新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」となりましたが、デイサービスなどの「稼働が上がらない」というご相談をいただいています。今回は、営業時の看護師配置について、ご紹介させていただきます。皆さんの業務の見直しにご活用いただけたら幸いです。
目次
看護職員は“実績人数”ではなく“定員”に対しての配置
新規開設などの理由で、その日に実際に利用のあった利用者の人数が10名以下となる場合がありますが、看護職員は実人数ではなく定員数に対しての配置ですので、利用者人数が10名以下の場合でも看護職員は配置してください。
- 定員10名以下……看護職員配置が必須ではない(“配置不要”ではありません)
- 定員11名以上……その日の実際の利用者人数が10名以下でも看護職員配置は必須
看護職員が適切に配置できていないと、該当月のすべての利用者の報酬が3割減算となる可能性があります。未配置日のみの減算ではありません。
看護職員の未配置時間帯の“密接且つ適切な連携”については行政の解釈を確認
人員基準では、看護職員の配置時間数に定めはありませんが、行政によっては目安となる配置時間数を定めているところもあります。
また、サービス提供時間帯に看護職員の未配置時間帯がある場合は、看護職員と“密接且つ適切な連携”を取ることが人員基準で定められています。
“密接且つ適切な連携”の一例
- 看護職員にいつでも連絡が取れる体制が取れている
- 看護職員は施設内の他サービスに配置してもよいが、サービス提供時間帯は施設内に滞在しなければならない
通所介護・地域密着型通所介護看護職員配置について
次の場合は、単位ごとに看護職員の配置が必要です。
例①日~土曜日に、以下の通所介護を提供
【単位1】利用定員20名9:00~17:00
➤日~土曜日の各日で看護職員を配置
例②日~土曜日に、以下の通所介護を提供
【単位1】利用定員10名9:00~13:00
【単位2】利用定員10名13:00~17:00
【単位3】利用定員10名9:00~17:00
➤各単位の利用定員は10名ですが、事業所としての定員は20名ですので、各単位に看護職員を配置してください。
例③日~土曜日に、以下の通所介護を提供
【単位1】利用定員10名9:00~13:00
【単位2】利用定員10名9:00~13:00
【単位3】利用定員10名13:00~17:00
➤午後の3単位において、同時にサービス提供を受けることができる利用定員は10名ですが、事業所としての定員は20名ですので、【単位1】【単位2】のみでなく【単位3】にも看護職員を配置してください。
例④月~土曜日に、以下の通所介護を提供
【単位1】利用定員20名9:00~17:00
日曜日に、以下の通所介護を提供
【単位2】利用定員10名9:00~17:00
➤日曜日において、同時にサービス提供を受けることができる利用定員は10名ですが、
事業所としての定員は20名ですので、
【単位1:月~土曜日】のみではく、【単位2:日曜日】についても看護職員を配置してください。
次の場合は、看護職員の配置が必須ではありません。
例⑤日~土曜日に、以下の地域密着型通所介護を提供
【単位1】利用定員10名9:00~17:00
例⑥日~土曜日に、以下の地域密着型通所介護を提供
【単位1】利用定員10名9:00~13:00
【単位2】利用定員10名13:00~17:00
また、看護師を手厚く配置している時に算定できる加算もあります。以下で解説しています。
介護現場で求められる看護力
ご家族および他職種、他機関との連携
連携を考えるとき「介護」「看護」では、たとえ表現が同じでも同じ理解をしているとは限らないことを意識して行動することが求められます。
連携をとるための方法
- 双方向の連絡や相談が必須であり、それができる体制を作ることが必要である。定期的なミーティングの実施、随時の報告・相談ができるルールを決めておく。
- 記録も関係する職種が読めるようにしておくとともに、必要な記録を必ず読むようにしておかなければならない。記録できる体制を作るとともに、記録に必要な内容が入っていること、他人・他職種が読んでわかることが大事である。
- ケアカンファレンスで利用者の状態を確認し合っておくこと、介護計画を明確にすることで利用者についての理解が進む。
以上のことを考慮し「気づき」「適切な判断をする」ための必要な情報や知識を得るよう、「いつもと違ったら」「異常があったら」「変だったら」すぐに相談・報告できる体制を確保しましょう。
医師・理学療法士・作業療法士・管理栄養士などの関係も同様です。
健全な運営のために適切な連携を
適切な人員配置には、行政からの集団資料、自己点検、手引きなどで、常に確認しておくことが必要です。
人員配置の時間数と“密接且つ適切な連携”については、必ず確認し、把握しておくことは、健全な運営の基本となりますので、正しい認識のもとで運営にあたってください。