業務改善助成金とは?対象者や介護事業者の事例などわかりやすく解説

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業務改善助成金とは?対象者や介護事業者の事例などわかりやすく解説

この記事では介護事業所が利用できる業務改善助成金の情報をまとめ、補助金額まで詳しくご紹介しています。

高齢者が増える一方で介護職員は採用難です。リソースを確保するためには、増やすだけではなく今いる人材に定着してもらうことも重要です。他事業所よりも働きやすい職場であると思ってもらうために、職場環境の改善を検討しましょう。

また、記事後半では関連する補助金を一覧にまとめております。ぜひブックマークをしてご活用ください。


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業務改善助成金

中小企業・小規模事業主の生産性向上を支援し、事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ることを目的とした助成金です。条件に当てはまる場合、介護事業者でも利用可能な制度です。

通常コースと特例コースがあります。

申請期間(期日)

令和5年3月31日(令和4年度申請分)

※特例コースは1月31日で受付終了しました。

通常コース

国内で事業を営む中小企業・個人事業主のうち、労働者が100人以下、かつ事業場での最低賃金額が地域最低賃金と30円以内の差がある事業主が対象です。

助成対象となるもの

生産性向上のための設備投資など(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行い、かつ事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部が助成されます。

補助金額

事業場内の最低賃金の金額と、引き上げた額・対象となった労働者数で助成上限額が決定します。次に、事業場内の最低賃金の金額によって補助される設備投資費が決まりますが、助成上限額と比較し低い方の金額が補助されます。

【助成上限額】
コース区分 事業場内
最低賃金の引き上げ額
引き上げる
労働者数
助成上限額
右記以外の
事業者
事業場
規模30人未満の
事業者
30円コース 30円以上 1人 30万円 60万円
2~3人 50万円 90万円
4~6人 70万円 100万円
7人以上 100万円 120万円
10人以上 120万円 130万円
45円コース 45円以上 1人 45万円 80万円
2~3人 70万円 110万円
4~6人 100万円 140万円
7人以上 150万円 160万円
10人以上 180万円 180万円
60円コース 60円以上 1人 60万円 110万円
2~3人 90万円 160万円
4~6人 150万円 190万円
7人以上 230万円 230万円
10人以上 300万円 300万円
90円コース 90円以上 1人 90万円 170万円
2~3人 150万円 240万円
4~6人 270万円 290万円
7人以上 450万円 450万円
10人以上 600万円 600万円

参照:[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援|厚生労働省

【助成率】賃金を引き上げる前の事業場内最低賃金の金額が基準
870円未満 9/10
870円以上
920円未満
4/5(9/10)
920円以上 3/4(4/5)

参照:[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援|厚生労働省

「30円コース」とは、時間当たりの賃金引き上げ額を30円上げたということを指します。

例えば、31人の労働者がいる事業場で7人の労働者の時間当たり賃金額を30円引き上げた場合、100万円が助成上限額となります。さらに、その100万円と実際の設備投資の金額に助成率を掛けた金額を比較して低い方の金額が支給額です。

助成を受けるためにクリアすべき条件

  • 賃金引上計画を策定する
  • 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、就業規則などに規定
  • 引上げ後の賃金額を支払う
  • 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施することにより業務改善を行い、その費用を支払うこと(単なる経費削減のための経費、職場環境を改善するための経費、通常の事業活動に伴う経費などは除く)
  • 解雇、賃金引下げなどの不交付事由がないこと 他

その他の条件については、制度の公式ページでご確認ください。

特例コース

以下の1・2の要件をいずれも満たす事業主が対象です。

  1. 以下のAまたはBのいずれかを満たす事業主であること
    • 新型コロナウイルス感染症の影響で売上高または生産量などを示す指標が比較対象期間より30%以上減少している事業主
      • 比較する売上高などの生産指標:令和3年4月~令和4年12月の間の連続した任意の3か月間の平均値
      • 比較対象期間:前年、前々年または3年前の同期
    • 原材料費の高騰など社会的・経済的環境変化など外的要因により令和3年4月から令和4年12月のうち任意の1月における利益率が5%ポイント以上低下した事業主
  2. 令和3年7月16日から令和4年12月31日までの間に、事業場内最低賃金を30円以上引き上げること

※引き上げ前の事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内の事業主に限る

助成対象となるもの

生産性向上などに資する設備投資などのほか、業務改善計画に計上された「関連する経費」も助成対象となります。

  • 生産性向上に資する設備投資など
    • 機械設備
    • コンサルティング導入
    • 人材育成
    • 教育訓練
  • 関連する経費
    • 広告宣伝費
    • 汎用事務機器
    • 事務室の拡大
    • 机や椅子の増設

補助金額

生産性向上のための設備投資などにかかった費用に、助成率3/4(※)を乗じて算出した額が助成されます。なお、引き上げる労働者数に応じて助成の上限額が定められています。

※事業場内最低賃金額が920円未満の事業場では4/5

賃金を引き上げる労働者数 1人 2~3人 4~6人 7人以上
助成上限額 30万円 50万円 70万円 100万円

助成を受けるためにクリアすべき条件

以下の要件をいずれも満たす必要があります。

  • 就業規則などで引き上げ後の賃金額を事業場の労働者の下限の賃金額とすることを定め、引き上げ後の賃金額を支払っていること
  • 生産性向上などに役立つ設備投資などを行い、その費用を支払うこと

介護事業所の業務改善助成金事例

放課後デイサービスの事業を行うA社では、利用者の送迎時に車いすを積載を行う際の人員が課題になっていました。

そこで、助成金を使ってリフト付き福祉車両を導入。導入後は、乗降時間が最大10分ほど短縮し、かつ人員を減らしても問題ないオペレーションとなったため、業務の効率化や利用者へのサービス向上につながりました。

参考:「業務改善助成金」のご案内|厚生労働省

介護事業所で使える助成金・補助金制度一覧

その他使える補助金を以下の記事で紹介しています。

各補助金と概要の一覧

制度名称制度の概要
業務改善助成金中小企業・小規模事業主の生産性向上を支援し、事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ることを目的とした助成金
働き方改革推進支援助成金生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を助成する
雇用調整助成金経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るため休業手当に要した費用を助成する
キャリアアップ助成金派遣労働者含む有期雇用労働者や、短時間労働者の企業内でのキャリアアップ促進を目的とした助成金
両立支援等助成金職業生活と家庭生活が両立できる“職場環境づくり”を推進する目的とした助成金
人材開発支援助成金労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を促進することを目的とした助成金
トライアル雇用助成金職業経験の不足などから就職が困難な求職者などを3か月間程度試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしてもらうことを目的とした助成金
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成する
労働移動支援助成金事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる労働者などに対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を教育訓練施設などに委託して実施した事業主に対して助成
中途採用等支援助成金中途採用、UIJターンの採用拡大を図る事業主へ助成
人材確保等支援助成金雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的とした助成金
特定求職者雇用開発助成金高年齢者や障がい者などの就職困難者をハローワークなどの紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成
65歳超雇用推進助成金高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現する支援をする助成金
介護ロボット導入活用支援事業補助金介護ロボットの使用による介護従事者の負担の軽減を図るとともに、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図り、介護従事者の確保に資することを目的とした助成金
ICT導入支援事業補助金介護事業所などにおける介護ソフト、タブレット端末などの導入支援を行うことにより、介護記録・情報共有・報酬請求などの業務の効率化を図り、介護従事者の負担軽減による雇用環境の改善、離職防止および定着促進に資することを目的とした助成金
IT導入補助金デジタル化により、業務効率・売上アップなどをサポートする目的の助成金
小規模事業者持続化補助金<一般型>小規模事業主および一定要件を満たす特定非営利活動法人が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更に対応するため、小規模事業主などが取り組む販路開拓などの取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業主などの生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした助成金
創業助成事業創業予定者または創業から間もない中小企業者に対して、創業期に必要な経費の一部を助成することで東京都における創業のモデルケースを創出し、新たな雇用を生み出すなど東京の産業活力の向上が目的となっている助成金
事業再構築補助金新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売上の回復が期待しにくいなかで、経済社会の変化に対応するために新しい分野の展開、業態転換、業種転換などによって規模の拡大、事業再構築を目指す中小企業などの挑戦を支援する目的の助成金
事業継承・新規開業支援補助金主に小規模事業主の事業継続や、新規開業によって地域の活性化や雇用機会の拡大が目的の助成金

【助成金制度で使われる主な用語の解説】

各助成金(補助金)の多くは、特定の概念を下記のとおり定義しています。
場合によっては下記に限らない場合もありますので、詳しくは各制度のページでご確認ください。

「中小企業」とは

以下のAまたはBの要件を満たす企業となります。

業種 A資本または出資額 B常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

参照:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁

「事業場」とは

労働基準法における考え方と同一です。同一の場所で、相関しかつ組織的な業務を行える場所のことを指します。

生産性の向上とは

助成金を申請する事業所において、生産性要件算定シートを用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合は助成額が割り増しされるなどの措置があります。

各助成金の項目で「生産性の向上が認められる場合」と記載がある場合、こちらの制度が適用になる可能性があります。

詳しくはこちらのページでご確認ください。

助成金・補助金制度を使って環境改善を行いましょう

介護現場の環境が改善されることは、職員のメリットだけではなく、ケアにより時間をかけることができるようになるといった利用者へのメリットにもなります。利用者への還元が増えれば、満足度に繋がり、施設運営にもよい影響をもたらすのではないでしょうか。

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