中重度者ケア体制加算とは?(2023版) 職員配置要件や計算方法をわかりやすく解説

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中重度者ケア体制加算とは?(2023版) 職員配置要件や計算方法をわかりやすく解説

中重度者ケア体制加算とは、要介護3~5の利用者を受け入れるための体制をあらかじめ整えている事業所を評価する加算です。算定要件のひとつに職員の配置要件があり、正しく算定するには計算方法を理解する必要があります。

この記事では中重度者ケア体制加算の算定要件から単位数加算にまつわる計算方法などをわかりやすく解説します。最後によくある疑問を解決するためのQ&Aもまとめました。


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中重度者ケア体制加算とは?

中重度者ケア体制加算とは、中度~重度の要介護者を受け入れるための体制を積極的に整えている事業所を評価する加算です。具体的には、要介護3以上の利用者の受け入れや、専従の看護職員の配置などを行っている事業所が算定できます

対象の介護サービス種別と単位数

介護サービス種別 単位数
通所介護 45単位/日
通所リハビリテーション 20単位/日
地域密着型通所介護 45単位/日

上記は要介護の利用者だけでなく、利用者全員に加算できます。また、共生型通所介護を行っている場合は中重度者ケア体制加算を算定できないため、注意しましょう。

中重度者ケア体制加算の職員配置・算定要件

介護サービス種別 算定要件
通所介護/地域密着型通所介護
  1. 人員基準を満たしたうえで、看護職員または介護職員を常勤換算で2以上配置すること
  2. 前年度または直近3ヶ月前分の利用者総数のうち、要介護3・要介護4・要介護5の利用者の割合が30%以上であること
  3. 上記①とは別に、サービス提供時間帯を通じ、専従の看護職員を1人以上配置していること
    ※人員基準上、専従の看護職員を配置している場合は新たに配置する必要はない
  4. 中重度の要介護者であっても、社会性の維持を図るとともに、在宅生活が継続できるケアを計画的に実施するためのプログラムを作成すること
通所リハビリテーション
  1. 人員基準を満たしたうえで、看護職員または介護職員を常勤換算で1以上配置すること
上記②〜④は共通

上記における前年度の実績とは、3月を除く11ヶ月間です。運営実績が6ヶ月に満たない事業所は、算定月を含む直近3ヶ月間の実績を用いてください。なお、中重度者ケア体制加算は、認知症加算と併算定が可能です。

取り下げについて

中重度者ケア体制加算を算定する際は、看護職員または介護職員の配置要件(常勤換算で2以上 ※通所リハビリテーションに限り1以上)を毎月維持することが必要です。また、中重度の要介護者の割合についても、直近3ヶ月で計算した場合は、算定月以降も3ヶ月ごとに要件を満たしているか計算し、記録しなければなりません。

算定要件を下回った月は中重度者ケア体制加算を算定できないうえに、すぐ加算の取り下げを行う必要があります。算定を取り下げる際に必要な書類については、次の章で解説します。

中重度者ケア体制加算に関する計算方法

中重度者ケア体制加算を算定するには、算定要件を満たす看護職員または介護職員を配置しなければなりません。また、要介護3〜5の利用者の割合が30%を超える必要があります。それぞれの計算方法を具体例とともに解説します。

看護職員または介護職員の計算

算定要件のひとつとなっている看護職員または介護職員の配置については、常勤換算で計算する必要があります。常勤換算とは実際に働く職員の平均人数を計算する方法です。中重度者ケア体制加算における看護職員または介護職員を計算する手順は以下のとおりです。

  1. 日ごとの人員基準上の必要時間数を計算
    計算式:((利用者-15)÷5+1)×サービス提供時間=①
  2. 日ごとの加配時間数を算出
    計算式:中重度者ケア体制加算の対象となる職員の勤務時間数-①=②
    ※専従の看護職員は含めません
  3. 中重度者ケア体制加算における月全体の平均職員数を計算
    ②の1ヶ月合計÷常勤の職員が1ヶ月で勤務すべき時間数

利用者定員が20名、サービス提供時間が8時間、常勤の勤務すべき時間数が月160時間の通所介護のケースで計算してみます。

 
利用者数 19人 18人 20人 18人 17人
①必要時間数 14.4時間 12.8時間 16時間 12.8時間 11.2時間
介護職1 8時間 8時間 8時間 8時間
介護職2 8時間 8時間 8時間 8時間
介護職3 8時間 8時間 8時間 8時間
介護職4 6時間 6時間 6時間
介護職5 6時間 6時間 6時間
介護職6 6時間 6時間 6時間
36時間 30時間 36時間 26時間 22時間
②加配時間数 21.6時間 17.2時間 20時間 13.2時間 10.8時間 ②の合計
82.8時間

上記の場合、月曜の「①必要時間数」を求めるための計算式は以下となります。
((19-15)÷5+1)×8=14.4時間

さらに、上記の値をもとに月曜の「②加配時間数」を求めます。
36時間-14.4時間=21.6時間

この計算方法を用いて、日ごとの加配時間数を計算しましょう。仮に1ヶ月間の加配時間数が以下だった場合を想定して、最後に月全体の平均職員数を計算します。

  第一週 第二週 第三週 第四週 1ヶ月合計
②加配時間数の週合計 82.8時間 80時間 78.4時間 82.8時間 324時間

324時間÷160時間=2.025人

上記のとおり、中重度者ケア体制加算における平均職員数は常勤換算で「2.025人」で、算定要件を満たしていると確認できました。自治体によっては常勤換算計算表が用意されている場合があるため、うまく活用しましょう。

また、上記とは別に、サービスを提供している時間は常に専従の看護職員を1人以上配置する必要があります。

<算定可否事例1>サービス提供時間9:00~16:00の場合の図
引用:令和4年度集団指導 ~通所介護~|富山県厚生部高齢福祉課

そのため上記の例2は不適切となります。看護職員は他の職務と兼務できないため、配置する際は十分に気をつけましょう。

中重度要介護者の割合の計算

中重度要介護者が全体の30%を満たしているか確認するためには、「中重度要介護者数÷利用者総数×100」の計算式を用います。3ヶ月で計算する場合の一例をご紹介します。

利用人数/月 4月 5月 6月 3ヶ月の合計
要介護1 5 5 5 15
要介護2 6 4 6 16
要介護3 3 3 2 8
要介護4 2 2 1 5
要介護5 1 1 1 3
        47

上記の場合、計算式は「(8+5+3)÷47×100=34.04…」となり、30%を超えていることがわかります。

中重度者ケア体制加算の算定方法

算定する際に必要な届け出の書き方や、提出書類などについて解説します。あわせて加算の取り下げに必要な手続きについてまとめました。

提出書類

中重度者ケア体制加算を算定する際には、主に以下の3種類の書類を提出します。加算を取り下げる場合も同様の書類の提出が必要です。

  • 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
  • 介護給付費算定に係る体制等状況一覧表
  • 中重度者ケア体制加算に係る届出書
  • 利用者の割合に関する計算書(中重度者ケア体制加算)

認知症加算を一緒に算定する事業所は、上記に加え、「認知症加算に係る算定表」などを用意してください。

新年度から算定したい場合、毎年3月15日までに届け出を提出します。年度の途中から算定する際は、算定したい月の前月15日までに提出しましょう。

なお、前年度も中重度者ケア体制加算を算定しており、新年度に引き続き算定するための要件を満たしている場合は、新たな届け出の提出は不要です。

届け出の書き方

「中重度者ケア体制加算に関する届出書」には、事業所名や事業所番号などの基本情報を書き入れるとともに、算定要件を満たしているかのチェック項目欄にチェックを入れます。

(参考様式A-1)中重度者ケア体制加算に関する届出書
引用:中重度者ケア体制加算に関する届出書 ≪(地域密着型)通所介護事業所|札幌市役所

中重度の要介護者の割合については、実績の記入が必要です。各自治体の様式に従い、記入しましょう。

中重度者ケア体制加算のQ&A

最後に、中重度者ケア体制加算を算定する際に、よくある疑問点をQ&A形式で解説していきます。

要介護状態が途中で変更になった場合は?

月の途中で利用者の要介護状態の区分が変更になった場合は、月末の要介護度を用います。そのため利用開始時の要介護度が3であっても、月末に要介護度2に上がった場合は、中重度要介護者数として数えることができません。

看護職員が欠勤した場合は?

中重度者ケア体制加算では専従の看護職員1人以上の配置が求められるため、欠勤がある場合は算定要件を満たしていないと判断され、加算の算定ができません。毎日継続して配置し、加算要件を満たすことが求められますが、やむを得ず一時的に専従の看護職員に欠勤が生じた場合は、その日を除して加算を算定してください。

算定要件のひとつ「プログラムの作成」とは?

介護保険最新情報vol.454では、プログラム作成について以下の回答が記されています。

今までその人が築いてきた社会関係や人間関係を維持し続けられるように、家庭内の役割づくりのための支援や、地域の中で生きがいや役割をもって生活できるような支援をすることなどの目標を通所介護計画又は別途作成する計画に設定し、通所介護の提供を行う必要がある。

引用:平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(平成27年4月1日)|厚生労働省

たとえば園芸の趣味があった利用者に施設内で野菜や花を育ててもらったり、針仕事が得意な方に裁縫を楽しんでもらったりなど、これまでの生活で馴染みのある活動をしてもらう方法が考えられます。

園芸活動であれば、利用者ごとに草むしりや水やりなどの役割をそれぞれ担当してもらうことで、生活に意欲ややりがいを見出すきっかけにもなります。

そのほか、手先にしびれがあるなど動きに制限がある場合でも、簡単な食器洗いなどの役割を担うことができるでしょう。利用者の生活習慣や地域における役割などを理解することで、その人に見合ったプログラムを作成することができます。

そのため、中重度者ケア体制加算を取得するには、ケアマネジャーとの連携が非常に重要です。事前にケアマネジャーへ加算要件の説明を行い、ケアプランの2表に「生活全般の解決すべき課題」と「目標」などを追加するよう依頼してください。ケアプランの位置付けを確認し、計画書作成を行うことが大事です。さらにご利用者およびそのご家族へ説明をし、同意、交付を行ってください。

中重度者ケア体制加算の算定には人員配置が重要

中重度者ケア体制加算は、要介護度3~5の利用者を全体の30%以上受け入れ、かつ必要な人材の確保やプログラムの作成を行っている事業所が算定できます。算定するには、適切な人員の配置と対応力が重要です。人員に関する算定要件を満たせるよう、まずは計算方法を正しく理解しましょう。

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