【2024年度介護報酬改定】処遇改善加算一本化!介護職員等処遇改善加算とは

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【2024年度介護報酬改定】処遇改善加算一本化!介護職員等処遇改善加算とは

2024(令和6)年度の介護報酬改定率のうち、介護職員の処遇改善分は+0.98%でした。今回の介護報酬改定で現行の介護職員の処遇改善に関する加算が見直され、新たに「介護職員等処遇改善加算」が創設されます。

この記事では新加算である介護職員等処遇改善加算について、加算の全体像や単位数、現行の加算との違いなど基本情報をまとめます。あわせて算定時の注意点や経過措置期間についても解説します。


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2024年度介護報酬改定で処遇改善加算が一本化

2024(令和6)年度の介護報酬改定において全体の改定率は+1.59%です。そのうち介護職員の処遇改善分は+0.98%でプラス改定となりました。

処遇改善に関する改定事項は、現行の介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算を統合した「介護職員等処遇改善加算」の新設です。これまで介護職員の処遇に関する加算は制度の複雑さから、算定しない施設・事業所が一部存在しているという実情もあり、より現場での活用が促進されるよう一本化が進められました。

同加算はⅠ~Ⅳの4区分に分けられ、全体的に加算率が引き上げられています。各施設・事業所で2024(令和6)年度に2.5%以上、2025(令和7)年度に2.0%以上の賃金改善を目指すことが求められます。

新しい介護職員等処遇改善加算とは?

新加算「介護職員等処遇改善加算」について、加算の全体像や単位数、施行日と経過措置期間について解説します。

介護職員等処遇改善加算の全体像

介護職員等処遇改善加算の全体像について、厚生労働省の資料をもとにわかりやすく表でまとめました。現行の3つの処遇改善加算と、新しい介護職員等処遇改善加算の関係性や違いを知りたい人は以下の表で確認してください。

赤字部分が今回の改定で加えられた要件、または見直しが行われている要件です。このうち職場環境等要件は2025(令和7)年度に、現状より必須項目が増える予定です。

【介護職員等処遇改善加算の全体像】
区分 各区分の趣旨など 対応する現行の加算
《事業所内の経験・技能のある職員を充実》 処遇改善加算(Ⅰ)
特定処遇加算(Ⅰ)
ベースアップ等支援加算
新加算(Ⅱ)に加え、以下の要件を満たすこと
  • 経験技能のある介護職員を事業所内で一定割合以上配置していること
《総合的な職場環境改善による職員の定着促進》 処遇改善加算(Ⅰ)
特定処遇加算(Ⅱ)
ベースアップ等支援加算
新加算(Ⅲ)に加え、以下の要件を満たすこと
  • 改善後の賃金年額440万円以上が1人以上
  • 【見直し】職場環境の更なる改善、見える化
《資格や経験に応じた昇給の仕組みの整備》 処遇改善加算(Ⅰ)
ベースアップ等支援加算
新加算(Ⅳ)に加え、以下の要件を満たすこと
  • 資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備
《介護職員の基本的な待遇改善・ベースアップなど》 処遇改善加算(Ⅱ)
ベースアップ等支援加算
新加算(Ⅳ)の1/2以上を月額賃金で配分
  • 【見直し】職場環境の改善(職場環境等要件)
  • 賃金体系等の整備及び研修の実施など

引用:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

サービス種別ごとの単位数

サービス区分 介護職員等処遇改善加算
訪問介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 24.5% 22.4% 18.2% 14.5%
訪問入浴介護 10.0% 9.4% 7.9% 6.3%
通所介護・地域密着型通所介護 9.2% 9.0% 8.0% 6.4%
通所リハビリテーション 8.6% 8.3% 6.6% 5.3%
特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護 12.8% 12.2% 11.0% 8.8%
認知症対応型通所介護 18.1% 17.4% 15.0% 12.2%
小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護 14.9% 14.6% 13.4% 10.6%
認知症対応型共同生活介護 18.6% 17.8% 15.5% 12.5%
介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所生活介護 14.0% 13.6% 11.3% 9.0%
介護老人保健施設・短期入所療養介護 (介護老人保健施設) 7.5% 7.1% 5.4% 4.4%
介護医療院・短期入所療養介護 (介護医療院)・短期入所療養介護(病院等) 5.1% 4.7% 3.6% 2.9%

引用:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

新加算の要件

新しい介護職員等処遇改善加算を算定するには、キャリアパス要件・職場環境等要件・月額賃金改善要件の3つの要件をそれぞれ満たす必要があります。それぞれの要件について詳しく解説します。

キャリアパス要件と職場環境等要件

加算Ⅰ~Ⅳでそれぞれ満たすべきキャリアパス要件と職場環境等要件については、以下の表をご確認ください。職場環境等要件は2024(令和6)年度中は現行の要件で実施し、2025(令和7)年度以降は見直された新しい要件を満たす必要があります。

【介護職員等処遇改善加算のキャリアパス要件と職場環境等要件】
 
キャリアパス要件Ⅰ キャリアや経験、職務内容に応じた賃金体制の整備
キャリアパス要件Ⅱ 技術向上、資格取得などの機会の確保、研修の実施など
キャリアパス要件Ⅲ 昇給制度の整備
キャリアパス要件Ⅳ 処遇改善後の賃金額が440万円以上/年
※加算額が低い小規模事業所は免除
キャリアパス要件Ⅴ 介護福祉士など資格保有者を配置
職場環境等要件 2024(令和6)年度中 6区分ごとに1つ以上取り組む 全区分で1つ以上取り組む
2025(令和7)年度以降 6区分ごとに2つ以上取り組む
※「生産性向上」の区分のみ3つ以上(うち1つは必須項目)
情報公表システムで取り組みを公表
6区分ごとに1つ以上取り組む
※「生産性向上」の区分のみ2つ以上

月額賃金改善要件

月額賃金改善要件はⅠとⅡに分かれ、いずれも介護職員等処遇改善加算Ⅰ~Ⅳのすべての加算で満たすべき要件になります。それぞれの違いは以下の表をご確認ください。

【月額賃金改善要件の違い】
  適用時期や対象など 要件
月額賃金改善要件Ⅰ 2025(令和7)年度から適用 介護職員等処遇改善加算Ⅳの加算額の1/2以上に相当する金額を賃金改善にあてること
月額賃金改善要件Ⅱ 介護職員等ベースアップ等支援加算を算定していない施設・事業所が対象 ベースアップ等支援加算に相当する加算額を賃金改善にあてること

上記の賃金改善では、賞与などの一時金で配布するのではなく、月の賃金改善が求められます。または時給や日給に上乗せするなどの対応でも要件を満たせます。

施行日と経過措置期間

2024(令和6)年度介護報酬改定の施行日はサービス種別によって異なりますが、介護職員等処遇改善加算に関してはサービス一律で2024(令和6)年6月から制度がスタートします。

また今回の改定で職種間の配分ルールがなくなり、処遇改善関係加算の加算収益を施設・事業所内で柔軟に配分できる仕組みへと見直されました。この改正のみ、2024(令和6)年4月1日から施行されます。

介護職員等処遇改善加算への移行において、経過措置期間は2024(令和6)年度末までです。経過措置期間中は、算定要件の変化などによる現場への負担を軽減するため、新加算Ⅴ(1)~ Ⅴ(14)が設けられます。これらは現行3加算の加算率を維持したまま、介護職員等処遇改善加算における加算率の引き上げに対応できるようにするためです。

介護職員等処遇改善加算を算定する際の注意点

最後に、介護職員等処遇改善加算を算定する際に気をつけるべき点について詳しく解説します。

算定で利用料が増加する可能性がある

介護職員等処遇改善加算は介護サービス一律で2024(令和6)年6月が施行日のため、変更前の5月末日までに利用者とその家族に変更内容について説明を行い、同意を得ることが必要です。その際に気を付けなければならないのが、処遇改善加算の一体化で利用料が増加する可能性についての説明です。利用者とその家族の理解が得られないまま利用料を上げるとトラブルになる可能性があるため、リーフレットを配布するなどの方法で必ず説明しましょう。利用者の負担が一定額を超えた場合、払い戻しされる「高額介護(介護予防)サービス費」の制度もあります。

なお、通所介護や介護老人福祉施設など2024(令和6)年4月施行の見直し事項がある介護サービスの場合、6月以降分の体制等状況一覧表をあらかじめ自治体に届け出ていれば、6月施行の事項とまとめて説明することも可能です。5月末までにサービスの利用を開始する新規の利用者も同様の対応で構いません。

賃金配分ルールが統一される

介護職員等処遇改善加算では、職種ごとの細かな配分ルールは設けられませんでした。施設・事業所は以下を踏まえつつ、加算額の柔軟な配分が認められます。

  • 介護職員への配分が基本
  • 経験・技能のある職員へ重点的に配分すること

処遇改善加算は職員の定着や確保、そして質の向上が目的の加算です。今回の改定では、特に月額の賃金改善と職場環境などの見直しが重視されることになり、これまで以上に介護職員などが安定的に働きやすい環境づくりにつながることが期待されます。一本化された介護職員等処遇改善加算の目的を理解したうえで算定し、より魅力的な職場環境づくりに努めましょう。

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