ケアプランの標準様式改正と自立支援型ケアプラン

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ケアプランの標準様式改正と自立支援型ケアプラン

厚生労働省は年度末の3月31日、ケアプランの新たな標準様式や記載要領などを周知されました。

改正は2008年7月依頼ですが、介護保険最新情報のVol.958で周知、居宅介護支援の書類や事務手続きに関連する通知(介護保険最新情報Vol.959)、居宅サービス計画作成依頼届け出書の雛形(介護保険最新情報Vol.957)も改正、見直した部分を赤字で記載されています。

ケアマネジャーの初任者研修や更新研修を最近受けられた方々からは、「社会資源の活用を研修では教わったが、つながる改正だった・・・。」という前向きなお声も頂いています。

今回は、一人ケアマネジャーからのご質問にお答えし、具体的にどのような点に変更点があったかをご説明しますので、ご活用頂ければ幸いです。


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ケアマネジャーからの質問

一人ケアマネジャーです。今回、ケアプランの新たな標準様式や記載要領などの変更がありましたが、日頃、他の事業所のケアマネジャーとの交流もなく、大変不安を感じています。今後ケアプランチェックも受けることもあるので、ポイントやアドバイスがありましたら、教えてください。

回答

ケアプランの標準様式変更点の内容と従来からの考え方

従来からの実地指導の際にも「自立支援」に基づいたケアプランとなっているか、居宅サービス事業所と医療機関の連携が行われているか、サービス担当者会謙やモニクリングが適切に行われているかなどといった点を、より強化して確認されるようになっていました。

変更点① 1表の「利用者及び家族の生活に対する意向」

「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」という具合に文言が追加記載要領でも、「利用者及びその家族が、どのような内容の介護サービスをどの程度の頻度で利用しながら、どのような生活をしたいと考えているのかについて意向を踏まえた課題分析の結果を記載する」と明記がされています。

居宅介設支援を行う際には、利用者およびご家族に、「残存能力の活用」「自己決定」「サービスの継統性」「自立支援」「利用者本位」といった介設保険の理念やサービス利用の仕組みについて説明します。

ケアマネジャーは一部のサービスやサーピス事架者の利用に偏らないように調整するなど公正中立な立場で、介護保険は一人ひとりの能力に合わせ、できないことは介助や機能訓練を受けて自分でできるようにするといった「自立支援」を理念としていることそのためのケアプランを策定することを丁寧に説明しましよう。

その際、ケアプランは改善する可能性、維持の必要性、悪化の危険性を検討した上で、「現状維持以上を目指す」「改善の可能性が低い分はケアで補う」「悪化を予防する」ことが基本であることを説明します

変更点② 利用者の残存機能=保有能力の把握に重点が置かれた

  1. 課題分析の結果として、「自立支援」に資するために「解決しなければならない課題」が把握できているか確認する。
  2. 利用者の主訴や相談内容等を踏まえた、「利用者が持っている力や生活環境等の評価」を含め「利用者が抱える問題点」

を明らかにしていく。

まずは、「自立支援」のための課題解決のプロセスを記載しましょう。

ICFを基本に、利用者のプラスのどんな現有能力=残存機能を持っているか、例:歩行が出来る・右手は自由に動かせる・認知機能は問題ないに着目しましょう。

家族によっては歩行が可能なのに、転倒リスクを考えるあまり「歩かせないようにしたい」という方もおられると思いますが。  

主訴や相談内容等はあくまで「踏まえる」で、「その発揮を妨げている環境因子は何か」を把握することに視点を向けましょう。

変更点③2表「解決すべき課題」の記載要領も見直しされた

手順としては

  1. 解決していかなければならない課題の優先順位から位置付ける
  2. 目標立案には、利用者自身の力で取り組めること(自助)・家族や地域の協力でできること(共助)を意識し、関わる全ての方が支援することで「できるようになること」などを整理しながら、具体的な方法や手段を分かりやすく記載する。
  3. 目標に対する援助内容では、「いつまでに、誰が、何を行ない、どのようになるのか」という、目標達成に向けた取り組みの内容やサービスの種別・頻度や期間を設定し、利用者自身が取り組むことができ、一定期間に達成できる実現可能な目標になっているかも重要になります。

まとめ

今回の改定では、目標達成の手段として、インフォーマルが重要視されています。

特定事業所加算の改定で、「インフォーマルサービスを含む、多様な主体等による生活支援サービスを包括的にケアプランに位置づける」ことが要件化されました。

民間の生活支援サービスも普及し、「保険給付だけに頼らない生活支援」も重要視され、以前から市区町村のケアプランチェックでも確認されてきた「家族支援・インフォーマル・医療など介護保険外の支援」の記載にもつながっています。

ケアマネジャーの研修でも「アセスメント表、課題分析表が優先ではなく、ケアプラン作成を優先していた」「課題分析表の作成をやらなければいけないとは分かっていても、手間がかかるので作成していなかった」というお声も聞かれていました。

今回の改定は居宅介護支援だけでなく、施設においても同様に「一連のケアマネジメントプロセス」を再確認する良い機会になると思いますので、前向きに取り組んで頂ければ幸いです。

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