送出機関とは?役割、各国の違い、費用と選び方など

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送出機関とは?役割、各国の違い、費用と選び方など

送出機関とは日本での労働を希望する外国人人材を日本へ取り次ぐ団体です。送出機関は企業との面接や外国人の教育などを行い、日本と外国人人材の雇用締結をサポートします。

この記事では送出機関の仕事内容や要件などの基本情報のほか、国ごとの違いなどを解説していきます。送出機関の選び方についてもまとめているので、外国人人材を受け入れたい企業は参考にしてください。


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送出機関とは

送出機関とは、技能実習や特定技能などの制度を利用し、日本で働きたい外国人を送り出す機関の総称です。現在、主要の送出機関は、ミャンマーやベトナムをはじめ、以下16カ国にあります。

【主要送出国】

  1. インド
  2. インドネシア
  3. ウズベキスタン
  4. カンボジア
  5. スリランカ
  6. タイ
  7. 中国
  8. ネパール
  9. パキスタン
  10. バングラデシュ
  11. フィリピン
  12. ベトナム
  13. ペルー
  14. ミャンマー
  15. モンゴル
  16. ラオス

送出機関の主な役割は、日本での労働を希望する外国人の集客や、送り出し前に行う自国での日本語教育、企業との面接準備および対応などです。次に詳しく説明します。

役割と業務

送出機関の主な役割と業務は主に以下のとおりです。

  • 日本で働きたい人材の募集・選考
  • 監理団体や受入れ企業へ人材の紹介
  • 本人との面談
  • 企業との面接準備や対応
  • 関係書類の提出や申請に関するサポート業務
  • 事前の日本語教育など
  • 入国後のお問い合わせやトラブル時の対応、フォロー

技能実習の制度においては、監理団体と提携し、実習生を日本へ送り出します。技能実習生帰国後の就職先の斡旋などもサポートします。特定技能の場合は、送出機関を利用しなくても外国人が雇用できます。しかしカンボジアなど一部の国では必ず送出機関を利用しなければなりません。

関連記事:【比較表付き】特定技能と技能実習の違いとは?メリット・選び方

要件

技能実習制度における送出機関の要件は以下のとおりです。

【規則 第25条における外国の送出機関の要件(概略)】

  • 所在する国又は地域の公的機関から推薦を受けている
  • 制度の趣旨を理解して候補者を適切に選定し、送り出す
  • 技能実習生等から徴収する手数料等の算出基準を明確に定めて公表し、技能実習生に明示して十分理解させる
  • 技能実習修了者(帰国生)に就職の斡旋等必要な支援を行う
  • 法務大臣、厚労大臣又は外国人技能実習機構からのフォローアップ調査、技能実習生の保護に関する要請などに応じる
  • 当該送出機関又はその役員が、日本又は所在国の法令違反で禁錮以上の刑に処せられ、刑執行後5年を経過しない者でない
  • 当該送出機関又はその役員が、過去5年以内に
    • 保証金の徴収他名目を問わず、技能実習生や親族等の金銭又はその他財産を管理しない(同様の扱いをされていない旨 技能実習生にも確認)
    • 技能実習に係る契約の不履行について違約金や不当な金銭等の財産移転を定める契約をしない(同様の扱いをされていない旨 技能実習生にも確認)
    • 技能実習生に対する人権侵害行為、偽造変造された文書の使用等を行っていない
  • 所在国または地域の法令に従って事情を行う
  • その他取次に必要な能力を有する

引用:送出し国・送出機関 | 外国人技能実習制度 | JITCO – 公益財団法人 国際人材協力機構

監理団体との違い

監理団体とは、技能実習生を受け入れる際に利用できる非営利団体です。送出機関が外国人を日本企業に斡旋する役割がある一方で、監理団体は外国人を採用したい受入れ企業のサポートをする役割があります。現地で技能実習生の採用活動ができない企業は、監理団体を利用して採用を進めます。

引用:外国人技能実習制度について|法務省 出入国在留管理庁

上記のように監理団体は送出機関と提携し、技能実習生の受入れを行います。実習生の入国後、約2ヶ月間監理団体による講習が行われてから、介護施設や事業所での実習がスタートします。

費用目安

技能実習の制度において、監理団体および受入れ企業は、送出機関に送出し管理費を支払う必要があります。送出し管理費の相場は、ひと月あたり1人25,000円です。

国ごとの送出機関の違い

国ごとの送出機関の特徴や、現状について表でまとめました。

    特徴
1 インド 技能実習においては、かねてより職業訓練を行っていた民間の訓練企業が送出機関に認定されている。日系企業に採用された人材への教育を行っていた送出機関も多く、ノウハウを活かした事前教育を実施。特定技能では介護で採用される人材も多い。
2 インドネシア 技能実習の送出機関のほとんどがLPKと呼ばれる職業訓練機関。他国と異なり、日本の技能実習に特化したライセンスが付与されている点が特徴。
3 ウズベキスタン 技能実習の送出機関は、一時期約60機関あったものの、政府への供託金の引き上げに伴い、数が減少。現在は7機関のみ。特定技能においては、国内に特定技能試験準備センターが開設され、試験の実施が進められている。
4 カンボジア 特定技能においては、登録証明書の発行申請などを含め、送出機関の利用が必須となっている。日本国内で特定技能の外国人を採用する場合も、同様に送出機関の利用が必要。
5 スリランカ 特定技能の日本語試験、技能試験ともに実施実績あり。農業に次いで、介護に従事する人材が多い。
6 タイ タイへ進出している日本企業が多いことから、企業が技能実習生を直接雇用する企業単独型の比率が高い。監理団体がタイ大使館労働担当官事務所に提携する送り出しを登録するなど、特有の手続きがある。
7 中国 技能実習、特定技能ともに二国間取決めが未締結。そのため技能実習制度においては、他国に比べ、外国人技能実習機構に提出する送出機関の資料が多い。特定技能における規則・手続きも明らかになっていないが、両国の法令を順守すれば受入れは可能。
8 ネパール 特定技能制度で日本に入国した人材のうち、約半分が介護職に従事している。技能試験と日本語試験の実績もあり。技能実習は二国間取り決めが未締結。
9 パキスタン 政府が人材の海外派遣に力を入れている。特に日本で技能実習制度を利用し、母国への技術移転を進めたい意向がある。これまで政府系機関のみだったが、民間の送出機関が増えている。
10 バングラデシュ 特定技能の技能試験、日本語試験ともに未実施だが、介護の職に就く人材が多い傾向にある。
11 フィリピン ベトナム・中国・インドネシアに次ぎ、日本の在留者数が多い。明るくフレンドリーな性格の人材が多いため、介護分野での活躍が期待されている。特定技能では、フィリピン特有の手続きが必要。
12 ベトナム 技能実習の送出機関は増加傾向にある。実習生はあらゆる地域・職種でまんべんなく活躍中。送り出し管理費や事前講習費用など、ベトナム特有の規則や手続きがある。
13 ペルー 二国間取決めが未締結。労働・雇用促進省(MTPE)より政府認定の送出し機関を選定中との情報があり、送出機関数は現在確認中である。
14 ミャンマー 特定技能において、政府から認定を一定期間無効とされている送出機関があるため、注意が必要。
ミャンマー政府から認定を一定期間無効とされている機関|出入国管理庁
15 モンゴル 技能実習における在留者数が増加しており、特に介護の人材が多い傾向にある。モンゴル語の語順が日本語と類似しており、日本語の習得率が高い点も特徴。特定技能では送出機関と契約を結ぶ必要あり。
16 ラオス 特定技能においては二国間取決めが未締結。技能試験、日本語試験ともに未実施で、技能実習生から特定技能の在留資格に移行する技能実習ルートを利用する人材がほとんど。

送出機関の選び方

続いて、送出機関の選び方について、5つのポイントを解説します。

政府認定の送出機関を選ぶ

トラブルを回避するには、政府認定の送出機関を選ぶことがもっとも重要です。送り出し国の政府に認定されている機関は、適正に業務を遂行していることを事前に審査で認められている機関となります。

ただし、中国とネパールは二国間協力覚書を締結していないため、現行制度に準じた政府認定の送出機関はありません。この場合は、送り出し国や所在地域の公的機関から推薦された機関であるか確かめましょう。

以下は、外国人技能実習機構および、出入国在留管理庁で公表されている送出機関の一覧です。

【各国の送出機関一覧】
    技能実習 特定技能
1 インド 送出機関リスト 送出機関リスト
2 インドネシア 送出機関リスト 送出機関リスト
3 ウズベキスタン 送出機関リスト 送出機関リスト
4 カンボジア 送出機関リスト 送出機関リスト
5 スリランカ 送出機関リスト 送出機関リスト
6 タイ 送出機関リスト 送出機関リスト
7 中国 中国国家外国専家局
中国中日研修生協力機構
※現行制度前の送出機関になります。
8 ネパール 送出機関リスト
※現行制度前の送出機関になります。
9 パキスタン 送出機関リスト 送出機関リスト
10 バングラデシュ 送出機関リスト 送出機関リスト
11 フィリピン 送出機関リスト 送出機関リスト
12 ベトナム 送出機関リスト 送出機関リスト
13 ペルー ※現在、送出機関の選定を行っているため、詳細は確認中です。
14 ミャンマー 送出機関リスト 送出機関リスト
15 モンゴル 送出機関リスト 送出機関リスト
16 ラオス 送出機関リスト

担当者の日本語能力をチェックする

外国人を受け入れる際には、日本語のレベルをまず確認しましょう。その際に指標のひとつとなるのが、教育担当者の日本語能力です。担当者の日本語スキルが十分でない場合、外国人人材に対する日本語教育の水準が低い可能性が考えられます。

送出機関によって入国前の教育方針はさまざまです。なかには、日本語やビジネスマナーなどの教育を1年間行ってから、マッチングを進める送出機関もあります。実際にどのようなカリキュラムで教育を行っているか、担当者に聞いたり、現地で教育課程を見学したりなどチェックする方法もひとつの手です。

送出機関に払う費用が適切か確認する

技能実習制度の場合、送出機関に払う費用は一律になっておらず、機関やその契約内容により費用が異なります。この費用は実習生に対する事前教育や、入国後の相談・支援にかかる費用にあてられます。しかし、なかには必要以上に高額な費用を請求するケースもあるため、十分な注意が必要です。送出し国と日本の二国間の取り決めに従って、紹介料などが設定されているか確認しましょう。

不法行為やトラブル事例がないか確認する

キックバックとは、監理団体が送出機関から不正に受け取る金銭のことです。たとえば、技能実習生をひとり受け入れるごとに、数十万円の金銭を要求するなどの事例が報告されています。

技能実習法第28条より、監理団体が送出機関から監理費以外の手数料や報酬を受け取ることは固く禁止されています。キックバックが発覚した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります。

また、外国人人材に高額な仲介料を要求する、悪徳なブローカーが介在していないかもチェックしましょう。送出機関に尋ねるほか、受け入れ候補の外国人人材に送出機関の登録時にブローカーを利用していないか、直接確認してみてください。

上記のほか、これまでの実績や他企業とトラブルが起きていないかなど、確認することも重要です。

フォロー体制が充実しているかチェックする

外国人人材が日本へ入国した後のフォロー体制もチェックしましょう。特にトラブル時に連絡および相談ができる体制が整っているか確認することが重要です。日本で災害があったときの情報共有や、外国人人材の家族への報告など、災害時のフォロー体制を充実させている送出機関もあります。

また、日本に支社があったり、駐在員がいたりする送出機関の場合、トラブル時の速やかな対応だけでなく、普段からの定期的なフォローも期待できます。

ただし、特定技能の場合は日本での外国人へのフォローは登録支援機関が担っている場合もあります。

信頼できる送出機関を選ぼう

送出機関は、日本で働く意欲のある外国人人材をマッチングしてくれる機関です。そのほか事前の日本語教育や、入国後のフォローも行ってくれます。ただし、送出機関から多額の費用を請求されたなどのトラブル事例もあるため、信頼できる機関を選ぶことが重要です。

まずは政府認定の送出機関を選びつつ、日本語レベルやかかる費用などをチェックしましょう。すでに外国人人材を受け入れている企業や監理団体などから情報を得ることもおすすめです。

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