介護職というと、女性がバリバリ働いているイメージがあるのではないでしょうか。そのため、介護職への就職に興味があるけれど、男性でも活躍できるのか心配に思う人は多いでしょう。実は、介護の現場では男性のニーズが非常に高いのです。本記事では、介護の現場で男性が求められる理由や今から介護職を目指すメリットについて解説します。
目次
介護職に就く男性の割合!
介護職に就く男性が増えていることを、実際の数字データで確認してみましょう。
「平成30年度介護労働実態調査」によると、介護業界全体での男女比は、「男性」が 21.4%、「女性」が 78.5%でした。
職種別で見てみると、訪問介護員は「男性」が 11.1%、「女性」が 88.9%と、確かに女性が9割近くを占めています。しかし、訪問介護以外の介護保険の指定介護事業所で働く介護職員に絞ると、「男性」が 25.7%、「女性」が 74.1%と、4分の1が男性となっています。
介護は女性仕事といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、決して男性職員は珍しいということはなく、むしろ現場からは男性が求められています。
介護職の具体的な仕事内容は?
介護職の具体的な仕事内容は、大きく次の2つに分けられます。
まず、ひとつ目は身体介護です。
食事や入浴、排せつ、服薬の介助などを行います。運んだ食事を自力で食べられる方もいれば、介助が必要な方もいらっしゃいます。利用者さんの要介護レベルに寄り添ったサポートが大切です。車いすの人や自力での移動が困難な人には、ベッドから車いすへの移乗、歩行時の付き添いといった介助を行います。
そして、ふたつ目が生活援助です。食事の支度や掃除、洗濯といった、身の回りの家事を手伝います。依頼に応じて、食品や生活用品などの買い物も代行します。
その他にも、働く施設によって送迎業務やレクリエーションの企画・実施が業務に含まれる場合があります。
介護職のやりがいとは
利用者さんから直接、感謝やお礼の言葉をいただけることは、介護職員にとって大きなやりがいとなります。利用者さんだけでなく、面会に来たご家族から、お礼を言われることも多いでしょう。
サポートによって利用者さんの心身の状態が良くなっているなど、自身の努力が実を結んだときも、充実感を得られるはずです。また、上司や人事担当者にきちんと成果を認めてもらうこともモチベーションに直結します。前向きに仕事に取り組む姿勢のほか、研修受講や資格取得なども成果として評価されます。研修を受講したり、資格を取得したりすることは、昇給や管理職への昇進にも有利です。
加えて、男性職員の場合、力を使う作業を行う、家電や家具を修理するなど、自身の身体や特技を活かした仕事で評価される場面も多く、日々やりがいを実感しやすいでしょう。
男性が求められる理由
ここからは、介護職に男性が求められる主な理由を3つ紹介します。
力が必要な場面がある
介護現場ではしばしば、力を要する場面があります。
たとえば、ベッドから車いすへの移動、送迎車両への移乗など、介護職は体力を要する仕事です。中には、寝たきりで自分の力ではベッドから起き上がることすら難しい利用者さんもいます。完全に寝たきりの人の全体重を支えて移動させるのは大変です。ましてや、大柄な人となると、女性数人がかりで行う必要もあるでしょう。その点、男性であれば、より少ない人数、場合によってはひとりでも対応できます。
力のいる介護現場で戦力になる男性は、周囲から頼もしく見えるでしょう。
長期間働ける
女性が多い職場だからこそ、長期間働ける男性のニーズが高いのも事実です。働き方改革の後押しもあり、今まで以上に女性の活躍に期待が高まっています。企業では女性管理職の登用も当たり前になっており、性別に関係なく誰もが輝ける社会が確立されつつありますが、結婚や出産も大事なライフイベントです。産休や育休後に、パートナーとの家事・育児の分担割合や体力面の心配から、負担の少ない仕事に転職する女性は少なくありません。復職しても、しばらくは時短勤務となる場合も多いでしょう。
そのため、結婚・出産というライフイベントの影響を受けにくい男性を積極的に増やそうとしている事業所も多くあります。長い期間安定的に働いてもらいやすい男性を管理職候補として採用するケースもあるため、将来的にキャリアアップできる可能性も高いでしょう。利用者さんの立場からも、気心の知れた職員が長期間一緒にいてくれるのは安心して生活できる要素のひとつです。
トラブル防止に繋がる
介護の現場は女性が多いため、特有の問題も発生しがちです。男性がいれば、こうしたさまざまなトラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。
たとえば、介護の現場では、利用者さんを抱きかかえたり入浴を介助したりする場合も多くあります。しかし、職員が女性の場合、こうしたときにセクハラまがいの言動や振る舞いをする男性利用者さんは、残念ながらゼロではありません。男性が介助を行うことでそのようなトラブルを防止できます。女性に介助されることに慣れていない男性利用者さんへの配慮にもなるでしょう。
また、介護はされる側にとっても、何かとストレスが溜まりやすいものです。自由に行動できない、思うように身体を動かすことができないことへの苛立ちに加え、認知機能の低下によって、職員に高圧的な態度を取ってしまう利用者さんもいます。万が一、利用者さんが暴れた場合も、力のある男性のほうが対処しやすいでしょう。
最後に、女性が多い職場では、噂や悪口が多い、ライバル視される、派閥ができるなど、人間関係のトラブルが起こりやすいとされています。そこに男性が入るだけで、険悪な雰囲気が緩和される効果も期待できます。
介護職は将来性が期待できる
介護の仕事は、他の仕事と比べて待遇が良くないと言われわれることが多く、特に給与の安さが問題視されていました。しかし、急速に高齢化が進んでいる日本において、介護業界の人材確保は急務です。そのため、介護現場で働く人達の処遇改善に向けて、ついに国が積極的に動き始めました。
具体的には、2019年10月より、一定以上の経験・技能を満たすリーダークラスの介護職の処遇改善に、国の予算の一部が充てられています。加えて、従業員の処遇改善に取り組んだ介護事業所などには、従業員の昇給などに反映できる加算金が支払われるなど、現場の仕組みにまで踏み込んだ対策を実施しています。従事する人たちが安心して長く働き続けられるよう、国を挙げて処遇改善に取り組んでいることからも、介護職は将来性が期待できる仕事です。
男性でもチャレンジできる介護職へ
介護の現場では、力が必要となる場面が多く、まさに男性が活躍できる仕事だといえます。加えて、男性の存在は、女性が多い現場では一種の緩衝材になります。需要が高く、処遇改善の動きも加速している介護職は、大いに将来性が期待できる仕事です。やりがいを持って長く働ける職場を探している男性は、ぜひとも介護職を候補に入れてみてはいかがでしょうか。