由はなんですか?」という質問に対しては、2割程度を「転職を考えたきっかけ(退職理由)」とし、8割程度を「転職によって実現したいこと」で構成すると伝わりやすくなります。たとえ、前職を離職した理由がネガティブなきっかけであっても、面接では、ポジティブな想いに言い換えることが重要なポイントです。転職してやりたいことがあるという前向きな気持ちを伝えられるようにしましょう。
【質問3】当社を志望する理由を教えてください(志望動機)
この質問の意図は「仕事への熱意」と「なぜ他の事業所ではなく、当事業所を選ぶのか」ということの確認です。
採用担当者は、仕事内容や事業所の理念などをしっかり理解したうえで応募しているのか、熱意を持って働いてくれるのかということを確認しようとしています。「なぜ、自分はここを選ぶのか」という志望動機を自分の中でもはっきりとさせておくことが大切です。
お手本回答例
こちらの職場では認知症ケア専門士の方もいらっしゃって、事業所全体で認知症ケアに取り組んでいることを知りました。前職場での介護経験を活かし、さらに認知症について専門的に深く学べる環境だと思い、志望いたしました。
プラス評価されるポイントは、応募先の事業所で何が経験できるのかということをしっかりと調べ、自分の経験が役立つことをアピールできている点です。
NG回答例
前の職場よりも家から近くて通いやすそうだったところと、給料が良いところです。前よりも残業が減りそうだし、休みも取りやすそうなところも魅力的でした。
マイナス評価されるポイントは、勤務条件面ばかりに注目しており、ここで何がしたいのかということや仕事への熱意が伝わらない点です。
回答のポイント
「当社を志望する理由を教えてください」という質問に対する回答のポイントは、下記の2点です。
- 『転職理由』とその事業所の魅力を結びつけて伝えること
- 『自分のスキル』と事業所の求める人材像を結びつけて伝えること
事前に転職先の事業所の魅力や求める人物像をしっかり把握したうえで、面接時には、自分の熱意や経験を活かしたいという想いが伝わるようにしましょう。
【質問4】目標やキャリアプランはありますか?
この質問の意図は「どのようなやりがいを持って働いてくれるのか」「目標や夢を持って仕事に取り組んでくれるのか」「この職場で実現可能なキャリアプランであるか」の確認です。自らが将来のキャリアプランを立て、それを実現するために行動しているということは、「自主的・能動的に動ける人材かどうか」の判断基準にもなります。
お手本回答例
介護職に就いて約2年になりますが、利用者様により良いケアを提供するためにも介護福祉士の資格を取得したいと考えております。現在は過去問や解説の基本書を使って勉強しています。実務経験でスキルを身につけながら、資格取得を目指したいです。
プラス評価されるポイントは、自らが具体的な目標を設定し、それに向かって具体的に取り組んでいる事が伝わり、「自主的・能動的に動ける人材」「仕事に対して前向きに取り組める人材」として評価される点です。
NG回答例
言われたこと、目の前にあることは、何でもチャレンジしたいと思っています。好奇心旺盛な性格なので、今まで経験したことがないことも経験したいです。
一見「何でもやります」という回答は、前向きな姿勢で評価されるでは?とも思えますが、具体的な目標がなく、受け身な姿勢と取られます。具体的な目標を示すようにしましょう。
回答のポイント
「目標やキャリアプランはありますか?」という質問に対しては、自分の目標をできる限り具体的に示すことです。あわせて、目標に向かって自分が取り組んでいることを伝えましょう。キャリアプランを実現するために、この事業所で達成したいこと、この事業所でどのようなことをしたいのかを詳細に伝えるとさらに良くなります。
【質問5】残業や夜勤はできますか?
この質問の意図は「後から問題が生じないように、労働条件を確認する」ことです。残業や夜勤ができないのに「できる」と答えると、入社後のトラブルの元となります。できない場合はその理由や、どの程度ならできるのかを伝えましょう。
お手本回答例
残業や夜勤は基本的には対応できます。残業や夜勤は、月にどの程度あるのでしょうか?
現時点では、子どもが小学校低学年で学童保育の迎えがあるため、18時以降の残業と夜勤は難しいです。4月以降は子どもが高学年になるので、残業や夜勤にも対応できるようになります。
「できる」と答える場合は、仕事に対しても意欲的で良い印象を与えます。できない場合でも、その理由やできる限り対応したいと考えているという姿勢が伝わる点が好印象です。
NG回答例
残業や夜勤はしたくありません。
この回答では「できない」と答える具体的な理由もなく、ただ「やりたくないだけ」の自己中心的な人「仕事に対してやる気がない人」とみられてしまいます。
回答のポイント
「残業や夜勤はできますか?」という質問に対する回答のポイントは、基本的には「必要であれば、残業や夜勤も積極的に行う」という姿勢をみせることです。効率よく業務をこなしていくつもりだと伝えましょう。対応できない場合は「できない理由」と、どのような条件であれば対応できるかを具体的に伝えましょう。
【質問6】何か質問はありますか?(逆質問)
この質問の意図は「応募意欲」「社風との相性」「自己アピールができるか」の確認です。自分がここで働きたいという理由が明確になっていれば、おのずと確認しておきたいことは出てくるはずです。あとから、思っていた内容とは違うという相違が生じないように、求人票やホームページなどを見て、確認したいことを準備しておきましょう。
お手本回答例
こちらで介護職の仕事をしながら、介護福祉士の資格を取得したいと思っております。資格取得支援制度ではどのような支援が受けられるのかについて教えてください。
こちらの職場では、どのような人が活躍しているのでしょうか。働くにあたって、事前に準備しておいた方が良いことや勉強しておいた方が良いことはありますか?
プラス評価されるポイントは、応募先の情報を事前に調べたうえで、入社してやりたいことが明確になっている、意欲的である、活躍したいという前向きな姿勢が感じられる点です。
NG回答例
特にありません。大丈夫です。
マイナス評価されるポイントは、入社意欲や志望する熱意が低いと判断される点です。
回答のポイント
「何か質問はありますか?」という質問に対する回答のポイントは、自己アピールの機会と捉えて、この職場で働きたいという前向きな気持ちや自分の長所を伝えること、社風を理解したうえで、自分に絡めた質問をすることです。事前に調べればわかることや、面接担当者が既に話した内容、待遇面ばかりに焦点を当てた質問は良くない印象を与えるので控えましょう。
面接は、入社後のミスマッチをなくし、次のステップで活躍するための重要な機会
面接は、自分が事業所側から判断されるだけではなく、自分自身が「こんなはずではなかったのに」という入社後のミスマッチを防ぐための機会でもあります。面接対策として、よくある質問の答えを考えることで、自分が今後どうしていきたいのか、何を目標として働いていくのかといった軸をはっきりさせることができます。次のステップに進むための自分を見つめなおす機会とも捉えて、前向きな想いを面接官に伝えられるように準備しましょう。