介護現場で活かす!移動介助の基本とボディメカニクス

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介護現場で活かす!移動介助の基本とボディメカニクス

食事・排泄・衣類の着脱など、あらゆる日常行為には移動が伴います。そして、その移動動作の介助を「移動介助」といいます。移動は生活の基本です。そのため、移動介助は身体介護の基本であるといえます。

利用者が主体的・自立的に生活するための移動介助を実践するためには、利用者の残存機能を活かし、自然な動きを知り、その動きに合わせた介助をおこなう必要があります。日頃からのリハビリテーションや機能訓練も重要です。

今回は、『介護現場で活かす!移動介助の基本とボディメカニクス』をご紹介しますので、皆さんのケアの質の向上にご活用いただけたら幸いです。


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移動介助の基本

移動動作は全部で5種類

移動動作5種類

生活の基本である移動動作(ある点から他の点へ重心の位置を変化させること)は、全部で5種類です。寝返る・起き上がる・立ちあがる・座る・歩くの5種類です。複雑な移動動作もこの5種類の組み合わせで構成されています。介助者は、移動動作ごとの自然な動きを理解し、それに合わせた介助を行う必要があります。

移動動作をサポートしてくれるロボットの一覧は下記の記事から確認できます。

移動介助の流れ

①人間の自然な動きを理解する

「自然な動き」とは、人間が成長する過程で培った合理的な動きであり、苦痛の少ない動きのことです。また、拘縮や麻痺などがある場合は、それを考慮した動きが自然な動きになります。

②重心の動きを理解する

自然な動きを理解すると、重心がどのように動くかが分かります。

重心はへその下にあり、重心を支えている面を「支持基底面」と言います。「支持基底面」から重心が外れると転倒し、非常に危険です。

③移動の際の危険を予測する

重心の動きを理解すると、どこに転倒の危険性があるか予測できます。

④介助手順・かかわりを理解する

転倒の危険性が予測できれば、どのように介助すればよいのかという介助手順・関わりが理解できます。

このような手順で行えば、身体的・精神的な苦痛が少なく、安心安全な動きが可能となります。また、本人のペースに合わせた現有能力の活用にもつながり、高齢者の尊厳と自立を守る介助を実現できます。

※支持基底面:立っている状態の場合、2本の足(裏)両足を結んだ間の地面のこと。この部分に重心が位置していると、転ばずに立位姿勢を保持することができる。

ボディメカニクス

ボディメカニクスとは

人間の正常な運動機能は、神経系・骨格系・関節系・筋系が互いに影響し合っています。このような諸系の相互関係を総称して「ボディメカニクス」といいます。

ボディメカニクスを理解することは、最小の労力で疲労の少ない介助へ繋がります。

お客様にとってのボディメカニクス

人は発達段階で、合理的で苦痛のない「自然な動き」を身につけます。この動きを無視すれば苦痛を伴い、身体に余計な負担がかかることになります。

移動介助の際、理解しておくべきこと

  1. 人間本来の一般的な自然な動き
  2. 個々の障がいによる制限された動きの特性

介助手順に迷ったときは、自分自身が普段その動作でどのような動きをしているかを客観的に観察しましょう。

「自然な動き」に沿った介助は、利用者の現有能力を活かし、自立支援に繋がります。

合理的な動きを知りましょう

人間が移動する時は、必ず重心が移動し、同時に無意識にバランスをとっています。人間は、移動の目的に合わせた合理的な動作を自然に行うことを身につけています。

身体介護では、この合理的な動きを知り、それに合わせた介助を行うことが、お客様のボディメカニクスをもとにした介助の基本です。

介助者のボディメカニクスと6つの原則

介助者のボディメカニクスとは、介助する側にとっての無理のない自然な姿勢のことです。介助者自身のボディメカニクスを理解した介助は、最小の労力で疲労が少なく、腰痛防止にも繋がります。

腰痛予防について詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめ:介護士は腰痛になりやすい?腰痛の予防と対策

介助者は、このボディメカニクスを活かした介助方法に慣れる、実践する必要があります。介助者にとってのボディメカニクスには6つの原則があります。

①支持基底面を広くし、重心を低くする

重心による安定・不安定の違い

支持基底面が広ければ広いほど、重心が低ければ低いほど安定します。足を開き、膝を曲げ、腰を落とす姿勢が安全で安定した介助の姿勢です。

②利用者にできる限り接近する

できる限り接近することで、より容易に介助ができるようになります。

③身体をねじらない

不自然に身体を曲げると不安定になり、腰痛の原因ともなります。介助の途中に身体の向きを変える必要がある場合は、足の位置を変えて身体全体の方向を変えるようにしましょう。

④てこの原理を応用

てこの原理

持ち上げるのではなく、シーソーのように支点を作り自分の体重をかけることで、軽い負担で介助できます。ベッド上で仰臥位から端座位に移動する場合、あらかじめ足をベッドの外に出しておくと、少ない力で足を床に降ろすことができます。

⑤膝の屈伸を利用し水平移動

膝の屈伸を利用した腰への負担軽減豊方法

上下に持ち上げるより、横に移動(水平移動)させる方が介助者の負担は少なくなります。上下に動かさざるをえない場合は、前傾姿勢では腰に負担が集中し腰痛の原因 になるため、上体(腰)だけではなく膝の屈伸を利用して動かします。

⑥お客様の身体を小さくまとめる

力が分散すると重くなります。利用者の身体は、できる限り小さくまとめると介助しやすくなります。また、例えば車いすなどへの移動介助の際、利用者の手足の巻き込みを防止することにもつながります。

利用者主体のケアを

統一した利用者への安心・安全のケアには、体調管理のお声がけを行いながら、手順書などを踏まえて適切なケアを行うことが重要です。常に介護者主体ではなく、利用者主体のケアが出来るように努めていきましょう。

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