2024年の介護保険制度改正 6つの見直しポイントをわかりやすく解説

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2024年の介護保険制度改正 6つの見直しポイントをわかりやすく解説

2024年に介護保険制度の改正が予定されています。介護事業者や介護職員はもちろん、高齢者とそのご家族など改正内容について調べている方も多いでしょう。なお、介護報酬改定率は臨時改定を除くと過去2番目に高く、1.59%に引き上げる方針となりました。

この記事では、2024年の介護保険制度改正で注目されている見直しポイント6つと、どのような効果や影響が考えられるのかを詳しく解説します。


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介護保険制度とは?改正は何年ごとに行われる?

日本では高齢化が進み、介護ニーズが高まっています。介護が必要な高齢者が増えているほか、介護期間の長期化なども課題です。また、介護する家族の高齢化をはじめ、要介護の高齢者を支える側の環境も変わっており、従来の制度では対応しきれません。

そういった背景から、高齢者の自立支援・利用者本位でのサービス選択・給付と負担が明確な社会保険方式を基本的な考え方とした介護保険法が1997年に成立し、2000年に施行されました。施行後は3年毎に改正されています。

2024年の介護保険制度改正で注目されている見直しポイント6つ

2023年5月12日、2024年度介護保険法が通常国会で成立しました。2024年の介護保険制度改正では、基本的な視点として「地域包括ケアの強化」「自立支援・重度化予防」「働きやすい職場環境の確保」「制度の持続可能性向上」が提示されています。これらの要点を通じて、質の高い介護サービスの提供と制度の改善が求められています。

では実際にどのような見直しが行なわれたのか、ポイントを以下の6つに絞って解説します。

  1. 複合型サービスの類型の新設の検討
  2. 介護予防支援事業所の拡大
  3. 財務状況の見える化
  4. 高齢者の住まい・生活支援
  5. 科学的介護情報システム(LIFE)の活用
  6. 文書負担軽減のためのフォーマットの標準様式化

複合型サービスの類型の新設の検討

在宅サービスにおける課題点や介護ニーズの変化などを背景に、居宅要介護者の多様化するニーズに対応できるよう、訪問介護や通所系サービスなど複数の在宅サービスを組み合わせる複合型サービスの類型の新設が検討が必要であると審議会で意見が出ています。

なお、2012年に創設されている訪問介護と小規模機能型居宅介護を組み合わせた「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」が現在は複合サービスとして認められています。

こちらは、2023年12月4日に開催した審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、「更に検討を深めることにする」とし、2024年度の制度改正での創設を見送る方針となりました。

介護予防支援事業所の拡大

介護予防支援について、地域包括支援センターだけではなく居宅介護支援事業所においても市町村からの指定を受けて実施できるようになります。

さまざまなニーズに対応する地域包括支援センターの業務の一部を居宅介護支援事業所が担うことで、地域包括支援センターの負担軽減を目的としています。

財務状況の見える化

介護サービス事業所や施設に対して、損益計算書など詳細な財務状況の報告が義務付けられます。また、国はそれらの情報を収集・整理、分析したデータを公表します。

これにより介護サービス事業所などの財務状況が明確化され、政策立案へ活用しやすくなります。令和6年4月1日に施行され、報告内容には任意項目として職種別の給与や人数なども含まれます。

高齢者の住まい・生活支援

2025年を目途として、要介護状態が重度でも住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられることを目的とし、地域包括ケアシステムを構築するとしています。

これまでも、高齢者の住まい確保や生活支援のために「低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業」を実施(平成26年度〜)。平成29年度からは、こうした取り組みに地域支援事業交付金で支援ができるよう整備されてきました。

今後においても、住宅や福祉など介護以外との連携も含め引き続き検討していくべきだという方向性で検討されています。

科学的介護情報システム(LIFE)の活用

介護サービス利用者の状態やケアの計画・内容などを介護事業所や施設が提出し、科学的介護情報システム(LIFE)によって収集・分析した結果をフィードバックします。これにより、介護事業所などはPDCAサイクルを円滑に回しながら、介護の質向上を目指すものです。

なお、令和3年度の介護報酬改定では、LIFEへのデータ提供などが一部の加算に関する要件となりました。

文書負担軽減のためのフォーマットの標準様式化

加算の申請を行う場合、現在は統一様式がなく、地方公共団体ごとの様式で届け出を行う必要があります。広域に介護事業を展開している企業にとっては、異なる様式での文書の作成や提出が大きな負担となっていました。

そこで様式の統一化を目指すべく、厚生労働省が標準様式として定めた「厚生労働省様式」での届け出が2024年の改正でルール上原則化されます。これまでも介護事業者から様式の統一化が求められていましたが、今回の改定で標準様式による届け出が一気に進むこととなりそうです。

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2024年の介護保険制度改正で見送られる4つの改定案

2024年の介護保険制度改定で、見送りが決定した4つの改定案をご紹介します。

要介護1・2の総合事業への移行

要介護1・2の高齢者に提供される訪問介護および通所介護サービスについて、市町村が運営し、地域ごとに介護事業の運営基準などを決められるいわゆる「総合事業」への移行が構想されていました。しかし、2024年改定では見送りとなっています。

ケアプランの有料化について

ケアプランは利用者やそのご家族の希望を踏まえて、ケアマネジャーが作成する「介護サービス計画書」のことです。具体的な支援や介護サービスの内容などが記載されます。
このケアプランについて利用者から負担徴収する案が挙がっていましたが、2024年改定では見送りとなりました。ただし、本件については今後も検討し、2027年改定までに結論を出す方針を示しています。

利用者負担の増加、2割自己負担の対象拡大

利用者の自己負担が2割となる対象について、その判断基準となる「一定以上の所得」を見直す意見が提示されました。これについては保険料の上昇抑止など効果が期待できるとする一方、介護サービスの利用控えにつながるなどの懸念もあり、結論は見送りとなっています。そのため、引き続き第1号被保険者の上位20%相当のみ自己負担が2割となり、それ以外は原則1割の負担となります。

特別養護老人ホームの特例入所基準の緩和、多床室の全額自己負担

特別養護老人ホームの特例入所基準の緩和、そして多床室料の全額自己負担が検討されました。特例入所については地域差があり、趣旨の明確化や地域の実情に即した運用が求められます。一方、多床室料の全額負担については、低所得者への配慮などの観点から結論は見送りとなっています。

2024年の介護保険制度改正に向けた対策4つ

2024年の介護保険制度改正に向けて、事業者側が事前に準備できる対策を4つご紹介します。

最新情報を収集しておく

厚生労働省のサイトや介護業界の情報誌などを確認して、介護保険制度改正に関連する最新の情報を収集しておくようにしましょう。業務量の増加などが考えられる場合には、業務フローの見直しを検討する、従業員へ情報を共有しておくなどの対策が重要です。

財務状況を整理しておく

改正に伴って、詳細な財務状況の報告が義務付けられます。必要な情報を誤りなく提示できるよう、事前に財務状況を整理しておきましょう。事業所・施設内で財務状況を把握することは、健全な経営にも役立ちます。

医療機関や周辺施設との連携を図る

2024年の改定後は、地域における医療と介護の連携がより求められるようになるでしょう。そのため、周辺の医療機関や施設などとの連携を図り、体制づくりに取り組んでおくことが重要です。

ICTを導入するなどの環境整備をしておく

介護事業所や施設においては、今後、LIFEの活用を求められる可能性が高いでしょう。そのため、今の段階から登録し、活用しておくことをおすすめします。
2024年の介護保険制度改正では、業務効率化やICT化に関する議論も見られました。介護現場の労働環境を改善する、あるいは介護の質向上のために、介護ソフトをはじめとしたICTツールの導入は効果的です。

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2024年度の介護保険制度改正に向けてしっかり準備しておきましょう

3年ごとに見直される介護保険制度。あらかじめ改定内容を把握し、早い段階からしっかり備えておくことが大切です。今回見送りとなった施策も、次回以降の改定で実施される可能性があるため、改正される背景や内容を把握しておき、どのような対策が必要か考えておく必要があるでしょう。

改定に伴って業務が煩雑化したり、負担が増えたりすることも考えられるでしょう。事業所内でできる対応のほかに、介護ソフトやシステムなどの導入も検討してください。

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