常勤専従とは?定義や考え方、「非常勤」「兼務」との違いを解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
常勤専従とは?定義や考え方、「非常勤」「兼務」との違いを解説

介護事業の運営においては、人員配置基準、運営基準、設備基準が重要です。なかでも、職員の配置にかかわる人員配置基準を満たすためには、常勤・非常勤・専従・兼務について正しく理解しておく必要があります。この記事では4つの勤務形態の違いについて、画像や表を使いながらわかりやすく整理して解説します。

記事の中盤では勤務形態を判断する際に便利なフローチャートも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。最後に人員配置を決める際の注意点や、常勤換算の計算方法もまとめました。


介護事業所の面倒なシフト・勤怠管理がらくらく
人員基準や加算要件は自動でチェック!CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表作成をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
⇒ 「CWS for Care」公式サイトへアクセスして、今すぐ資料を無料ダウンロード

常勤・非常勤/専従・兼務とは

「常勤・非常勤・専従・兼務」とは、勤務形態を表す用語です。人員基準や加算算定などあらゆる場面で使われているので、介護業に携わる方は必ず押さえておくようにしましょう。

最初にそれぞれの定義について紹介します。

  定義
常勤 事業所における勤務時間が、当該事業所の常勤の従業者が勤務すべき時間数(=週32時間を下回る場合は32時間を基本とする)に達していること。
非常勤 事業所における勤務時間が、当該事業所の常勤の従業者が勤務すべき時間数(=週32時間を下回る場合は32時間を基本とする)に達していないこと。
専従 「専らその職務に従事する」事業所の従業者(常勤・非常勤の別を問わない)が、 当該事業所における勤務時間帯を通じて、当該サー ビス以外の業務に従事しないこと。
兼務 事業所の従業者(常勤・非常勤の別を問わない)が、当該事業所における勤務時間帯に、当該サービスと併せて他の業務にも従事していること。
引用:常勤換算等について|会津若松市役所

介護業界では「常勤専従」「常勤兼務」など組み合わせて使われることも多い言葉です。まずは「常勤・非常勤」「専従・兼務」の違いを知ることが、正しく理解するための鍵になります。

常勤と非常勤の違い

「常勤」と「非常勤」は、勤務時間数の違いです。勤務時間が事業所の就業規則に定められた所定労働時間に達している従業員、つまりフルタイムで働く職員は「常勤」とされ、達していない場合は「非常勤」と判断されます。また、介護や育児を理由に、短時間勤務制度などを利用する場合は、令和3年介護報酬改定により「週30時間以上勤務すれば常勤換算」として条件を満たせるようになりました。

たとえば、就業規則で所定労働時間が週40時間の事業所の場合、週40時間働く従業員は「常勤」、介護や育児の理由がない場合には、週30時間勤務する従業員は「非常勤」として扱われます。

この場合、雇用形態は関係ありません。正社員やパートタイマーなどを表す、雇用契約上での「常勤」「非常勤」とは意味合いが異なるので注意しましょう。アルバイトでも、フルタイムで働いていれば「常勤」職員として扱います。

専従と兼務の違い

次に「専従」と「兼務」は、その職種に専任しているか否かで判断されます。事業所の勤務時間帯に、複数の職種を担当している場合は「兼任」です。たとえば訪問介護事業所でホームヘルパーとして働く従業員が、住宅型有料老人ホームの職員として勤務する場合は「兼任」と判断されます。

介護事業所で管理者として従事する場合は「専従」となります。ただしこの場合、同一敷地内にあるなどの地理的要件を満たした場合には、管理者の兼務は認められます。

4つの勤務形態を組み合わせた場合の考え方は、次の章で詳しく紹介するのでチェックしてください。

配置基準や加算は自動でチェック!
CWS for Careは常勤換算や職種兼務など介護特有の制度やルールに対応した、介護専門のシフト作成・勤怠管理サービスです

常勤・非常勤/専従・兼務の判断フローチャートと事例

「常勤・非常勤・専従・兼務」を判断するには、段階を踏んで考えると混乱せずに判断することができます。以下のフローチャートを参考にしてください。

判断フロー図
引用:介護・障害情報提供システム|名古屋市

上記のようにまずは該当の従業員の勤務時間数について判断します。フルタイムで働いているのであれば「常勤」、勤務時間数が所定労働時間より少ないのであれば「非常勤」のマスに進みましょう。

次に専任しているか否かを確認します。事業所内で複数の職種に従事している場合は「兼任」、専任の場合は「専従」と判断してください。

このように順序立てて考えることが重要です。上記を踏まえて、次に「常勤専従」「非常勤専従」「常勤兼務」「非常勤兼務」の具体例について紹介します。

常勤専従の事例

「常勤専従」は一つの職種に従事、事業所が定める所定労働時間に達している状態を指します。

たとえば所定労働時間が週40時間の事業所の場合、介護職のみの業務を行い、週40時間働く従業員は「常勤専従」とみなします。サービス提供責任者の業務もしていたり、ほかの介護事業所でも管理者の仕事に就いていたりする場合は該当しません。

非常勤専従の事例

「非常勤専従」は一つの事業所で一つの職種に従事し、労働時間が事業所が定める所定労働時間に達していない状態です。

一例として所定労働時間が週40時間の事業所で、週20時間働く介護職員は「非常勤専従」です。もし、同一の事業場内でほかの職種にも従事していたら、「非常勤兼務」となるので注意しましょう。

ただし2つの事業所で週20時間ずつ介護職員として働く場合は、それぞれの事業所で「非常勤専従」となります。これは別の職種に就いている場合も同様です。

たとえばAの住宅型有料老人ホームで職員として週20時間、Bの訪問介護事業所でヘルパーとして週20時間働くケースでは、それぞれの事業所で「非常勤専従」と判断されます。

常勤兼務の事例

「常勤兼務」は複数の職種を兼務し、事業所が定める所定労働時間に達している場合が該当します。

所定労働時間週40時間の通所介護事業所で、生活相談員と介護職員に従事しながら、フルタイムで働く職員は「常勤兼務」です。ただし同一の事業場内で兼務している場合のみとなります。2つの事業所で従事する場合は、それぞれの事業所単位で考えるため「非常勤専従」となります。

非常勤兼務の事例

「非常勤兼務」は複数の職種を兼務し、労働時間が事業所が定める所定労働時間に達していない状態です。
所定労働時間が週40時間の通所介護事業所で、生活相談員として週15時間、介護職員として週15時間働く従業員は「非常勤兼務」となります。もし2つの職種の勤務時間が週40時間に達する場合は「常勤兼務」とみなします。

人員配置基準における注意点や例外

次に「常勤兼務に関する注意点」「管理者における常勤専従の例外」「介護支援専門員を配置する際の注意点」について解説します。人員配置を考える際に必要となるルールなので、しっかり覚えましょう。

常勤兼務に関する注意点

複数の介護サービスを運営している介護事業者で勤務する職員が、異なる事業所で複数の職種を兼務している職員の場合、「常勤兼務」ではなく、それぞれの事業所で「非常勤専従」として扱います。これはそれぞれを独立した事業所として考えるためです。介護保険外サービスでサービス提供単位を分けている場合や、多機能型事業所における兼務も同様の考えとなります。人員配置基準上、常勤の職員が必要となる事業所はくれぐれも注意してください。

また、それぞれ勤務時間を明確に分けて勤務表を作る必要があることもポイントとして押さえておきましょう。

上記の条件で唯一「常勤兼務」で認められるのは、管理者です。同一敷地内で別の事業所で働く管理者で、それぞれの業務に支障ないと判断された場合、「常勤兼務」として扱います。この場合、勤務時間を分けて勤務表を作る必要はありません。

管理者における常勤専従の例外

通所介護などは管理者の人員配置基準として、「常勤または専従が必須」という条件が定められています。ただし管理業務に支障がない場合のみ、以下のケースでも人員配置基準を満たしていると判断されます。

  • 施設内の職員の兼務
  • 敷地内または道路を隔てて隣接している他事業所の管理者か職員の兼務

たとえば同一事業場内で管理者として1日3時間、サービス提供責任者として1日5時間働くケースでも人員配置基準に違反していないとみなされます。ただし常勤が必要となるので、2つの職種で働いた時間の合計が事業所の所定労働時間に達するように調整しましょう。

管理業務に支障があると判断されるのは、3つ以上の職種を兼任する場合や、併設の事業所で介護職員や看護職員など直接サービスを提供する職務に就いた場合です。

ただし上記は自治体により異なる場合があります。詳しくは管轄の自治体に確認しましょう。

介護支援専門員を配置する際の注意点

指定居宅介護支援事業所には、必ず常勤の介護支援専門員(ケアマネジャー)が1人以上配置が必要となります。非常勤の介護支援専門員はどの職種とも兼務可能なので、兼務することは問題ありません。また、兼務する場合には、兼務している業務等を必要以上に際には、その他の従業員等を通じて常にの連絡がつく体制にしておかなければなりません。

常勤換算の計算方法

最後に人員配置基準の際に必要となる、常勤換算の考え方や計算方法について解説していきます。常勤換算とは、事業所で働く平均人数を割り出す方法です。基本的に常勤の職員は「1」として数えるので、非常勤の職員のみ計算します。計算式は以下となります。原則、1ヶ月(4週間)単位で計算してください。

計算式:勤務時間総数(勤務延時間数)÷常勤職員が勤務すべき時間数

月の所定労働時間が160時間の事業所で例を出してみます。たとえば労働時間が月120時間の職員と、80時間の職員がいる場合、計算式は以下です。

(120+80)÷160=1.25

つまり常勤換算数は1.25となります。

常勤・非常勤/専従・兼務の違いを理解して正しく配置しよう

介護の人員配置基準を満たすには、「常勤・非常勤・専従・兼務」の違いを明確に理解することが大事です。さらに管理者や介護支援専門員などは独自のルールがあるため、記事で紹介した注意点をしっかり押さえるようにしましょう。

また、人員配置基準を満たしているか判断するためには、常勤換算の計算も欠かせません。正しい計算方法を覚えて、人員配置基準違反にならないよう気をつけてください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護専門のシフト・勤怠管理サービス
『CWS for Care』

CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表出力をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
人員基準や加算チェックなど介護特有の要件に対応し、介護事業者様の業務効率化をサポート。介護のシフト・勤怠管理でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。