グループホームの人員基準とは?注意点や人員配置基準違反について解説

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グループホームの人員基準とは?注意点や人員配置基準違反について解説

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の人員配置基準を満たすには、介護職員、計画作成担当者、管理者、代表者の配置が必要です。それぞれの役割や満たすべき基準について詳しく解説します。

あわせてグループホームの人員配置基準に関する注意点や、人員配置基準違反をしてしまった場合の罰則などについてもまとめました。


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グループホームに必要な人員基準とは

職種 必要な人員数
介護職員 日中:利用者3人につき常勤換算で1人以上
夜間:ユニットごとに1人
計画作成担当者 ユニットごとに1人
※最低1人は介護支援専門員
※ユニット間の兼務は不可
管理者 ユニットごとに常勤専従で1人
※厚生労働大臣が定める研修を修了し、認知症の介護従事経験3年以上の者
代表者 以下を満たす者を配置
  • 下記、①または②の経験
    ①認知症の介護従事経験
    ②保健医療サービスもしくは福祉サービスの提供を行う事業の経営に携わった経験
  • 厚生労働大臣が定める研修の修了者

出典:認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)|厚生労働省

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)を運営する際には、上記の人材が必要です。それぞれの役割や満たすべき基準について解説します。

介護職員

介護職員は、食事や入浴などの身体介助や日常生活の援助、リハビリテーション、レクリエーションなどを行う職種です。24時間体制で利用者のサポートを行い、安心して生活できる環境を整えます。

グループホームでは日中と夜間帯で配置すべき介護職員数が異なります。日中は利用者3人につき、常勤換算で1人以上配置することが必要です。1ユニットが9人の場合、常勤職員3人分の人材を配置する計算になります。常勤職員の勤務時間数が7時間の事業所の場合、1日あたり21時間以上の介護職員を配置する必要があります。そのうち最低でも1人は常勤の職員を配置しなければなりません。ただし、日中に勤務する介護職員の勤務時間の合計数が24時間以上になる必要があります。

対して夜間および深夜の時間帯は、ひとつのユニットにつき1人以上配置します。なお、日中・夜間・深夜の時間帯は利用者の生活サイクルに応じて、事業者が決めて良いことになっています。

計画作成担当者

計画作成担当者は利用者の心身の状態に応じ、適切なケアプランを立案し、介護サービス計画書を作成する職種です。ケアマネジャーと同様の仕事を行いますが、書類作成などの事務作業以外に介護業務を行う場合もあります。

計画作成担当者はひとつのユニットにつき1人以上の配置が必要です。ユニット間の兼務はできないため、3ユニット設置している場合は計画作成担当者を3人配置します。そのうち最低1人は介護支援専門員の資格を持った職員を配置しなければなりません。

管理者

管理者は利用者の情報管理のほか、人事や労務などを含めた職員のマネジメント、収支管理など、グループホームを運営するために必要な一元管理と指示命令を行う責任者です。ひとつのユニットにつき、常勤専従で1人の責任者を配置します。ただし、ユニットの管理業務に支障がない場合は介護職員などと兼務することが可能です。

管理者の職に就くには、ユニットの管理に必要な知識や経験を有することが要件となります。具体的には介護老人福祉施設や介護老人保健施設などで3年以上、認知症の利用者の介護従事経験があること、かつ認知症対応型サービス事業管理者研修を修了した者でなければなりません。

代表者

グループホーム全体を管理し、運営する代表者は、次の要件を満たさなければなりません。

まず、介護老人福祉施設や介護老人保健施設などで、介護従事者または訪問介護員として認知症の利用者を介護した実績が必要です。もしくは保健医療サービスや福祉サービスの経営に携わった経験が求められます。かつ認知症対応型サービス事業開設者研修を受講し、修了した者である必要があります。

グループホームの人員基準に関する注意点

グループホームの人員配置基準を満たす際に押さえておきたい注意点について解説します。

全介護職員が常勤である必要はない

介護職員は最低1人のみ常勤職員を配置する必要がありますが、複数人の介護職員がいる場合は全員が常勤でなくても構いません。そのためパートタイマーやアルバイトなどの非常勤職員を配置することができます。

たとえば、常勤職員が勤務すべき時間が1日あたり8時間の事業所の場合、8時間勤務の常勤職員のほか、6時間勤務の非常勤職員2人、4時間勤務の非常勤職員1人を配置すれば条件を満たせます。その際、日中に働く介護職員の合計時間数が24時間以上でなければなりません。

夜間帯に常勤の介護職員がいなくても構わない

夜間および深夜の時間帯は1ユニットに対し、1人以上の介護職員の配置が必要です。ただし運営している時間帯を通して常に常勤職員を配置する必要はないため、夜間帯の介護職員が常勤でなくても構いません

また、利用者数に対する要件はないため、1ユニットに4人以上の利用者がいる場合でも夜間帯における介護職員の配置は1人で良いこととなります。

医療スタッフの配置は必須でない

グループホームの人員基準では、医師や看護師の配置が義務付けられていません。ただしグループホーム内で対応不可な医療が必要になった場合、協力医療機関と連携し、適切に対応することが求められます。令和6年度の介護報酬改定では、協力医療機関との連携体制について以下の見直しが行われました。

ア 協力医療機関を定めるに当たっては、以下の要件を満たす協力医療機関を定めるように努めることとする。
① 利用者の病状の急変が生じた場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
② 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること。
イ 1年に1回以上、協力医療機関との間で、利用者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認するとともに、当該協力医療機関の名称等について、当該事業所の指定を行った自治体に提出しなければならないこととする。
ウ 利用者が協力医療機関等に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合においては、速やかに再入居させることができるように努めることとする。

引用:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

また、グループホームでは外部の訪問看護ステーションなどと連携し、看護師を1人以上確保した場合、医療連携体制加算が算定できます。

施設により人員配置は異なる

日中の時間帯における介護職員の人員基準は、利用者3人に対して常勤換算で1人以上です。しかし、あくまで労働時間をもとに計算するため、必ずしも「3:1」にならない場合があります

たとえば常勤職員が働く時間数を7時間で設定しているグループホームで、利用者が9人いる場合、常勤換算で3人分の勤務時間が必要です。つまり、必要な時間数は21時間(常勤職員の働く時間数8時間×3人分)で、かつ日中に複数の介護職員で24時間以上の勤務時間を満たしていれば良いことになります。

上記のグループホームが日中の時間帯を7時~19時に設定している場合、常勤の職員1人と、6時間勤務の非常勤職員2人、4時間勤務の非常勤職員1人を配置することで人員基準を満たすことができます。しかし以下の図のように常時、3人の職員が配置されるわけではありません。

【グループホームにおける介護職員の勤務スケジュール例】

グループホームにおける介護職員の勤務スケジュール例の表

利用者の生活時間は108時間(9人×12時間)となるため、「108時間÷24時間」で実際は4.5人に対し、介護職員が1人という形になります。

人員基準を超えた運営も可能

利用者3人に対し、介護職員1人以上の配置が基準ですが、「3:2」で配置しても問題はありません

上記で解説したとおり、グループホームでは利用者に対し、介護職員が「3:1」にならないケースが考えられることから、人員が手薄になる時間帯もあります。利用者とその家族は手厚いケアを受けられるかを基準に施設を選ぶため、人員配置基準以上の職員を配置し、ケアの質の向上に力を入れていることをアピールすることが他のグループホームと差別化するポイントにもなります。

人員基準違反した場合

人員配置基準違反をした場合は、市区町村による指導が入ります。継続して人員配置基準違反が見られる場合は、指定の取り消しなどにつながるおそれもあるため、注意し、日々人材の採用や定着活動を心掛けましょう。

実際に日中の介護職員の人数が足りていない、介護支援専門員の資格を持った計画作成担当者を1人も配置していなかった、などの違反事例がこれまで集団指導においても共有されています。

グループホームの定員・施設基準

グループホームにおける1ユニットの定員数は5〜9人です。ユニットとは共有スペースと複数の居室で構成された空間を指します。ひとつの施設に設置できるユニットは1~3ユニットのため、1施設の入居定員数は27人が最大です。

施設には、居室・居間・食堂・台所・浴室・トイレ・洗面所他、消火設備・災害時に備えた設備を用意する必要があります。そのうち居間と食堂は同一の場所に設定することが可能です。居室の定員は基本1人で、床面積は7.43㎡以上としなければなりません。

そのほか、利用者の社会参加などを促すため、地域住民との交流機会が持て、合わせて災害なども考慮した立地に施設を立てることが求められます。

設備審査基準においては、基準省令以外に、都市計画法や建築基準法、消防法が関連していますので、確認を行うようにしてくだい。

令和6年度介護報酬改定「夜間支援体制加算」の見直し

令和6年度の介護報酬改定で「夜間支援体制加算」の見直しが行わました。以前はひとつのグループホームにつき常勤換算で1人以上の夜勤職員または宿直職員を加配することで算定できました。改定後は見守り機器を導入し、必要な対策を講じている事業所に限り0.9人で算定できるようになります。

ただし利用者の人数に対し、見守り機器の導入割合が10%以上などいくつか要件があります。さらに定期的に委員会を開催し、介護サービスの質の確保や、職員の負担軽減に関する対策を検討し、実行しなければなりません。

違反しないようグループホームの人員基準を理解しよう

グループホームの運営において、人員配置基準を適切に満たすためには、介護職員、計画作成担当者、管理者、代表者を揃える必要があります。利用者3人に対して介護職員を常勤換算で1人配置するなど計算方法の確認が必要なため、正しくルールを理解して人員配置基準違反にならないよう心掛けましょう。

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