【完全ガイド】外国人介護人材の受け入れ・指導・注意点

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【完全ガイド】外国人介護人材の受け入れ・指導・注意点

人材不足が深刻化する介護業界で、現在注目されているのが外国人の介護人材です。

現在、外国人の介護人材を受け入れるための制度は4つあり、それぞれ在留できる年数や技能水準に違いがみられます。事業所に見合う人材を採用するには、厚生労働省が定める受け入れ制度をしっかり理解することが大切です。

この記事では制度の内容について詳しく解説しつつ、外国人を採用する際に役立つ補助金制度や指導方法、注意点についてまとめました。


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介護業界における外国人労働者の受け入れ現状

介護業界における外国人労働者の受け入れ現状

少子高齢化が進む日本で課題となっている介護業界の人材不足。国は対策の1つとして外国人の介護人材を受け入れるための環境整備を進めており、徐々にその成果が現れています。

例えば平成20年度から始まった受け入れ制度「EPA」では、外国人材の受け入れ人数が年々増加しています。令和2年度では804箇所の施設で、3,587人のEPA介護職員が活躍した実績が報告されました。

EPAの受入状況

引用:外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック|厚生労働省

さらに在留資格「介護」を取得して在留する外国人や、介護福祉士の資格取得を目指す留学生も増加中です。

在留資格介護を持って在留する外国人数、介護福祉士養成校の外国人留学生入学者数

引用:外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック|厚生労働省

日本介護福祉士養成施設協会「介護福祉士養成施設の入学定員充足度状況等に関する調査の結果」の調査によると、令和3年時点でもっとも多いのはベトナムからの留学生です。次いでネパールや中国、フィリピン出身の留学生が多い傾向にあります。

上記のような状況からも、今後介護業界での外国人の採用はさらに進んでいくと考えられます。

外国人介護士を採用できる4つの制度

外国人介護士を採用できる4つの制度

日本では現在、外国人介護士を受け入れるための制度が4種類あります。(永住権保有者、配偶者ビザ、留学ビザのアルバイトなどは除く)

  1. EPA
  2. 介護
  3. 技能実習
  4. 特定技能1号

4つの制度には在留できる年数や技能水準、目的などに以下のような違いがあります。

外国人介護職員を雇用できる4つの制度の概要

引用:外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック|厚生労働省

【在留資格ごとの特徴】

在留資格目的採用コスト来日時の研修定期報告業務範囲配置基準算定時期転職の可否
在留資格「介護」就労
(人材紹介経由の場合は手数料必要)

必要なし

必要なし

介護にかかわる
全ての業務が可

就労開始から

可能
EPA(介護福祉士合格前)経済連携
安い
必要
日本語研修2.5ヶ月~/介護研修10日

在留期間更新許可時に定期報告
×
制約あり
×
N2未満は就労6ヶ月後から
×
原則不可
技能実習技術移転×
高い

原則2ヶ月の講習が必要
×
日報・月報が必要
×
制約あり(1人での夜勤や服薬介助不可)
×
N2未満は就労6ヶ月後から
×
原則不可
特定技能就労
(人材紹介経由の場合は手数料必要)

8時間程度のオリエンテーションが必要

3ヶ月ごとの面談が必要

訪問以外の介護にかかる全ての業務が可

就労開始から(要受け入れ施設の体制整備)

在留資格変更許可が必要だが可能
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受け入れ制度①EPA

EPA(Economic Partnership Agreement)は日本と、インドネシア・フィリピン・ベトナムの経済連携を強化するために創設された制度です。介護保険3施設をはじめ、通所介護やショートステイなど限られた介護サービスで採用できます。

国により要件は異なりますが、母国で看護学校を卒業または看護課程を終了した方が対象となります。もしくは大学または高等教育機関の卒業に加え、母国で介護士認定を取得した方も含まれます。

日本語能力も国によって異なり、インドネシア・フィリピンはN5、ベトナムはN3以上の日本語能力試験の合格が必要です。

基本的には日本での介護福祉士の取得が目的のため、入国4年目に国家試験を受けます。不合格だった場合は帰国しなければなりませんが、合格すると在留資格「介護」に移行でき、永続的な就労が可能です。

関連記事:EPA介護福祉士候補者とは?受け入れや在留資格など概要解説

EPAについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

受け入れ制度②在留資格「介護」

平成29年9月1日に創設された在留資格です。在留資格「介護」での受け入れルートは2つあります。

1つは日本の介護福祉士養成校に通い、介護福祉士の資格を得る養成施設ルートです。介護福祉士養成校の規則によっては、通学しながら介護施設でアルバイトをすることもできます。

もう1つは「技能実習」や「特定技能」など、別の受け入れ制度で入国した外国人を対象とした実務経験ルートです。介護施設で3年以上就労または研修を経て、介護福祉士の資格を得た場合、在留資格「介護」を取得できます。

在留資格「介護」では勤続可能年数や就労可能なサービス種別には制限がありません。日本語能力試験でN2以上に合格するか、N2相当の日本語能力が確認できた者が取得できるので、即戦力としても期待できる人材でしょう。

ただしほかの制度と異なり、受け入れ調整機関がない点がデメリットと言えます。事業者が自主的に採用活動を進める必要があり、採用のハードルが高い傾向にあります。(日本人と全く同等に扱われます)

受け入れ制度③技能実習

外国技能実習制度とは、開発途上国をはじめとする諸外国へ日本の技術や知識を移転することを目的として創設されました。

母国の経済発展に役立ててもらうための制度なので、在留期間には制限があります。技能実習1号の場合は1年です。技能実習評価試験に合格すると年数が伸び、最長で5年間就労できます。

受け入れる前に監理団体が技能実習生の講習や受け入れ先の調整を行ってくれることが特徴の1つです。まずは地域の事業協同組合や商工会などにお問い合わせしてみましょう。ただし、訪問系サービスでの受け入れは不可となっています。

就労期間が3年なのか、5年なのかは、監理団体のステータスに依存します。実績を積んだ監理団体からの紹介でないと5年間の技能実習は認められていません。

入国時の日本語能力に関する要件はN4程度です。さらに1年後には原則としてN3程度の日本語能力が必要となるため、試験の受講が必要となります。日本語については、実習実施者においても十分な支援が必要だといえるでしょう。

関連記事:技能実習「介護」のガイドラインを徹底解説!要件や受け入れ可能な人数枠など

技能実習についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

受け入れ制度④特定技能1号

特定技能は、平成31年から始まった新しい在留資格です。人手不足が深刻化する特定の分野が対象となる制度で、介護以外に建設業や農業なども該当します。

特定技能の分類は以下の2種類です。

在留資格について

引用:在留資格「特定技能」について(出入国在留管理庁)

介護分野においては特定技能1号のみ対象となっており、在留期間に制限のない特定技能2号に比べ、5年しか雇用できません。

現状では在留期間を延長するには、介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」に移行する必要があります。

特定技能1号を持つ外国人人材は、技能実習生と同じく訪問系サービス以外の介護サービスで勤務が可能です。

関連記事:介護人材「特定技能」外国人受け入れ要件・手続き完全ガイド

特定技能介護についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

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外国人の介護人材受け入れに必要な環境づくり・指導基準

外国人の介護人材受け入れに必要な環境づくり・指導基準

 外国人の介護人材を長く雇用するには、環境づくりが非常に大事です。厚生労働省が作成した「外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック」によると、就労条件と外国人労働者の意欲には相関関係が強いことがわかっています。

外国人の就労条件への満足度

引用:外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック|厚生労働省

また、外国人の介護人材を受け入れた事業所へのアンケートでは、外国人介護職員の評価が非常に高い傾向にあります。なかにはユニットリーダーやフロアリーダーを任せられ、活躍する職員もいるようです。

外国人介護職員への評価

引用:外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック|厚生労働省

リーダーとして活躍する外国人介護職員の有無

引用:外国人介護職員の受入れと活躍支援に関するガイドブック|厚生労働省

上記のように外国人の介護職員が定着し活躍できる環境を作れるよう、教育に力を入れることも大事です。以下で指導方法のポイントを3つ紹介します。

話しやすい現場をつくる

まず1つ目は報告・連絡・相談のしやすい環境づくりです。外国人介護士が気軽に相談できるよう、話しかけやすい雰囲気を作ってあげましょう。コミュニケーションを図る機会が増えることで、自ずと日本語の上達にもつながります。

疑問点があったときにすぐに確認できる関係づくりや、現場の調整も大切です。指示をあおぐ相手をあらかじめ伝えておけば、外国人介護士が迷わず相談でき、仕事もスムーズに進むでしょう。

コミュニケーションは受け取る相手のことを考えて!

国が違えばコミュニケーションの方法も変わるため、言葉の齟齬がないように明確に指示をする習慣が大事です。あいまいな表現は混乱や誤解を招くことがあります。

言葉で伝えるのが難しい場合は、写真のような視覚情報をうまく用いてみましょう。例えば入浴介助のように手順が多く複雑な業務は、写真つきのマニュアルを使うと外国人介護士も理解しやすいでしょう。

伝わっているかを確認する

伝えたいことを相手に伝えられたかを確認することも、教育する際は大切です。ただし「わかりましたか?」と聞くだけでは不十分な場合があります。「わからない」とはっきり言えない外国人介護士もいるかもしれないからです。

理解度をチェックするには、「この場合はどんな対応をする?」のように具体的な内容を質問するとよいでしょう。または業務の手順を実践してもらう方法も1つの手です。

外国人介護士受け入れに役立つ補助金制度

外国人介護士受け入れに役立つ補助金制度

現在、公益財団法人東京都福祉保健財団で「外国人介護従事者受入れ環境整備等事業」を進めています。令和3年度では以下4つの補助金制度が実施されました。

  • 介護施設等による外国人介護職員とのコミュニケーション促進支援事業
  • 介護施設等による留学生受入れ支援事業
  • 経済連携協定に基づく外国人介護福祉士候補者受入れ支援事業
  • 外国人技能実習制度に基づく外国人介護実習生の受入れ支援事業

ほかにも受け入れを検討している事業者に向けて、セミナーや研修などの支援があります。令和4年度の支援メニューやスケジュールはまだ確定していないので、興味のある方は公式ホームページをチェックしておきましょう。

制度をよく理解して外国人介護士の受け入れを検討しよう

外国人の人材を採用するには、「在留資格『介護』」「EPA」「技能実習」「特定技能1号」の4つの受け入れ制度が利用できます。

自主的な採用活動が必要な一方で即戦力として期待できる「在留資格『介護』」、業務範囲の広い「特定技能」など特徴もさまざまです。まずは各制度を理解して、事業所にどんな人材が必要か検討してみるとよいでしょう。

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