EPA介護福祉士候補者とは?受け入れや在留資格など概要解説

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EPA介護福祉士候補者とは?受け入れや在留資格など概要解説

EPA(経済連携協定)介護福祉士候補者とは、日本の介護施設で働きながら、介護福祉士の資格取得をめざす外国人を指します。平成20年度から受け入れが始まり、令和3年度までの間に6,417人の外国人が、介護福祉士候補者として来日しました。国家試験の合格者数や合格率をもとに、その後の候補生の在留資格や働き方について解説します。外国人を採用するためには、在留資格の理解は非常に重要です。人員不足のため外国人受け入れを検討している介護事業所は、ぜひ参考にしてください。


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介護業界のEPAとはどんな制度なのか

介護業界のEPAとはどんな制度なのか

介護業界におけるEPA(経済連携協定)とは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3国と結ぶ経済連携協定を指します。介護福祉士の資格取得を目指してEPA制度で来日した外国人は、日本の介護施設で研修を行いながら国家試験の合格をめざします。

出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)」より

介護福祉士国家試験の受験資格も、この制度に合わせてルートが追加されています。

EPA介護福祉士候補者とは

介護福祉士候補者とは、介護福祉士の資格取得をめざして、3国から来日した外国人のことをさします。

介護福祉士候補者になるためには、それぞれの国別に要件があり、それをクリアする必要があります。介護福祉士候補者になるための各国の要件を一覧で見てみましょう。

国名要件
インドネシア高等教育機関(3年以上)卒業+インドネシア政府による介護士認定
またはインドネシアの看護学校(3年以上)卒業
フィリピン4年制大学卒業+フィリピン政府による介護士認定
またはフィリピンの看護学校(学士・4年)卒業
ベトナム3年制または4年制の看護過程修了

希望すればすぐに介護福祉士候補者になれるわけではなく、母国でも相当の学びが必要になっています。国ごとに若干の差はありますが、介護や看護の学校へ3~4年間通うことが必須となっています。

事前に知識を備え、さらに日本語の研修を受けて、日本語能力試験で一定以上の成績をおさめてようやく日本へ入国できるのです。

EPA介護福祉士候補者を受け入れ可能な施設

来日した介護福祉士候補者は、さらに国内で日本語学習をおこなってから、介護施設などで研修をおこないます。国内の日本語学習は、「公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)」からの委託によって支援がおこなわれ、費用は受け入れ施設が負担となります。日本語学修に係る費用は、下の図を参照してください。

EPA介護福祉士候補者の受け入れ機関の費用負担について

介護福祉士候補者を受け入れられる施設について、下にまとめてみました。

受け入れ可能な施設種別・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護老人福祉施設
・介護療養型医療施設
・障がい者施設
・デイサービス
・短期入所
・養護老人ホーム
施設要件・法令に基づく職員の配置基準を満たしている定員30人以上の施設
・常勤介護職員の4割以上が介護福祉士を有する
・候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払える
・適切な研修体制が確保できる
・候補者の宿泊施設が用意できる
・候補者の帰国費用の確保など、帰国担保措置を講じることができる

受け入れ可能な施設で実務経験を3年以上積むことで、ようやく介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。

JICWELSによる標準的な学習プログラムの内容は、下の図で確認してください。

標準的な学習プログラム

出典:JICWELS「EPA介護福祉士候補者 標準的な学習プログラムによる就労開始後の日本語学習方法等」より

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EPA介護福祉士候補者受け入れの流れと手続き

EPA介護福祉士候補者受け入れの流れと手続き

介護福祉士候補者を受け入れるまでの一連の流れを見てみましょう。国別に若干の差がありますが、大きな流れは下の図のようになります。

経済提携協定に基づく受入れの枠組

出典:厚生労働省「経済連携協定に基づく受け入れの枠組み」より

介護福祉士候補者は、来日前に国際厚生事業団(JICWELS)によって、施設とのマッチングがおこなわれます。就労意向を確認したうえで、マッチング専用ウェブサイトに候補者の求職情報を提供します。受け入れ施設は求人票や施設説明書、研修計画書などをJICWELSへ提出、英訳されたものが候補者に提供されるのです。

マッチングの流れは下の図を参考にしてください。

EPA候補者あっせんの流れ

出典:JICWELS「EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者受入れの枠組み・手続き等について」より

マッチングが成立した場合、JICWELSと現地の送り出し機関によって、郵送等で雇用契約を締結します。その後ビザが発給され、入国や滞在の許可要件が明示されるのです。

ベトナムの場合は、マッチングの前に12か月の日本語研修を受けます。インドネシアとフィリピンの場合は、6ヶ月の日本語研修をマッチング後におこなうのです。訪日前の日本語研修は、独立行政法人国際交流基金(JF)によっておこなわれます。

所定の期間日本語を学んだあとに日本語能力試験を受験し、一定の成績を収めた場合にのみ入国が許可されます。日本語能力検定はN1が一番難しく、インドネシアではN4レベルが求められますが、日常会話でゆっくりの会話なら内容がほぼ理解できるレベルです。ベトナムはN3レベルになっており、すべては理解できなくても、コミュニケーションに困ることが少ないレベルとされています。

入国後の日本語等研修は、JICWELSから「標準的な学習プログラム及び研修の手引き」が示され、それに沿っておこないます。受け入れ施設で研修を実施することもできますが、JICWELSから委託された事業所で受けることもできます。

研修期間は、ベトナムが2.5ヶ月で、インドネシアとフィリピンは6ヶ月です。その後就労と研修をおこない、介護福祉士国家試験に備えて3年以上の実務経験を積みます。

EPA介護福祉士候補者受け入れの問題点

EPA介護福祉士候補者受け入れの問題点

EPA介護福祉士候補者を、日本の介護施設が受け入れる場合の問題点は、大きく4つに分けられます。

・日本語でのコミュニケーション
・現場スタッフや利用者様の、外国人受け入れへの理解
・勤務時間中の1日平均2時間の勉強時間の確保
・介護福祉士国家試験の難しさ
  • 日本語でのコミュニケーション

真っ先にあげられるのは、言葉の壁です。いくら日本語研修をおこなったとはいえ、外国人が日本語で利用者さんと円滑にコミュニケーションを取るのは難しいものです。日本人の特徴として、本音を口にせず遠回しな表現をする傾向があります。それが外国人には伝わりにくく、業務上の改善案や指摘への理解が難しい側面があるでしょう。

言葉の壁を乗り越えるためには、本人の努力はもちろん、周囲にいる日本人スタッフの理解と協力が必須となります。

  • 現場スタッフや利用者様の、外国人受け入れへの理解

利用者様の中には、外国人介護職員から介助を受けることに、抵抗を感じる方もいるでしょう。コミュニケーションがうまく取れずに、誤解を招いてしまったり、偏見を大きくしてしまう心配があります。また利用者様のご家族や現場スタッフのなかでも、同様の気持ちを持つ方は一定数いると思われます。

その対策として事前に、文化や生活習慣の違いをきちんと説明するなど、外国人候補者を受け入れる体制を整えることが必要です。また外国人候補者に対しても、メンタル面のフォローも含めたアフターケアの徹底も求められます。

  • 勤務時間中の1日平均2時間の勉強時間の確保

介護福祉士候補者には実務での研修に加えて、さらに国家試験対策の学習時間を確保してあげる必要があります。働きながらの学習は難しく、母国語以外での受験はさらにハードルが高く感じるでしょう。1日平均2時間ほどの勉強時間の確保は、事業者側が積極的に配慮し、サポートを行うことが介護福祉士候補者には大切です。

  • 介護福祉士国家試験の難しさ

介護福祉士候補者は、国家試験に落ちてしまうと自国へ帰らなければいけません。せっかく3年働いても、試験に落ちてしまったら退職と帰国を余儀なくされます。EPA介護福祉士候補者が介護福祉士を取得して長く日本で働けるよう、やはり勉強時間の提供や試験対策などのサポートが施設側には要求されます。

介護福祉士国家試験の問題はすべて日本語表記のため、日本語の読みも重要なポイントになります。介護福祉士候補者の合格率を見ると、漢字になじみのあるベトナムは90%と好成績ですが、インドネシアとフィリピンでは30%程度で、日本人受験者の合格率よりも下回っているのが見てとれます。ふりがな表記など多少の配慮はあるものの、日本語でおこなう試験はかなりハードルが高いということでしょう。

EPA介護福祉士候補者の受験について

EPA介護福祉士候補者の受験について

介護福祉士候補者は、原則として4年間日本に滞在できます。最終年度に不合格だった場合は、もう1年だけ滞在期間を延ばすことができるので、国家試験受験のチャンスは最大2回です。

経済連携協定に基づく受入れの枠組み(入国以降)

出典:厚生労働省「経済連携協定に基づく受け入れの枠組」より

上の図のように、国家試験に合格した介護福祉士候補者は、引き続き就労が可能となります。2回のチャレンジでも合格できなかった場合は、滞在資格を失い、母国へ帰国となります。

帰国した後でも、受験資格は失っていないので、翌年の国家試験受験は可能です。母国からインターネットで申し込めるので、合格をめざして何度でも受験することができます。合格後は再び在留資格を得て、日本で就労が可能になります。

EPA介護福祉士候補者の受験時における配慮

EPA介護福祉士候補者が介護福祉士国家試験を受験する場合は、筆記試験の時間が一般の受験生の1.5倍になる配慮があります。さらに問題用紙には、全ての漢字にふりがながついたものと通常のもの2部が配布されます。時間延長とふりがなの配慮は、外国籍の方や過去に外国籍だった方も、受験申込時の申請により選択することができます。

実技試験は、介護福祉士養成施設がおこなう介護技術講習会を受講することで免除となります。

EPA介護福祉士候補者の合格率

直近の3年間におこなわれた介護福祉士国家試験における合格率を、表にまとめました。第32回(令和元年度)~34回(令和3年度)の合格率を比較してみましょう。

第32回第33回第34回
全受験者69.9%71.0%72.3%
EPA候補者全体合格率44.5%46.2%36.9%
合格者数337人440人374人
初受験者合格率49.9%53.0%47.9%
合格者数286人350人314人
再受験者合格率27.6%30.8%16.8%
合格者数51人90人60人

出典:厚生労働省「第34回介護福祉士国家試験結果」より抜粋して作成

全受験者の合格率が70%前後であることに比べて、EPA候補者全体の合格率は最も高いときで46%と、かなり低めなのが見てとれます。特に再受験者の合格率は16~30%と、低い水準となっています。

この数字を見る限り、外国人にとっての国家試験の難易度が高いことがうかがえます。とはいえ介護福祉士候補者は、母国で一定以上の要件を満たしているため、知識不足での受験とはいいきれません。日本語での受験が高い壁になっている可能性が高いと考えられます。

次に、国別の合格者をみてみましょう。

第32回第33回第34回
全受験者69.9%71.0%72.3%
EPA候補者インドネシア合格率36.5%36.5%27.2%
合格者数107人146人122人
フィリピン合格率29.4%34.7%25.3%
合格者数92人130人96人
ベトナム合格率90.8%92.1%83.9%
合格者数138人164人156人

出典:厚生労働省「経済連携協定に基づく受け入れに係る国家試験合格者・合格率の推移(1)‐2」より抜粋して作成

ここで注目すべきは、ベトナムだけが圧倒的に合格率が高いことです。上で紹介した受け入れ時の日本語研修が、3国の中では一番長いことも理由のひとつですが、ベトナムはもともと中国の影響を受けて、漢字を使う文化があることも大きな要因だと考えられます。発音の上手さでいえば、インドネシア人の方が長けていますが、読み書きという観点ではベトナム人に分があります。

漢字の意味が理解できるというのは、日本語学習の上では圧倒的に有利です。問題用紙にふりがなが振ってあっても、音がわかるだけで、意味が理解できるわけではありません。漢字の意味が分かれば、問題の意図が推察できますので、そのアドバンテージは絶大です。

ベトナム人がいくら漢字になじみがあるとはいえ、日本人をしのぐ90%前後もの合格率をたたき出すのは、とても大変なことでしょう。ベトナム人介護福祉士候補者に実際に話を聞いたところ「先輩たちが築いた素晴らしい成績を、自分たちの代で途絶えさせたくない」という強い思いがあるようです。先輩や仲間の面目のために熱心に学習に取り組む、まじめな国民性が透けて見えます。

国家試験後のEPA介護福祉士候補者の在留資格

介護福祉士候補者の在留資格は「特定活動」ですが、国家試験の結果によって在留資格が変わります。

EPA介護福祉士候補者の国家試験後のルート

介護福祉士国家試験に合格した場合

国家試験に合格すると、在留資格は「特定活動」から「介護」へ変更になります。

介護福祉士在留資格が「介護」に変更になると、在留期間に期限がなくなり、更新も不要になるというメリットがあります。また、配偶者や子の帯同も認められるため、日本で家族と一緒に生活できるのです。

介護福祉士国家試験に不合格だった場合

在留4年目でも国家資格に不合格だった場合は、1年間の延長が認められます。5年目も不合格だった場合は、帰国というルールになっていましたが、2019年に在留資格に関するルールが改正されています。

4年間介護福祉士候補者として就労すると、特定技能1号への移行時に、技能試験や日本語試験等が免除になります。さらに最長5年間就労が可能になるメリットがあります。

外国人介護人材を受け入れる4つのしくみ

外国人介護人材を受け入れる4つのしくみ

外国人が日本で働くための在留資格は、現在4つあります。

・EPA(経済連携協定)
・在留資格「介護」
・技能実習・特定技能1号

下の図では、4つのしくみの受け入れの流れを示しています。

外国人介護人材受け入れの仕組み

厚生労働省「外国人介護人材受け入れの仕組み」より

その中でEPA制度との違いがわかりにくいのが、技能実習制度でしょう。技能実習生は、日本で習得した技能を自国に伝えることが目的なので、帰国ありきの在留資格です。実習は3~5年で、人材不足解消が受け入れの目的ではありません。

特定技能1号は人材不足解消のため、介護を含む14の産業に限定して就労できるものです。在留期間が「通算で5年」なので、それ以上の機関で雇用を望む場合は介護福祉士の国家試験に合格し、在留資格「介護」に切り替えるなど在留資格の変更が必要です。

在留資格「介護」は、介護福祉士の取得が条件となっているため、他の資格と比較してハードルは一番高く、実際に活躍している母数も少ないです。その代わり、在留期間や更新回数に制限がないため、定年まで日本で就労することが可能です。

EPA制度のメリット

EPA制度と他の在留資格を比較した際のメリットをまとめました。

・国家試験の学習時間を他のビザより確保しやすい
・一定以上の介護、看護についての知識を保有した人材を受け入れることが可能

日本で介護職として就労できる在留資格はいくつかありますが、その中でも国家試験の学習時間を一番確保しやすいのがEPA介護福祉士候補者です。

研修時間は国ごとに差がありますが、インドネシアとフィリピンは訪日前と訪日後を合わせて12か月、ベトナムで14.6ヶ月もの期間におよびます。研修の内容も、日本語研修に始まり、日本社会や生活習慣の理解など多岐にわたって学びます。これだけの内容は、他の在留資格にはない手厚いプログラムといえます。

入国後も日常的に勉強時間の確保が求められますので、勉強時間を確保しやすく、国家試験への試験対策は最も期待できます。

EPA制度は国によって要件は異なりますが、母国で看護学校を卒業または看護過程を修了した方が対象です。つまり一定以上の介護、看護についての知識を持った人材を受け入れられることは大きなメリットでしょう。

EPA制度のデメリット

・導入時期が決まっている
・受け入れ施設のハードルが高い
・EPA制度の介護福祉士合格率が高いわけではない
・マッチングが機械的
・労働力の確保が目的ではない
・訪日後に行われる研修の費用負担が必要
・夜勤は一人ではできない
・最低人員配置基準への算定には規定あり
・介護福祉士取得に向け、施設全体でのサポートが必要

インドネシア人は、6月頃に日本国内の研修がスタートするスケジュールになっており、国ごとに導入時期が定められています。長期間の研修になるだけに、自由な時期にスタートできない部分はデメリットといえるでしょう。

受け入れ施設に求められる基準も、比較的ハードルが高くなっています。上でも紹介したとおり、常勤介護職の4割が介護福祉士で、かつ定員30名以上という基準があるのです。さらに研修の費用負担や学習時間の確保などの配慮も必要で、夜勤勤務や人員配置にも若干の制限があります。

就労する企業とのマッチングも機械的で、面接をおこなうことができないため、今後の見直しが期待されます。またEPA介護福祉士候補者を求める施設が増えてきているため、望んだ候補者となかなかマッチングされないなどの問題点も増えてきているようです。

また、EPA介護福祉士候補者の本来の目的である「介護福祉士の取得」を達成するために、勤務時間中に学習時間を確保するなど施設一体となってサポートを行うことも求められるため、シフトの調整や工夫などが必要になります。

制度を理解して外国人の自社採用を検討しよう

制度を理解して外国人の自社採用を検討しよう

EPA介護福祉士候補者の導入を検討する際は、他の4つの在留資格への理解を深めることも重要です。それぞれの在留資格には目的が異なり、在留できる年数や日本語能力、技術水準などに違いがあります。

外国人を自社採用したい場合には、制度をしっかり理解して、どの仕組みが一番適当なのかを判断して選ぶことが大切です。

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