常勤換算の計算方法と注意点をわかりやすく解説

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常勤換算の計算方法と注意点をわかりやすく解説

常勤換算は、介護事業所で実質的に働いている職員の数を計算する方法であり、事業所が必要な人員配置基準を満たしているかどうかを確認するために用いられます。

計算自体はそれほど難しくありませんが、非常勤や兼務の取り扱いなどに悩む方が多いかもしれません。そこで本記事では、この常勤換算の計算方法について、注意点を交えながらわかりやすく解説します。


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常勤換算とは?定義と必要性

常勤換算とは、非常勤職員の労働時間が常勤職員の何人分に相当するのかを換算して、介護事業所全体で実質的に働いている職員の数を算出する方法です。

具体的には、職員の働き方を以下の4つに分け、それぞれを「常勤・専従」に換算すると何人分に当たるのか算出します。一般的に、常勤は正職員、専従者は一つの職種に従事する人のことを指します。

  1. 常勤・専従
  2. 常勤・兼務
  3. 非常勤・専従
  4. 非常勤・兼務

介護施設や居宅介護サービスを運営するためには、介護保険法で定められている人員配置基準を満たす必要があります。その基準を満たしているかどうか正しく判断するには、介護事業所で働く人数の正しい把握が欠かせません。その際に、この常勤換算を用いて人数を算出します。

常勤換算の計算方法

常勤換算の計算式は以下の通りです。

【常勤・専従職員の人数+(非常勤職員の労働時間の合計÷所定労働時間)=常勤換算人数】

この常勤換算人数を、以下4つのステップに従って計算していきます。

  1. 週当たりの労働時間を計算する
  2. 常勤・専従の職員の人数を把握する
  3. 非常勤または兼務の職員の労働時間を計算する
  4. 常勤・専従の人数と、それ以外の常勤換算人数を合算する

1.週当たりの労働時間を計算する

介護事業所の就業規則で所定労働時間を確認し、週当たりの労働時間を計算します。たとえば、1日の所定労働時間が8時間、そして週休2日制の事業所なら、週当たりの労働時間は8×5=40時間です。

ただし、就業規則で1週間の労働時間が32時間以下に定められている場合、常勤換算では32時間として計算します。

2.常勤・専従の職員の人数を把握する

正職員かつ一つの職種に従事する「常勤・専従」の職員を、1人=1.0人とカウントします。

非常勤でも常勤扱いとなるケース

非常勤職員が介護や育児のための短時間勤務制度を利用している場合でも、週に30時間以上働けば常勤扱いになります。また、1日8時間、週5日勤務している非常勤職員の場合、就業規則で1日8時間、週休2日制が規定されている事業所では常勤扱いになります。

3.常勤・専従以外の職員の労働時間を計算する

以下の表を例に、常勤・専従以外の職員の労働時間を計算してみましょう。

  職種 勤務形態 第1週 第2週 第3週 第4週 合計 週平均
A 生活相談員 常勤・専従 40 32 40 40 152 38
B 生活相談員 常勤・兼務 10 16 11 10 47 11.75
B 介護職員 常勤・兼務 20 24 13 24 81 20.25
C 生活相談員 非常勤・専従 12 15 20 12 59 14.75

単位:時間 週当たりの労働時間は40時間

Bの職員は生活相談員と介護職員を兼務しています。そのため、各業務に従事する時間の算出が必要です。またCの職員は、1週間当たり限られた時間で勤務していて、生活相談員のみの業務に従事しているので非常勤・専従です。

この事業所では、BとCが常勤・専従以外の職員に該当します。そして、BとCの週平均の労働時間、そしてその合計労働時間は以下の通りです。

B:11.75時間+20.25時間=32.0時間
C:14.75時間
合計:32.0時間+14.75時間=46.75時間

この事業所では、週当たりの労働時間が40時間です。そのため、常勤・専従以外の職員の人数は、常勤換算で以下のようになります。

46.75÷40=1.168…人=1.1人(小数第2位以下は切り捨て)

常勤職員と非常勤職員の労働時間計算のルール

常勤職員の有給休暇や出張は、労働時間として計算されます。ただし、1ヶ月以上の休暇(育児休暇や産後休暇、介護休暇含む)や長期出張の場合は、その期間は労働時間の計算から除外されます。

一方で非常勤職員は、有給休暇や出張は労働時間として計算されず、実際に働いた時間のみ計算されます。これは、育児休暇後に短時間勤務をしている常勤職員も同様です。

兼務者の労働時間計算のルール

同じ敷地内で複数の事業所を運営している場合、その事業所での兼務であれば労働時間を合算できます。ただし、事業所が地理的に離れていたり、同時に業務を行うことが難しいと判断されたりする場合は、それぞれの事業所における職種ごとの労働時間で計算する必要があります。

4.常勤・専従の人数と、それ以外の常勤換算人数を合算する

上記の例において、Aの職員は生活相談員の業務のみを行っているので、常勤・専従の職員として1.0人とカウントします。常勤・専従以外の職員を常勤換算した人数は1.1人なので、常勤換算したこの事業所での人数は以下の通りです。

1.0+1.1=2.1人

このように、職種ごとに常勤換算したうえで、人員配置基準の人員を満たしているか確認します。もし基準を満たしていなければ、人員配置の見直しが必要です。

後述しますが、医療や介護の現場では介護事業所ごとに人員配置基準が定められているため、常に基準を満たした勤務表を作成しなくてはいけません。

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介護事業所で厳守すべき人員配置基準について

人員配置基準とは、介護事業所が利用者の数に応じて配置しなければならない職員数を定めた基準のことです。人員配置基準に違反した場合、事業所の指定取り消しや効力停止の処分が下される可能性があります。

また令和3年度の介護報酬改定では、常勤換算の見直しが行われました。具体的には、「本来常勤として勤務していた職員が産前産後休業や介護休業を取得した際には、同様のスキルを持つ複数の非常勤職員を常勤換算することで、人員配置基準を満たすことが可能」となっています。

なお、介護事業所では、それぞれ必要とされる職種の人員配置基準が定められています。事業所ごとの人員配置基準は、以下の記事で解説していますので参考にしてください。

常勤換算を計算し基準を満たしてシフト表を作成しよう

常勤換算の計算方法について、注意点を踏まえながら解説しました。

人員配置基準を満たして介護事業所を運営するには、勤務している職員の正確な人数の把握が欠かせませんが、介護事業所では常勤だけでなく非常勤や兼務、あるいは時短勤務などさまざまな働き方があり管理が煩雑になります。

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