看護体制加算とは?対象介護サービスと算定要件【令和3年度改定】

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看護体制加算とは?対象介護サービスと算定要件【令和3年度改定】

看護体制加算とは、看護師を手厚く配置している介護施設を評価する加算です。病院以外でも医療体制の必要性に応じた加算ですので、今後は看護体制加算が算定できる介護施設の重要性は高まっていくといえるでしょう。

しかし、どの介護サービスが加算に該当し、どのような算定要件を満たす必要があるのか分からない方も多いのではないでしょうか。この記事では、看護体制加算の対象介護サービスと単位数、介護サービス別の算定要件を紹介します。


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看護体制加算とは?

看護体制加算とは、短期入所生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人福祉施設において手厚い看護職員の配置、そして24時間連絡できる体制を確保すべく作られた加算のことです。

入所定員の要件を満たしたこの3つの施設において、常勤看護師を1名以上配置したときに適用されます。施設の入所定員数と条件により、加算内容は(Ⅰ)と(Ⅱ)に分かれています。

この加算は、施設に配置される看護師の数が増えることから、利用者に対してさらに充実した医療サポートを提供できるようになるうえ、その分の加算も得られるようになります。また、利用者にとっても、看護師が多い環境で充実したサポートを受けられるメリットがあります。

看護体制加算の対象介護サービスと単位数

看護体制加算の対象となる介護サービスは以下の3つです。

  • 短期入所生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 介護老人福祉施設
介護サービス種別 加算名称 算定単位数 算定頻度
短期入所生活介護 看護体制加算(Ⅰ) 4単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅱ) 8単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅲ)イ 12単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅲ)ロ 6単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅳ)イ 23単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅳ)ロ 13単位 1日あたり
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 看護体制加算(Ⅰ)イ 12単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅰ)ロ 4単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅱ)イ 23単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅱ)ロ 8単位 1日あたり
介護老人福祉施設 看護体制加算(Ⅰ)イ 6単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅰ)ロ 4単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅱ)イ 13単位 1日あたり
看護体制加算(Ⅱ)ロ 8単位 1日あたり

出典:厚生労働省「短期入所生活介護
厚生労働省「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費
厚生労働省「介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム)

この表組は、特定の介護サービスにおいて1回算定するごとに何単位とれるかを表したものです。看護体制加算は介護サービスごとに加算内容が異なるため、加算名称で細かく分けられています。

また、算定単位は地域間の人件費の格差を調整するために地域区分が設定されていますが、1単位の単価は基本的に10円です。算定頻度は加算内容によって1ヶ月において何回算定できるか異なり、「1日あたり」「1回につき」「月1回」などさまざまです。

【介護サービス別】看護体制加算の算定要件

看護体制加算が適用される介護サービスはそれぞれ特性が異なるため、算定要件も異なります。ここでは介護サービス別に看護体制加算の算定要件を紹介します。

短期入所生活介護の看護体制加算の算定要件

普段は自宅で生活している要介護認定の方が、老人短期入所施設や特別養護老人ホームなどに短期間入所し、日常生活の支援や機能訓練などを受けられるサービスを短期入所生活介護といいます。一般的にショートステイと呼ばれています。

短期入所生活介護での看護体制加算の算定要件は以下の通りです。

介護サービス種別 加算名称 算定要件
短期入所生活介護
看護体制加算(Ⅰ)
  • 運営規程に定められている利用定員数を超えていない
  • 常勤の看護師1名以上配置
  • 併設事業所の場合は常勤の看護師を別に1名以上配置
看護体制加算(Ⅱ)
  • 運営規程に定められている利用定員数を超えていないこと
  • 利用者の数25を基準として端数を増すごとに看護師が1名追加されている(たとえば26人なら2名、51人なら3名必要)かつ、特別養護老人ホームである場合に限り利用者の数3を基準として端数を増すごとに2名追加されている
  • 看護職員と連携し、24時間連絡できる体制を確保している
看護体制加算(Ⅲ)イ
  • 加算(Ⅰ)の算定要件を満たしている
  • 定員要件が29人以下
  • 前年度/算定月を含んだ3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である
看護体制加算(Ⅲ)ロ
  • 加算((Ⅰ))の算定要件を満たしている
  • 定員要件が30人以上50人以下
  • 前年度/算定月の3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である
看護体制加算(Ⅳ)イ
  • 加算((Ⅱ))の算定要件を満たしている
  • 定員要件が29人以下
  • 前年度/算定月の3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である
看護体制加算(Ⅳ)ロ
  • 加算((Ⅱ))の算定要件を満たしている
  • 定員要件が30人以上50人以下
  • 前年度/算定月の3ヶ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が70%以上である

以下は、短期入所生活介護での看護体制加算算定における留意事項です。

  • 看護体制加算(Ⅰ)と(Ⅱ)、(Ⅲ)と(Ⅳ)は同時に算定可能です。
  • 看護体制加算(Ⅲ)、(Ⅳ)における要介護の利用者の占める割合の計算では、要支援の利用者は人員数に含めません。

出典:厚生労働省「108 短期入所生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の看護体制加算の算定要件

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護とは、自宅での介護が困難な要介護3~5の認定を受けた方が、可能な限り自立した日常生活を送れるよう、日常生活の支援や機能訓練、療養上の世話などを提供する施設です。地域やご家族との結びつきを重視した運営が特徴で、入所定員は30人未満です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護での看護体制加算の算定要件は以下の通りです。

介護サービス種別 加算名称 算定要件
地域密着型介護老人福祉施設
入所者生活介護
看護体制加算(Ⅰ)イ
  • 常勤の看護師を1名以上配置
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費またはユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定している
  • 利用定員を超過していない
看護体制加算(Ⅰ)ロ
  • 常勤の看護師を1名以上配置
  • 経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費または経過的ユニット型経過的地域密着型介護老人福祉施設入所生活介護費を算定している
  • 利用定員を超過していない
看護体制加算(Ⅱ)イ
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費またはユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定している
  • 看護職員と連携し、24時間連絡できる体制を確保している
  • 経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定
  • 看護職員を常勤換算方法で2名以上配置している
  • 利用定員を超過していない
看護体制加算(Ⅱ)ロ
  • 看護体制加算(Ⅰ)ロの要件に該当する
  • 看護職員と連携し、24時間連絡できる体制を確保している
  • 看護職員を常勤換算方法で2名以上配置している
  • 利用定員を超過していない

以下は、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護での看護体制加算算定における留意事項です。

  • 看護体制加算(Ⅰ)イと(Ⅱ)イ、(Ⅰ)ロと(Ⅱ)ロは同時に算定可能です。

出典:厚生労働省「地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費

介護老人福祉施設の看護体制加算の算定要件

介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームとも呼ばれ、要介護3~5の認定を受けた方のための生活施設です。入浴や排泄をはじめとする日常生活の世話や機能訓練、健康管理および療養の世話を提供する施設を介護老人福祉施設といいます。

また、定員が30人未満の施設は、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)と呼ばれます。

介護老人福祉施設での看護体制加算の算定要件は以下の通りです。

介護サービス種別 加算名称 算定要件
介護老人福祉施設 看護体制加算(Ⅰ)イ
  • 常勤の看護師を1名以上配置
  • 入所定員が30名以上50名以下
  • 利用定員を超過していない
看護体制加算(Ⅰ)ロ
  • 常勤の看護師を1名以上配置
  • 入所定員が51名以上
看護体制加算(Ⅱ)イ
  • 看護職員を常勤換算方法で入所定員が25名を超えるごとに1名追加して配置している
  • 入所定員が30名以上50名以下
  • 看護職員と連携し、24時間連絡できる体制を確保している
  • 利用定員を超過していない
看護体制加算(Ⅱ)ロ
  • 常勤の看護師を1名以上配置
  • 入所定員が51名以上
  • 看護職員と連携し、24時間連絡できる体制を確保している

以下は、介護老人福祉施設での看護体制加算算定における留意事項です。

  • 看護体制加算(Ⅰ)イと(Ⅱ)イ、(Ⅰ)ロと(Ⅱ)ロは同時に算定可能です。

出典:厚生労働省「介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム)

看護体制加算の算定要件に関するQ&A

看護体制加算を算定する上でのよくあるQ&Aをまとめました。

「常勤の看護師」と「看護職員」の定義は?

常勤看護師とは、施設において定められている勤務時間数に達している看護師を指します。勤務時間数に関しては、1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は、32時間を基本とします。なかには、施設に併設されている事業所にて同時並行で勤務していることもあるでしょう。その場合、双方の勤務時間を合算したものが勤務時間数となります。

また、看護師と准看護師は定義や免許の内容が異なるため、准看護師にはできない仕事があります。さらに、厚生労働省の「保健師助産師看護師法(第42条の3)」によると、名称独占の規定が設けられており、准看護師が「看護師」と名乗ることや、看護師が「准看護師」と名乗ることは認められていません。

看護職員に関しては、看護師と准看護師の両方が該当します。

参考:厚生労働省「保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二〇三号)

看護師の退職により算定要件を満たさなくなった場合は変更の届け出が必要?

看護師の退職により算定要件を満たさなくなった場合は、看護師が退職したその日から算定不可となります。この場合、算定要件を満たさなくなることがわかった時点で、速やかに各都道府県に届け出をする必要があります。

届け出の方法や提出する書類など、詳しくは各都道府県の担当部署に問い合わせましょう。

看護体制加算を算定できる介護施設の重要性はますます高まる

高齢化による介護施設の利用者数の増加と比例して、介護施設の数も年々増加傾向にあります。厚生労働省の「高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割」によると、介護老人福祉施設は平成21年から令和1年までの10年の間に約4,040件の施設が新たに設立されており、年々右肩上がりで増加しています。

つまり、利用者のニーズは高いが競合も多いのが現状です。利用者に選んでもらえる介護施設を目指すためにも、看護体制加算を算定し、利用者に対する医療や介護のサポートを手厚くすることで、競合との差別化を図ることが大切です。

看護体制が整っている介護施設は、地域社会や利用者からの信頼を得やすくなりますので、口コミやケアマネジャーからの紹介による新規利用者の獲得も期待できます。

出典:厚生労働省「高齢者向け住まいの今後の方向性と紹介事業者の役割

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