人員基準欠如減算とは?(2023版)要件から適用期間、計算方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
人員基準欠如減算とは?(2023版)要件から適用期間、計算方法

人員基準欠如減算とは、利用者に適正で安全なサービスを提供するために設けられた介護報酬の項目です。人員配置基準を満たさない状態で、介護サービスを提供した施設や事業所は、基本報酬から減算率分の単位が減算されます。

減算されないためには、人員基準欠如減算について正しく理解することが大切です。人員基準欠如減算のサービス種別ごとの要件や、いつからいつまで適用されるのか、計算方法などについてまとめました。


介護事業所の面倒なシフト・勤怠管理がらくらく
人員基準や加算要件は自動でチェック!CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表作成をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
⇒ 「CWS for Care」公式サイトへアクセスして、今すぐ資料を無料ダウンロード

人員基準欠如減算とは?

人員基準欠如減算とは、事業所や施設が守るべき人員配置基準を満たしていないときに適用される減算です。介護職員や看護職員などの人数が足りないまま運営することを防ぐ目的で作られました。人員基準欠如減算に該当する場合、速やかに届出書を労働基準監督署に提出しなければなりません。

人員配置基準とは、事業所や施設が安全に適切なサービスを提供するために必要となる人員に関するルールを指します。介護サービス種別により人員配置基準は異なるため、自社で守るべき人員基準のルールを正しく理解し、配置することが重要です。

人員基準違反との違い

人員基準違反は人員基準欠如減算と異なり、運営指導や監査で人員配置基準の違反が発覚したときに下される行政処分です。運営指導などで人員基準違反が発覚した場合は、人員基準欠如減算に抵触していないか確認されます。

人員基準違反の事例として、専従の管理者が必要な事業所で兼務の管理者が配置されていた、人員配置基準を満たしていると虚偽の報告があったなどの実例が公表されています。場合によっては指定の取り消しにつながるため、十分な注意が必要です。

人員基準欠如減算の対象となるサービス種別

  • 通所介護
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護
  • 特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 介護老人福祉施設
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

人員基準欠如減算の適用期間はいつからいつまで?

人員基準欠如減算は、基本的に人員の欠如が確認された月の翌月から、解消された月まで適用されます。

【人員基準欠如減算の適用期間に関する一例】
サービス提供月 5月 6月 7月 8月
人員基準を満たしているか否か ×
人員基準欠如減算の有無

上記の場合、人員欠如が確認された6月の翌月である7月から減算が始まります。また、7月には人員欠如が解消されているため、翌月の8月は減算の対象となりません。

ただし、人員欠如の割合が1割以内の場合は、欠如が確認された翌々月から減算が適用されます。詳しくは自治体へ確認しましょう。

【人員基準欠如減算の適用期間の別例】
サービス提供月 5月 6月 7月 8月 9月
人員基準を満たしているか否か ×
※ただし人員欠如の割合が1割以内
人員基準欠如減算の有無

人員基準欠如減算の単位数と計算方法

人員基準欠如減算の単位数は、原則70/100です。入所者または利用者全員に対して、「基本報酬×70%」の計算式を用いて計算します。

ただし介護療養型医療施設と介護医療院の場合は、以下の単位数となります。

介護療養型医療施設 看護職員、介護職員または介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない場合:70/100
看護師の数が看護職員の20%未満の場合:90/100
僻地の医師確保計画を提出していない施設で、医師の数が60%未満の場合:90/100
僻地の医師確保計画を提出した施設で、医師の数が60%未満の場合:12単位減算
介護医療院 医師、薬剤師、看護職員、介護職員、介護支援専門員の人員数が基準を満たさない場合:70/100
看護師の数が看護職員の20%未満の場合:90/100

人員基準欠如減算の要件

サービス種別 要件
通所介護
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
看護職員または介護職員の人員数が基準を満たしていない
通所リハビリテーション 医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、または介護職員の人員数が基準を満たしていない
短期入所生活介護 【単独型】
看護職員または介護職員の人員数が基準を満たしていない
【単独型(ユニット型)】
利用者数が3またはその端数を増すごとに1人以上の介護職員または看護職員を置いていない
【併設型】
短期入所生活介護と介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における看護職員または介護職員の基準を満たしていない
※併設・空床利用型の短期入所生活介は、特別養護老人ホームと一体的に減算する
【併設型(ユニット型)】
上記に加え、利用者数が3またはその端数を増すごとに1人以上の介護職員または看護職員を置いていない
短期入所療養介護 医師、看護職員、介護職員、理学療法士、作業療法士または言語聴覚士の人員数が基準を満たしていない
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
看護職員または介護職員の人員数が基準を満たしていない
介護老人福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護職員、看護職員または介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
介護老人保健施設 医師、看護職員、介護職員、理学療法士、作業療法士もしくは介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
介護療養型医療施設
  1. 看護職員、介護職員または介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
  2. 看護師の数が看護職員の20%未満
  3. 僻地の医師確保計画を提出していない施設で、医師の数が60%未満
  4. 僻地の医師確保計画を提出した施設で、医師の数が60%未満
介護医療院
  1. 医師、薬剤師、看護職員、介護職員、介護支援専門員の人員数が基準を満たしていない
  2. 看護師の数が看護職員の20%未満
小規模多機能型居宅介護 従業者数が人員配置基準を満たしていない
認知症対応型共同生活介護 従業者数が人員配置基準を満たしていない
看護小規模多機能型居宅介護 従業者数が人員配置基準を満たしていない

人員の計算方法

まずは通所介護を例に計算方法を解説します。看護職員は1ヶ月の平均人数、介護職員は1ヶ月の勤務時間数で計算します。計算式は以下のとおりです。

看護職員:1ヶ月の配置人数(延べ数)÷サービス提供日数
介護職員:実際の勤務延時間数÷人員基準上必要な職員が勤務すべき時間数

たとえば1ヶ月あたり180時間の勤務が求められる介護職員が、150時間しか勤務していない場合、「150÷180=0.8333…」となり、人員基準に対し1割以上の人員欠如が確認できます。

次に介護老人福祉施設(特養)のケースをご紹介します。特養の場合、「入所者:看護職員・介護職員=3:1」となる人員数を配置しなければなりません。たとえば入所者が99人の場合は、33人以上の看護職員・介護職員が必要となります。この数を下回ると、人員基準欠如減算が適用されます。

人員基準欠如減算に関する注意事項

人員基準欠如減算の対象となった場合、速やかに届け出を提出しなければなりません。「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」などの書類を提出してください。場合によっては「勤務形態一覧表」なども提出する必要があります。

人員の欠如に関する減算は、コロナ禍のときに減算の要件が緩和されるなど臨時的な取り扱いがあったものの、基本的に特例はありません。届け出が提出されていない場合や、継続的に人員の欠如が生じる場合は、指定取り消しになる可能性があるため注意しましょう。

また、人員配置は利用者への安心・安全のケアの提供においても、満たすことが基本です。人員基準欠如減算をしたから大丈夫と考えるのではなく、日頃から職員とマメなコミュニケーションを行い、急な退職や体調不良による人員基準欠如が起きないよう心がけてください。

人員基準欠如減算の対象とならないよう人員を配置しよう

人員基準欠如減算は、定められた人員配置基準を満たせない場合に適用される減算です。適正で安全なサービス提供において人員配置基準は守るべき重要なルールのため、人員基準欠如違反の未然防止を心がけてください。さらに、人員基準欠如減算を行わず介護保険請求を行った場合、不正請求とみなされ、指定取り消しなどの処分の対象となるため注意しましょう。

人員基準欠如減算の対象にならないためには、日頃から適切な人員配置と管理が必要です。介護専門のシフト管理サービス「CWS for Care」なら、自動で人員配置基準をチェックできます。効率よく人員の管理を行いたい方はぜひ検討してください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護専門のシフト・勤怠管理サービス
『CWS for Care』

CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表出力をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
人員基準や加算チェックなど介護特有の要件に対応し、介護事業者様の業務効率化をサポート。介護のシフト・勤怠管理でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。