介護人材不足の時代に、採用に強い組織をつくる!計画的な採用活動のすすめ

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介護人材不足の時代に、採用に強い組織をつくる!計画的な採用活動のすすめ

介護業界の大きな課題の一つとして、「人材採用の難しさ」が挙げられます。

高齢化が進み介護サービスのニーズも高まる中で、人材を採用したい事業者は増加、介護業界への就職・転職を希望する求職者より、採用したい事業所の数が大きく上回る「売り手市場」の状況が加速しています。そのような中で「求人広告を出しても、全く応募がない…」「なかなか採用したいと思える人と出会えない…」といった悩みを抱える介護事業者の方も少なくないのでは、と思います。

新型コロナウイルスの影響もあり、採用市場が大きく動く今だからこそ、自組織の採用を見直し、よい人材を採用できる仕組みづくりを進めることが重要です。ここでは、そのポイントをいくつか紹介したいと思います。

「採用すること」ではなく、「職場に定着する」ことをゴールに考える。

人手不足で「誰でもよいから早く入社してほしい!」と採用を急いだ結果、自組織や介護の仕事にマッチしない人材を採用し、すぐに辞めてしまった。そんな経験をされたことはないでしょうか?

「介護職員の離職者のうち約4割は、入職後1年以内に離職している」というデータ(※)もあり、人材不足の中で「誰でもいいから」と闇雲に採用を進めた結果、定着せずに早期離職してしまい、また採用活動を一から始める…といった形を繰り返しているケースも少なくないのではと思います。

採用活動を成功に導くには、「急がば回れ」という意識を持ち、「誰でもいいから採用したい」と慌てずに、「どのような人であれば、自組織に、この仕事に向いているだろう?」と考え、職場定着を意識しながら進めていくことがポイントになります。

もちろん採用活動の工夫のみで新入職員の定着率を向上させることはできず、育成・受入の体制を整えることも重要ですが、入口となる採用の段階で自社にマッチできる可能性の高い人材を採用するという意識を持つことで、離職率の低下や、入職後の定着・活躍の可能性を高めることができるでしょう。

※公益財団法人介護労働安定センター 平成 30 年度 「介護労働実態調査」

応募がこないのは、募集が見られていない? 魅力が届いていない?

それでは、計画的に採用活動をすすめる際、どのような点を意識すればよいのでしょうか。まずは自組織で起きている課題を明確にすることが大切です。

採用活動で苦戦されている事業者の場合、最も多いのは「募集をかけても応募がない」というケースであると思います。この場合、応募がない理由は大きく2つに分けて考えることができます。

募集がみられていない

求人情報を出していても、ターゲットとなる人に届いておらず、存在を知られていない。

魅力が伝わっていない

求人情報は届いているが、記載内容で魅力が伝わらず、関心を持たれていない。

一生懸命採用活動を進めていても、なかなか応募が来ないとお悩みの場合、このどちらか、もしくはその両方で課題がある場合が殆どです。効果の出ていない活動を、見直しも行わず“何となく”継続しているだけでは、結果を出すことは難しいでしょう。自社の求人募集方法を一つひとつ振り返り、課題が生じている点をみつけ、対処していくことがポイントです。

計画のポイント①:届け方を工夫する。

求人情報を発信する手段は、ハローワーク、タウン誌、求人サイト、社員の口コミなど様々なものがあります。できる限り多くの媒体を併用し、多くの人に届けることが望ましいですが、限られた予算の中ですべての媒体を活用することは難しいと思います。
「昔から使っているから」、「無料(安価)だから」と、「採用側が利用しやすい媒体」をつい選んでしまいがちですが、その媒体は本当にターゲットが見ている媒体でしょうか? 

例えば、若手人材を採用したいとお考えの場合、若い世代の多くはスマホを使った情報収集を行っているため、WEBでの情報発信を全く行わず、昔ながらの採用活動を続けているだけでは、なかなか気づいてもらえません。

採用したいターゲット層が、どのように情報を取得しているかを考え、情報を届けるための媒体を検討することが、よい人材との出会いを生み出します。

計画のポイント②:届ける内容も工夫する。

ターゲットに見てもらえる「届け方」を工夫し、せっかく求職者に求人情報が届いたとしても、関心を持ってもらえなければ意味がありません。関心を持ち、応募を検討してもらうためにも、「届ける内容」にもこだわることが重要です。

ここでも重要なのは、「求職者目線」です。もしあなたが転職活動をするのであれば、どんな情報を知りたいでしょうか? そして、どのようなことに不安を感じるでしょうか? 

現在の求人情報がそれらの期待・不安に応えているかという視点で原稿を検証してみましょう。

例えば求人情報サイトに載せる写真一つとっても、施設の外観やただの集合写真、フリー素材のイラストでは、働くイメージは浮かびにくいもの。実際の仕事の風景がイメージできる写真に変更したところ、応募が増えたというケースもありました。このように一つひとつ求職者目線で情報を磨いていくと、より魅力的な求人情報になるはずです。

よい人材を仲間に迎えるために、「行き当たりばったりな採用」はやめよう。

繰り返しになりますが、採用活動の目的は、単に「採用すること」ではなく、その先にある「自組織に定着し、活躍する人材を迎えること」であると思います。世界一の高齢化率で、今後もますます介護サービスの需要が高まる中では、介護人材確保の難しさもどんどん高まっていくことになっていくことが予測されます。

そのような中で、行き当たりばったりに、人手確保のための採用活動と早期離職を繰り返していくのか、自社にマッチした人材を採用し、組織を安定させていくのかで、介護事業所の未来も大きく変わっていくのではないでしょうか。

1年後・3年後・10年後…によりよい組織をつくるため、採用活動を振り返り、求職者(ターゲット)目線で見直し、「届け方」「届ける内容」を工夫することから、始めてみていただければと思います。

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