機能訓練体制加算とは、専従の機能訓練指導員を配置している短期入所生活介護(ショートステイ)を評価する加算です。利用者数によって必要な機能訓練指導員は変わるため、正しく算定要件を理解しましょう。
この記事では算定要件や単位数などの基本情報をまとめました。機能訓練指導員の配置の計算方法もまとめたので、算定の際にお役立てください。
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目次
機能訓練体制加算とは
機能訓練体制加算とは、算定要件に沿って機能訓練指導員を配置している事業所が算定できる加算です。厚生労働省の資料では「専従の機能訓練指導員を配置している場合の加算」という名称で記載されています。また、「機能訓練指導体制加算」と表す場合もあります。
短期入所生活介護(ショートステイ)を対象とした加算で、介護予防短期入所生活介護も算定可能です。
機能訓練体制加算の単位数
機能訓練体制加算の単位数は、1日あたり12単位です。所定単位数に加算します。
機能訓練体制加算の算定要件
- 専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士などを1人以上配置
- 入所者の数が100人を超える場合、専従の機能訓練指導員を常勤で1人以上配置したうえで、常勤換算法で入所者数を100で割った数以上の機能訓練指導員を配置すること
機能訓練体制加算では、機能訓練計画の作成などは算定要件に含まれておらず、上記を満たす機能訓練指導員を配置していれば算定できます。機能訓練指導員として配置できるのは、理学療法士や柔道整復師など特定の資格を保有する職員です。詳しくは記事の後半のQ&Aで解説しています。
機能訓練指導員の計算方法
機能訓練体制加算の算定に必要な機能訓練指導員の人数は、利用者数によって異なります。ここでは具体的な計算方法を解説します。
利用者が100人未満の場合
利用者数が100人に満たない場合、専従の機能訓練指導員が1人以上必要です。専従が要件となるため、他の職種との兼務は不可です。かつ、サービス提供時間を通じて配置することが求められます。サービス提供時間が10~18時の場合、1日あたり8時間以上勤務する機能訓練指導員の配置が必要です。計算は常勤換算で行います。
たとえば常勤職員が勤務すべき時間が1ヶ月あたり160時間だった場合、算定要件を満たしているか確認するには、以下の計算式を用います。
(機能訓練指導員の1ヶ月の勤務延時間数の合計)÷160時間
専従の機能訓練指導員として月100時間勤務する非常勤職員と、70時間勤務する非常勤職員がいる場合、計算式は「(100+70)÷160=1.0625」となります。常勤で1人以上の機能訓練指導員が配置されているため、算定要件を満たしています。
利用者が100人以上の場合
利用者数が100人を超える場合は、専従の機能訓練指導員を常勤で1人以上配置したうえで、常勤換算法で入所者数を100で割った数以上の機能訓練指導員を配置する必要があります。追加で必要な機能訓練指導員を計算する方法は以下のとおりです。
(例)利用者数が120人の場合
120÷100=1.2
つまり、専従・常勤の機能訓練指導員1人に加え、1.2人分の配置が必要になります。追加する機能訓練指導員は常勤換算で計算します。たとえば機能訓練指導員として月130時間勤務する非常勤職員と、70時間勤務する非常勤職員がいる場合、「200時間÷160時間=1.25」となり、算定要件を満たしていることがわかります。
機能訓練体制加算のQ&A
機能訓練体制加算を算定する際のよくある疑問点について、Q&A形式でわかりやすく解説します。
機能訓練指導員の条件とは?
機能訓練指導員として勤務できる職員は、以下の資格を保有する人材に限られます。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護職員
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師※
- きゅう師※
※はり師およびきゅう師以外の資格を持つ機能訓練指導員を配置している事業所で、6ヶ月以上機能訓練指導の経験がある場合のみ
機能訓練指導員は兼務が可能?
専従の機能訓練指導員の配置が算定要件のため、基本的に兼務は不可です。たとえば併設の通所介護事業所で機能訓練指導員として勤務している場合、ショートステイで常勤の機能訓練指導員であっても、兼務とみなされるため、加算の算定要件を満たしません。
ただし100人を超える事業所の場合は条件が異なります。専従の機能訓練指導員を1人配置している場合は、その他の機能訓練指導員が他の事業所で兼務してもよいとされています。その際はそれぞれの勤務時間を正確に把握することが求められます。
算定時に必要な利用者数とは?
利用者数は、前年度の実績をもとに、1ヶ月あたりの平均を求めます。利用定員ではないため、算定する際は十分に気をつけましょう。
機能訓練体制加算の算定方法
機能訓練体制加算を算定する際に必要な書類や届け出の提出期限について解説します。
必要な書類
機能訓練体制加算を算定する際に、一般的に必要になる書類は以下のとおりです。
- 介護給付費算定に係る体制等に関する届出書
- 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 機能訓練指導員の資格証の写し
提出期限と提出方法
機能訓練体制加算の提出締め切りは、算定したい月の前月15日です。たとえば9月から算定したい場合は、前月の8月15日までに書類の提出が必要です。書類を不備なくそろえて、各自治体の窓口へ提出してください。
書類が不足していたり、内容に不備がある場合、希望する月から算定できない可能性があります。あらかじめ書類をよく確認し、場合によっては行政に事前にご確認のうえ、期日に余裕をもって提出するようにしましょう。
個別機能訓練加算との違い
機能訓練体制加算と混同される加算のひとつに、個別機能訓練加算があります。個別機能訓練加算はショートステイだけでなく、通所介護や介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが算定できる加算です。
機能訓練指導員を配置し、個別の機能訓練を具体的に実施することで、個別機能訓練加算を算定できるため、機能訓練体制加算を算定した事業所はぜひ検討してみましょう。次に個別機能訓練加算の概要や、算定方法について詳しく解説します。
個別機能訓練加算とは
個別機能訓練加算とは、機能訓練指導員を配置し、利用者に対して機能訓練を計画立案のうえ、実施することで算定できる加算です。機能訓練計画は個別に作成する必要がありますが、機能訓練自体は似た目標が同様の利用者であれば、5人以下の小集団で実施することができます。その際は必ず機能訓練指導員が直接利用者に指導を行います。ショートステイの単位数は、1日あたり56単位です。
個別で機能訓練を実施し、利用者の身体機能を維持や、重症化を防ぐことにより、在宅生活において、さらに自立支援を促進することができます。詳しくは以下の記事も参考にしてください。
個別機能訓練加算の算定要件
- 専従の機能訓練指導員(理学療法士や柔道整復師、作業療法士などの資格を持つ者)を1人以上配置すること
- 機能訓練指導員などが利用者の居宅を訪問し、利用者の生活状況を確認し、多職種で連携して作成する個別機能訓練計画に活かすこと
- 機能訓練指導員は計画に基づき、個別の機能訓練を適切に提供すること
- 3ヶ月に1回以上を目安に利用者の居宅に訪問し、機能訓練の内容と進捗状況を本人とご家族に説明すること
- 機能訓練の効果を評価し、適宜計画の見直しを行うこと
など
上記において重要となるのが、個別機能訓練計画書の作成です。生活機能を維持・向上させるには、利用者の生活に基づいた具体的な目標を立てなければなりません。たとえば「1人でお風呂に入る」「近所のスーパーに買い物に行く」など、利用者の生活や地域社会に関連した長期目標を立てることが求められます。
長期目標を達成するための短期目標も重要です。たとえば「1人でお風呂に入る」を長期目標にする場合、短期目標としては「1人で体を洗う」「自分で服を着る、脱ぐことができる」などの項目が想定されます。この短期目標を達成するためのプログラムを具体的に決めることで、利用者の生活に基づいた機能訓練を作成することができます。
長期目標や短期目標の立て方、個別機能訓練計画書の作成方法については以下の記事も参考にしてください。
機能訓練指導員を配置して機能訓練体制加算を算定しよう
機能訓練体制加算は、専従の機能訓練指導員を算定要件に基づき、十分な人数を配置することで算定できる加算です。利用者の人数によって必要な機能訓練指導員の人数は変わるため、算定要件や計算方法などを正しく理解して、算定しましょう。
機能訓練体制加算を算定していれば、個別機能訓練加算の算定も検討ができます。個別機能訓練加算は、個別の機能訓練を計画・実施することで、1日あたり56単位を加算でき、利用者の在宅生活におけるニーズの改善や自立支援にも役立ちます。機能訓練体制加算を算定する事業者は、個別機能訓練加算にも注目してみてください。
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