サービス提供体制強化加算とは介護福祉士や勤続年数の長い介護職員を配置し、サービスの質を高めている施設・事業所を評価する加算です。なお、2024年度の介護報酬改定では算定要件や単位数に変更はありませんでした。
この記事ではサービス提供体制強化加算の算定要件と単位数をわかりやすくまとめました。介護職員の総数の計算方法や注意事項もまとめたので、算定を目指す施設・事業所は参考にしてください。
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目次
サービス提供体制強化加算とは?
サービス提供体制強化加算とは、介護福祉士の割合や看護師などの勤続年数などの要件に基づき、定められた人員を配置した施設・事業所を評価する加算です。
2021年度介護報酬改定では、介護現場で働く職員の専門性を評価したうえでのキャリアアップや、それに伴う利用者に対するサービス提供の質の向上を促進する観点で、見直しが行われました。2024年度の介護報酬改定では、サービス提供体制強化加算の算定要件や単位に変更はありませんでした。
サービス提供体制強化加算の対象サービス種別と単位数
サービス種別 | 単位数 | |
---|---|---|
通所介護 通所リハビリテーション 地域密着型通所介護 認知症対応型通所介護 |
Ⅰ:22単位/回 Ⅱ:18単位/回 Ⅲ:6単位/回 |
|
介護予防通所リハビリテーション | 要支援1 |
Ⅰ:88単位/月 Ⅱ:72単位/月 Ⅲ:24単位/月 |
要支援2 |
Ⅰ:176単位/月 Ⅱ:144単位/月 Ⅲ:48単位/月 |
|
療養通所介護 | Ⅲ:(イ)48単位/月・(ロ)24単位/月 | |
訪問看護 訪問リハビリテーション |
Ⅰ:6単位/回 Ⅱ:3単位/回 |
|
訪問入浴介護 | Ⅰ:44単位/回 Ⅱ:36単位/回 Ⅲ:12単位/回 |
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介護老人福祉施設 地域密着型介護老人福祉施設 介護老人保健施 介護療養型医療施設 短期入所生活介護 短期入所療養介護 介護医療院 特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護 認知症対応型共同生活介護 |
Ⅰ:22単位 Ⅱ:18単位 Ⅲ:6単位 |
|
小規模多機能型居宅介護 看護小規模多機能型居宅介護 |
Ⅰ:750単位/月 Ⅱ:640単位/月 Ⅲ:350単位/月 |
|
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
〈一体型・連携型〉 Ⅰ:750単位/月 Ⅱ:640単位/月 Ⅲ:350単位/月 |
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〈夜間訪問型〉 Ⅰ:22単位/回 Ⅱ:18単位/回 Ⅲ:6単位/回 |
サービス提供体制強化加算の算定要件
介護サービス種別ごとに、サービス提供体制強化加算の算定要件を解説します。
通所介護・通所リハビリテーション・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
単位数 | 算定要件 |
---|---|
Ⅰ:22単位/回 | 以下のいずれかの基準を満たすこと ①介護職員の70%以上が介護福祉士の資格を保有 ②介護職員の25%以上が勤続年数10年以上の介護福祉士 |
Ⅱ:18単位/回 | 介護職員の50%以上が介護福祉士の資格を保有 |
Ⅲ:6単位/回 | 以下のいずれかの基準を満たすこと ①介護職員の40%以上が介護福祉士の資格を保有 ②介護職員の30%以上が勤続年数7年以上 |
※定員超過利用と人員基準欠如に該当していないこと
※いずれも併算定は不可
介護予防通所リハビリテーション
単位数 | 算定要件 | |
---|---|---|
Ⅰ | 要支援1:88単位/月 | 介護職員の50%以上が介護福祉士の資格を保有 |
要支援2:176単位/月 | ||
Ⅱ | 要支援1:72単位/月 | 介護職員の40%以上が介護福祉士の資格を保有 |
要支援2:144単位/月 | ||
Ⅲ | 要支援1:24単位/月 | 介護職員の30%以上が勤続年数3年以上 |
要支援2:48単位/月 |
※定員超過利用と人員基準欠如に該当していないこと
※いずれも併算定は不可
上記のように、介護予防通所リハビリテーションの場合、サービスを提供する利用者の要支援状態区分によって単位数が変動します。
訪問看護・訪問リハビリテーション・療養通所介護
単位数 | 算定要件 | |
---|---|---|
訪問看護 | Ⅰ:6単位/回 ※定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携し訪問看護を行う場合は50単位/月 |
①看護師などすべての職員が個別の研修計画を作成、研修の実施(予定も含む)などを行うこと ②技術指導や留意事項などの伝達を目的とした定期的な(おおむね1ヶ月に1回以上)会議を開催すること ③看護師などすべての職員が定期的な(年1回以上)健康診断を受けること ④看護師の総数の30%以上が勤続7年以上 |
Ⅱ:3単位/回 ※定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所と連携し訪問看護を行う場合は25単位/月 |
上記①~③を満たすこと ④看護師の総数の30%以上が勤続3年以上 |
|
訪問リハビリテーション | Ⅰ:6単位/回 | 利用者に直接リハビリテーションを提供する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち勤続年数7年以上の者がいること |
Ⅱ:3単位/回 | 利用者に直接リハビリテーションを提供する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のうち勤続年数3年以上の者がいること | |
療養通所介護 | Ⅲ:(イ)48単位/月 | 介護職員の30%以上が勤続年数7年以上 |
Ⅲ:(ロ)24単位/月 | 介護職員の30%以上が勤続年数3年以上 |
※いずれも併算定は不可
訪問入浴介護
単位数 | 算定要件 | |
---|---|---|
訪問入浴介護 | Ⅰ:44単位/回 | ①すべての訪問介護員などが個別の研修計画を作成、研修の実施(予定も含む)などを行うこと ②技術指導や情報伝達を目的とした定期的な会議を開催すること ③すべての訪問介護員が定期的な健康診断を受けること ④次のいずれかに該当すること 1.訪問介護員の60%以上が介護福祉士の資格を保有 2.訪問介護員の25%以上が勤続年数10年以上の介護福祉士 |
訪問入浴介護 | Ⅱ:36単位/回 | Ⅰの①~③を満たすこと ④次のいずれかに該当すること 1.訪問介護員の40%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の合計が60%以上 |
訪問入浴介護 | Ⅲ:12単位/回 | Ⅰの①~③を満たすこと ④次のいずれかに該当すること 1.訪問介護員の30%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の合計が50%以上 3.訪問介護員の30%以上が勤続年数7年以上 |
※いずれも併算定は不可
介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・短期入所生活介護・短期入所療養介護・介護医療院
単位数 | 算定要件 |
---|---|
Ⅰ:22単位/回 | ①以下のいずれかの基準を満たすこと 1.介護職員の80%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護職員の35%以上が勤続年数10年以上の介護福祉士 ②サービスの質の向上に向けた取り組みを行っていること ※短期入所生活介護・短期入所療養介護は②の要件を満たさなくて良い |
Ⅱ:18単位/回 | 介護職員の60%以上が介護福祉士の資格を保有 |
Ⅲ:6単位/回 | ①以下のいずれかの基準を満たすこと 1.介護職員の50%以上が介護福祉士の資格を保有 2.看護・介護職員の75%以上が常勤職員 3.介護護員の30%以上が勤続年数7年以上 |
※定員超過利用と人員基準欠如に該当していないこと
※いずれも併算定は不可
※介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設は日常生活継続支援加算との併算定が不可
特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護・認知症対応型共同生活介護
単位数 | 算定要件 |
---|---|
Ⅰ:22単位/回 | ①以下のいずれかの基準を満たすこと 1.介護職員の70%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護職員の25%以上が勤続年数10年以上の介護福祉士 ②サービスの質の向上に向けた取り組みを行っていること ※認知症対応型共同生活介護は②の要件を満たさなくて良い |
Ⅱ:18単位/回 | 介護職員の60%以上が介護福祉士の資格を保有 |
Ⅲ:6単位/回 | ①以下のいずれかの基準を満たすこと 1.介護職員の50%以上が介護福祉士の資格を保有 2.看護・介護職員の75%以上が常勤職員 3.介護職員の30%以上が勤続年数7年以上 |
※定員超過利用と人員基準欠如に該当していないこと
※いずれも併算定は不可
小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護
単位数 | 算定要件 |
---|---|
Ⅰ:750単位/月 ※短期利用居宅介護費の算定時は25単位/日 |
①介護職員ごとに個別の研修計画を作成、研修の実施(予定も含む)などを行うこと ②技術指導や情報伝達を目的とした定期的な会議を開催すること ③次のいずれかに該当すること 1.介護職員の70%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護職員の25%以上が勤続年数10年以上の介護福祉士 |
Ⅱ:640単位/月 ※短期利用居宅介護費の算定時は21単位/日 |
Ⅰの①②を満たすこと ③介護職員の50%以上が介護福祉士の資格を保有 |
Ⅲ:350単位/月 ※短期利用居宅介護費の算定時は12単位/日 |
Ⅰの①②を満たすこと ③以下のいずれかの基準を満たすこと 1.介護職員の40%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護職員の60%以上が常勤職員 3.介護職員の30%以上が勤続年数7年以上 |
※いずれも看護師・准看護師は介護職員として含まない
※定員超過利用と人員基準欠如に該当していないこと
※いずれも併算定は不可
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
単位数 | 算定要件 | |
---|---|---|
Ⅰ | 一体型・連携型:750単位/月 夜間訪問型:22単位/回 |
次のいずれかに該当すること 1.介護職員の60%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護職員の25%以上が勤続年数10年以上の介護福祉士 |
Ⅱ | 一体型・連携型:640単位/月 夜間訪問型:18単位/回 |
次のいずれかに該当すること 1.介護職員の40%以上が介護福祉士の資格を保有 2.介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の合計が60%以上 |
Ⅲ | 一体型・連携型:350単位/月 夜間訪問型:6単位/回 |
次のいずれかに該当すること 1.介護職員の30%以上が介護福祉士の資格を保有、または介護福祉士・実務者研修修了者・介護職員基礎研修課程修了者の合計が50%以上 2.60%以上が常勤職員 3.介護職員の30%以上が勤続年数7年以上 |
※いずれも併算定は不可
サービス提供体制強化加算における介護職員の総数の計算方法
サービス提供体制強化加算では、常勤換算で前年度の実績(3月を除く11ヶ月間)をもとに平均値を計算し、要件を満たせるか確認します。そのため非常勤職員においても常勤換算しなければなりません。計算方法は以下を参考にしてください。
【常勤換算の計算式】※1ヶ月(4週間で計算)
非常勤職員の勤務時間総数÷常勤職員の勤務時間
常勤職員の勤務時間数が1ヶ月160時間で、月124時間、月100時間勤務の非常勤職員がいる場合の計算式は以下です。
(126+98)÷160=1.4
つまり、上記のケースでは2人の非常勤職員は1.4人分として考えることができます。
サービス提供体制強化加算の注意点
サービス提供体制強化加算を算定するうえでは勤続年数の考え方をよく理解しておく必要があります。勤続年数は、同一法人で勤務した年数を指します。異なる介護サービス種別や、職種に従事していても同一法人であれば通算できます。育休や産休、介護休業制度を利用している間も勤続年数として数えられます。
また、サービス提供体制強化加算を算定するには、算定要件確認表などを参考に、要件を満たしていることを確認できる書類を作成、提出しなければなりません。この根拠となる書類は、事業所で5年間保存する必要があります。
サービス提供体制強化加算は、退職者が出ると加算の取得に影響が出てしまう加算です。日頃から介護職員とコミュニケーションを図り、介護福祉士を取得しやすい環境整備と、退職者が出にくい職場づくりに努めてください。